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50過ぎでも裏社会で現役の邪悪なオッサンは別れた元カノと娘。それに2000万ドルの為に異世界でヤマを踏む事にした様です  作者: 幽霊@ファベーラ


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20/24

暢気に歩みを進めて

大体サブタイ通りの内容


 シェルエルの中は意外にも視界が完全に無いと言う程の暗さではなく、一応は視界の確保は出来た。

 そんな中をラリーは敢えてMk18の側面に取り付けたフラッシュライトを点して照らすと、更に先への視界を確保しながらビアーヌと共に歩みを進めて行く。


 「そんな先まで照らせるとか便利だけど、敵に居場所を教えもしそうね」


 左脇に立つビアーヌがフラッシュライトの明るさに感心しながらも、敵に見付からないか?そんな懸念を口にすると、ラリーは注意深く前方を見詰めながら返す。


 「そりゃ、屋外の夜戦なら敵に居場所教えてるも同然だ。君の言う通りな……だが、此処みたいな通路ならその心配は無い」


 ビアーヌの懸念を認めながらも気にしていない。ラリーがそう返すと、ビアーヌは首を傾げながらも目に飛び込んで来たモノをに気付くと共に直ぐに納得する。


 「成る程。敢えて照らす事で視界を確保して、敵よりも先に喰らわせられるんなら心配するだけ無駄な訳ね」


 「そう言う事」


 ラリーが肯定と共に瞬時にMk18を構えると、フラッシュライトに照らされて眩しそうにする3匹のゴブリン達を一瞬の内にヘッドショットで射殺した。

 そんな形で実演されれば、ビアーヌは嫌でも納得するしかなかった。


 「銃ってのは便利ね。後で使い方を教えてくれない?」


 「教えたいのは山々なんだが、教える時間が取れるか?怪しいんでな……」


 教えたい。

 だが、教える時間が取れるか?怪しい。

 ラリーからそんな答えが返って来ると、ビアーヌは納得するしかなかった。


 「それは残念ね」


 トレモアスから告げられた1週間と言う待機期間。本来ならば、ラリーはビアーヌに銃の撃ち方を教える為に利用したかった。

 だが、ビアーヌが優秀であるが故に予定外ながらもこうして救出作戦をする事になってしまった。

 しかし……


 「とは言っても今日中に片が付いて、明日中に帰る事が出来れば長くて3日くらいは教える時間が出来るかもしれんがな……」


 そう。都合良く今日中に救出成功すれば、明日には列車でシェルドンに帰る事が出来る。

 そうなれば、残った期間を用いて突貫作業ながらも教えればビアーヌを戦力として利用出来る……かもしれないのだ。

 だからこそ、ラリーは足早に奥へ奥へと進み、現れた敵を片っ端から撃ち殺していく。

 そんなラリーの動きを脇から見ていたビアーヌは心の中で感心に満ちた声を漏らしてしまう。


 私の知る歳老いた人間って大概ならさっさと現役を退いて、隠居するなり、若い連中(ヒヨッコ)達を指導する側になる。

 でも、私の目の前に居る男は違う。

 若い連中と遜色無い。いや、それどころか若い連中よりも早い。


 ダークエルフという長命種であるビアーヌから見れば、ラリーと言う歳老いた筈の男の動きは実に素早く感じてしまった。

 ソレばかりか……


 動きに無駄が無い。

 その上、銃と言う武器が私でも簡単に扱えるんじゃないか?そう錯覚させても来る。

 傍目から見て、簡単に扱える様に感じさせる。それはイコール、高い技術を有してる事に他ならない。


 銃器を用いた戦いに関して素人であるビアーヌから見ても、ラリーの動きに無駄が感じられない。そればかりか、素人のビアーヌが自分でも簡単に出来るのではないか?そうも感じさせてしまった。

