父娘のファーストコンタクト
多分サブタイ通りの内容
ラリーとビアーヌが各階層を次々に踏破してる頃。
救出対象であるエレナは仲間達と共に、5階層目の中間辺りから全力で来た道を戻る様に逃走していた。
「何よアレ!!?ファンタジーに居て良い存在じゃないわよ!!!」
背後から追い掛けて来る人型の大きな"何か"に対し、長谷川 千束が走りながら悪態を吐く様に叫べば、双子の飯島姉妹が叫ぶ様に返す。
「知らないわよ!!」
「魔法を撃っても効かないなんてデタラメ過ぎるわよ!!」
そう。後ろから追って来る人型の"何か"は何故か、撃ち込まれた魔法を全て掻き消す能力を有していた。
そればかりか……
「皆伏せて!!」
最後尾で走り、後ろをチラッと一瞥した金子 彰が叫べば、皆は地面に倒れ込む様にして伏せた。
その瞬間。耳を劈く銃声が絶え間なく響き渡り、頭上を無数の銃弾が通り過ぎていく。
早く銃声が止んで欲しい。
そんな願いを皆が心の中で祈り、迫る死に身を震わせている中。エレナは絶え間なく響く銃声に負けじと大声で叫び、指示を飛ばす。
「皆!這って進んで!!」
リーダーであるエレナの叫びを聞けば、皆は必死に地面を這い、少しずつながらも進んで行く。
エレナ達が絶え間ない銃火を潜る様に這ってから暫くすると、銃声がピタリと止んだ。
銃声が止んだ事に皆は安堵する中。長谷川 千束は立ち上がろうとする。
だが、ソレを金子 彰が慌てて叫び、遮った。
「長谷川さん立たないで!!立ったら撃たれる!!」
「何でよ!?急いで逃げないと殺されるのよ!!?」
当然とも言える反論が返ってくれば、静寂の中でエレナが代わりに答える。
「立った瞬間また撃たれるわ!!あのターミネーターだか、戦術人形だかが敢えて撃つのを辞めたのは私達を立たせて撃たせる為……そうでしょ、アキラ?」
エレナが確認する様に問えば、金子 彰は肯定と共に補足を加えた。
「その通りだよ。弾切れの可能性もある。だけど、そうじゃなかったら立った瞬間にさっきの機関銃でミンチにされる」
金子 彰の補足説明を聞けば、背後を伺うエレナを除いた女子達は顔を恐怖で青褪めさせてしまう。
そんな中。彼女達を追跡する"何か"は左手を前に翳した。
ソレを見た瞬間。エレナは指揮官として決断する。
「皆走れ!!」
突然、心変わりしたかの如く「走れ」そう叫ぶと、皆は慌てて立ち上がって駆け出す。
左手を翳した"何か"は静かに淡々と左手を僅かに持ち上げ、左腕に取り付けられたグレネードランチャーの照準を合わせていく。
程なくして左腕のグレネードランチャーから軽やかな砲声が響いた。
「皆伏せろ!!」
エレナが叫ぶと同時に伏せれば、皆も慌てて倒れる様にして伏せる。
放たれた榴弾は既の所で放物線を描きながらエレナ達の頭上を通過し、通路の奥で爆発した。
そんな爆発を目の当たりにすると、金子 彰は頭に思い浮かんだ懸念を口にする。
「エアバーストじゃなくて良かった。だけど、次は頭上で爆発する様にしてくるかもしれない」
金子 彰が口にした最悪の予想を聞けば、長谷川 千束は声を荒げてしまう。
「なら、どうすれば良いのよ!?」
すると、そんな声を遮るかの様に再び機関銃による制圧射撃が行われてしまった。
頭上を無数の銃弾が通り過ぎるが故に、立ち上がって走る事は出来ない。
這って進むにしても銃声が止んだ瞬間。頭上で爆発する様に仕向けられた榴弾が飛んで来る。
または機関銃による掃射で一気に薙ぎ払われるか……
何れにしろ、エレナ達は詰んでいた。
だが、ソレでもエレナは指揮官として諦める事無く、皆に這って進む様に命じる。
「兎に角。這って進んで」
皆はエレナと言う指揮官を信じ、這って進んで行く。
しかし、エレナを信じて進む皆とは対象的にエレナ自身は内心で絶望に侵されていた。
逃げ切るのは無理。
だからと言って、挑むにしても近付く前に機関銃かグレネードランチャーでミンチにされる。
正直言って、打つ手がもう無い。
エレナの読み通り、後ろから迫る死から逃れる術は無かった。
魔法が通じないばかりか、重火器で武装している。
ファンタジー世界に居てはならぬデタラメな存在を打ち倒す術をエレナ達は持っていない。
それ故にエレナは即座に逃げる事を選んだ。
だが、ソレも此処までであった。
しかし、ソレでもエレナは絶望に侵されながらも死から逃れる為に皆と共に這って進み続ける。
そんな時だ。
銃声が止んだと共に微かながらも慌ただしい足音が視線の先から聞こえて来た。
「え?足音?まさか敵?」
双子の妹である飯島 由紀が絶望に染まりながら言うと、他の者達にも絶望が広がっていく。
しかし、ソレでもエレナは指揮官として皆を引っ張る様に告げる。
「敵だとしても兎に角前へ進んで!!」
エレナの一言で皆は絶望に染まりながらも再び進み続ける。
足音が段々と近付き、大きくなって来る。
それから程なくすると、此処に来て初めて目の当たりにする文明的な光が飛び込んで来た。
「嘘?コレってライトの光?」
正面から照らされるフラッシュライトの明かりに対し、双子の姉である飯島 美樹が間抜けな声を漏らすと、男の大声が響く。
「そのまま伏せて耳を塞げ!!」
ソレを聞いた瞬間。エレナ達は急いで耳を塞いだ。
それから程なくして正面から轟音と共にロケット弾が飛んで来る。
エレナ達の頭上を通り過ぎて行ったロケット弾……M72A6から放たれた66ミリの対戦車ロケットは、エレナ達を殺さんとする"何か"の胸へ吸い込まる様にして着弾し、盛大に爆発した。
突然の状況にエレナを始めとして皆が訳も解らずに困惑していると、男の声が再び響く。
「早く此方に来い!!援護する!!」
その声を聞くと、エレナ達は急いで立ち上がって駆け出して行く。
薄暗い通路を走り続け、声の主の所まで来ると、エレナ達は声の主を目の当たりにするなり驚いてしまった。
「嘘……もしかして、地球の人なの?」
長谷川 千束が信じられないと言った様子で困惑気味に漏らすと、救いの手を差し伸べた男。もとい、ラリーは肯定する。
「そうだ」
「貴方は米軍の兵士なんですか?」
金子 彰がヲタクとして持った知識から確認する様にして恐る恐る尋ねると、ラリーは半分だけ肯定した。
「元が付くがな。それよりも急いで此処から出るぞ」
ラリーがそう告げると、皆は死から逃れた事に歓喜しながら走り出す。エレナを除いて……
エレナがジッと沈黙と共に見詰めて来ると、ラリーは察した様子で尋ねる。
「その顔は俺の事を知ってる。そう考えるべきか?」
ラリーの問いをエレナは肯定した。
「ママから教えて貰いました。貴方が私の父親であると……」
エレナはラリーが実の父親である事を母親のソフィアから聞いていた。
ソレを聞くと、ラリーは驚く事無く返す。
「そうか」
「何故、貴方が此処に居るのですか?」
実の娘から問われると、ラリーは素っ気無く答えた。
「仕事で来ただけだ。一応、君の救出も仕事の内だから安心しろ」
娘と言うより、赤の他人に対して答える様に告げたラリーにエレナは更に尋ねる。
「何で、ママを棄てたんですか?」
娘として最も聞きたかった事を問えば、ラリーは正直に答えた。
「ソレは違うな……俺が棄てたんじゃない。君のママが俺を棄てたんだ」
ラリーにとって、ソレが情けなくも事実であった。
18年前にソフィアが自分の子を宿していた事を話していれば、自分はキチンと認知するつもりではあった。
だが、そうはならなかった。
そんな答えが返って来ると、納得出来ない。と、言った様子でエレナは問う。
「なら、何で私を助けに来たんですか?」
「さっきも言ったろ?仕事だ」
徹底して他人行儀に答えるラリーに対し、エレナは嫌味をぶつけた。
「父親として実の娘を助けに来た。ソレぐらい答えるデリカシーも無いんですね」
娘として、今まで姿を見せなかった実の父親に嫌味にも似た想いをぶつけた。そうも取れる言葉を聞くと、ラリーは平然と宣う。
「俺に何を期待してるのか知らない。だが、俺はお前の父親として振る舞う気は無い。勿論、父親として認知する気も無い」
実の父親から最低極まりない答えを聞かされれば、エレナはハッキリと思いの丈をぶつけた。
「アンタみたいなクソ野郎が父親なんて、此方から願い下げよ!!」
実の娘からクソ野郎。そう告げられると、ラリーは涼しい顔で平然と返した。
「そりゃ良かった。あ、安心しろ……養育費やら慰謝料やらは後で払ってやるから」
そんなラリーに腹立たしさと共に怒りを覚えると、エレナはラリーに殴り掛かろうとする。
だが、エレナが殴るよりも早く。エレナの首にラリーの左手が優しく添えられた。
「な!?」
ラリーの動きが見えなかったが故にエレナが驚きと困惑に満ちた声を漏らすと、ラリーはエレナの細く白い首から左手を退かしながら面倒臭そうに言う。
「さっさと行け。俺としてはお前が既に死んでた事にしても構わないんだ」
またもラリーが父親として。否、人として最低極まりない発言をすれば、エレナはムカつきながらも圧倒的な実力差を認めると共に素直に応じた。
「行けば良いんでしょ!行けば!」
エレナはズカズカと歩き出すと、途中で足を止めた。
それから直ぐに振り返り、ラリーに向けて感謝の言葉を述べた。
「一応、助けてくれてありがとう……命を助けてくれた事に関してだけはキチンと感謝しないとアンタ以下のクソ野郎になりそうだから感謝はする。何かムカつくけど」
渋々ながらも実の娘が助けてくれた事を感謝すると、ラリーは沈黙で返した。
そんな父親に背を向けた時。ラリーが大声を挙げた。
「今直ぐ走れ!!ターミネーターだ!!」
その言葉を聞いた瞬間。
エレナは疲れた身体を鞭打って全速力で走り出す。
そんなエレナを一瞥する事無くラリーは既に手にしていたバレットM107を構えると、ファンタジー世界に於いてターミネーターに向けて引金を2度引いた。
砲声にも似た2発の銃声と共に12.7ミリの焼夷徹甲榴弾が放たれると、"何か"。もとい、ターミネーターの胸と腹が穿たれると共に内部が焼けながら爆ぜる。
だが、それでもターミネーターは未だ動き続け、ラリーに向けて左腕のグレネードランチャーを向け様とする。
そんなターミネーターに対し、ラリーは再び引金を引いた。
耳を劈く銃声と共に焼夷徹甲榴弾が放たれると、ターミネーターの左腕。厳密に言うならば、左腕に取り付けられたグレネードランチャーが爆発し、ターミネーターは左腕を無くすと共に爆風によって壁際に押し付けられた。
そんなターミネーターに対し、ラリーは間髪入れる事無く3発撃った。
放たれた3発の焼夷徹甲榴弾によって腹と胸。それに頭部が貫かれると、ターミネーターはその場に崩れ落ちる様にして沈み、沈黙する。
そうして2体目のターミネーターを撃破すると、今度は3体のターミネーターがやって来た。
「こりゃ逃げた方が良さそうだ」
ゲンナリとした様子でボヤいたラリーは即座に引金を引き、その3体のターミネーターのグレネードランチャーを撃ち抜いて爆破するや背を向けて駆け出す。
手にバレットM107と言う12キロはある鉄の塊を持ち、両脇には40ミリ榴弾が詰まったクレイモアバッグとM203付きのMk18を提げ、更には予備の弾薬等が詰まったバックパックを背負いながらもラリーは実に素早く走って居た。
そうして走り続け、待機してたビアーヌとエレナ達と合流したラリーはバレットM107の弾倉を交換しながら告げる。
「ターミネーター共が来るぞ。走れ!!俺が殿として食い止める!!」
ラリーが注げれば、ビアーヌ達は即座に駆け出す。
ビアーヌとエレナ。それにエレナのクラスメイト達が走り去るのを見届けると、ラリーはバレットM107を手にジリジリとゆっくり後ろ歩きをする。
程なくして左腕の無い3体のターミネーターが見えて来た。
そんなターミネーターに対し、ラリーはバレットM107の引金を引いていく。
3発の銃声と共に3体のターミネーターの頭部が貫かれ、内部が焼かれながら爆ぜると、ターミネーター達はその場で崩れ落ちる様に倒れて沈黙する。
ターミネーター達が沈黙するのを目の当たりにすると、ラリーは仮説を口にした。
「頭が弱点なのか?なら、何とかなりそうか?」
ボヤく様に仮説を口にすると、またターミネーター達がやって来た。
今度は5体。重火器で武装した1体を除き、4体は大振りの鉈の様なブレードで武装していた。
そんなターミネーター達を見ると、ラリーは笑みを浮かべて嗤い、引金を引くのであった。
魔法無効化能力を持ち、機関銃やグレネードランチャーと言った重火器で武装したターミネーターとか単独でもファンタジーじゃ出禁格なんよ(遠い目
で、ソレが複数存在するって事は兵器として採用され、数多く量産されて運用もされていた事を示唆していると言わざる得ない
兵器ってのは量産して数揃えてナンボだからね、皆のトラウマであるルビコプターみたいに単独で来るのは早々無い…まぁ、複数のルビコプターによるチームと殺り合う羽目になったらコントローラー投げたくなるだろうが(でもガンギマリなレイブンなら嬉々として挑みそうとも感じる
さて、ラリーとエレナは初めて出会った訳だけど…
自分で言うのもアレだけど、ラリーがマジでクソ野郎過ぎる。ロケマサと比べたら…どっちもどっちだな(呆れ
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