 ビアーヌの心の声の通り、片っ端から敵を撃ち殺して進むラリーの動きに無駄は一切無く、とても素早い。

 とても素早い行動を取りながらも、敵の有無を瞬時に判断するラリーはビアーヌから見ても恐るべき腕の持ち主であると、改めて認めざる得なかった。

 そんな時だ。

 武装したオークの群れが2人へ向かって突っ込んで来るのが視界に映った。


 「ビアーヌ!俺の後ろへ!それと耳を塞いで伏せろ!」


 ラリーから矢継ぎ早に指示を飛ばされると、ビアーヌは何も聞く事無く直ぐ様ラリーの後ろへ赴き、指示された通りにその場に伏せて耳を塞ぐ。

 そんなビアーヌを他所にラリーは左手を弾倉に添えると、左の人差し指をM203グレネードランチャーの引金へと伸ばし、引いた。

 軽やかな砲声と共に40ミリ榴弾が放たれると、突っ込んで来ようとしたオーク達へ向けて放物線を描きながら飛ぶ。

 程なくして着弾。爆発と共に鼓膜が破れんばかりの爆音が起きれば、突っ込んで来ようとしたオーク達が飛び散った無数の破片でズタズタに斬り裂かれてバタバタと倒れて逝く。

 だが、そんなオーク達の背後から血走った目を向けながら同胞達の屍を踏み越え、突撃を断行する多数のオーク達の姿があった。

 ラリーは直ぐにMk18の引金を引き、目に付くオーク達を片っ端から撃ち殺していく。

 1匹。2匹と次々に撃ち殺していく内にMk18が弾切れとなってしまう。

 しかし、ラリーは慌てる事無く銃口を下ろすと同時に右腿へ両手を伸ばし、ホルスターからサプレッサー付きのファイブセブンMk3を素早く引き抜いて撃った。

 くぐもった銃声が連続して響くと共に5.7ミリの徹甲弾が放たれると、オークの目や眉間等が次々に貫かれていく。

 それから暫くして銃声が止んだ。

 目の前に多数の死体が転がるのを他所にラリーは急いでファイブセブンの弾倉を交換すると、ファイブセブンの下部に取り付けられたフラッシュライトを点灯させて敵の有無を確認していく。

 残心の如く敵の有無を確認し、残敵が完全に無い事を確認したラリーはフラッシュライトを消してファイブセブンをホルスターへ戻してからMk18を手に取った。

 Mk18に収まったままの弾倉を外して腰のダンプポーチへ入れると、ラリーは腹部の弾嚢(マグポーチ)に手を伸ばして予備の弾倉を取る。

 そして、弾倉をMk18に叩き込めば、ボルトリリースを左の親指で押して薬室へと初弾を送り込んだ。

 そんなラリーに何時の間にか隣へ立ったビアーヌが言う。


 「アレだけの数を独りで殺れるなんて……普通なら、魔法しこたまブチ込んで削ってから白兵になってるわよ?」


 ビアーヌが少しばかり呆れながらこの世界の普通を口にすると、正面をジッと見据えながらM203をスライドさせて大きな空薬莢を排出させるラリーは淡々とした様子で尋ねる。


 「なぁ、この手の迷宮(ダンジョン)はどうなってんだ?俺達より先に救出対象が踏み込んでて粗方殺してる筈なのに、何だってこんだけの数が居る?」


 迷宮(ダンジョン)に於ける最大の謎を問われると、ビアーヌは素っ気無くも正直に答えた。


 「私が知る訳無いじゃない。この手の迷宮(ダンジョン)じゃ、気付いたらモンスターが発生してるなんてよくある話だし」


 そんな答えにラリーは「だと思ったよ」と、諦観にも似た呆れ混じりの言葉を漏らしながら脇のクレイモアバッグから取り出した40ミリ榴弾をM203に装填し、再び歩みを進める。

 暫く歩みを進めると、四つ足の獣が現れた。

 サイズは幸いにも成体の狼ほどであった。

 そんな獣はラリーとビアーヌを睨め付け、唸りを挙げる。

 すると、ビアーヌが獣へ手を翳しながら言う。


 「私が殺るわ」


 そう言うと同時。ビアーヌは手から魔法弾を放った。

 魔法弾は銃弾の様なスピードで獣に当たり、獣は落とした西瓜の如く弾け、無残な死に様を迎えた。

 そんなビアーヌの一撃を見ると、ラリーはゲンナリとしてしまう。


 「マジか……」


 「あら?驚く事かしら?」


 ゲンナリとするラリーを意外そうに見詰めるビアーヌが問えば、ラリーは答える。


 「そりゃ、驚くさ。俺の世界じゃ、アレだけの威力はコイツ初めとした武器が無ければ実現出来ないんだ」


 ラリーが脇に提げたバレットM107を指しながら答えれば、ビアーヌは呆れてしまう。


 「私に言わせれば、ソレを使えば誰でも同じ事が出来るって方がデタラメよ」


 「ガキの撃つ弾も爺婆が撃つ弾も同じってのは、デタラメか?」


 呆れるビアーヌに問えば、彼女は肯定した上で語る。


 「魔法は才能も影響するし、修練を積み重ねなければ実用的な効果は見込めないわ。貴方の銃とは違ってね」


 「銃だって取り扱いを学ぶ必要があるけどな……」


 ラリーの茶々にも似た言葉にビアーヌは呆れながらもさも当然の様に返した。


 「剣とかの単純な武器に限らず、あらゆる行動は遣り方を学んで、修練を積み重ねなければ実用的な扱いが出来ない。その点だけは同じでホッとしたわ」


 戦闘に限らず、あらゆる行動は遣り方を学んで修練(練習)を積み重ねなければ実用的なレベルにはならない。

 歩く事や会話だってそうだ。

 ハイハイしか出来ない赤子が立ち上がり、歩む事だって赤子を愛する両親から教わる。

 そうして、歩ける様になって喋れる様にもなった時だって言葉を学ぶ。

 そして、長い年月を掛けて実用的なレベルでモノにする。

 その点だけはファンタジーも地球も同じ。と、言う事にビアーヌが安堵する様に漏らせば、ラリーは歩きながら同意する様に返す。


 「そりゃそうだ。何も知らない未知の状態で最初から出来る奴が居るんなら、ソイツはバケモノだ。まぁ、中には独学でモノにする行動力の塊みてぇなのも居るがな……」


 「なら、貴方も今の様な洗練された無駄が無く素早い戦いや悪辣な遣り口が出来るまでに長い年月を学びと修練で培ったのかしら?」


 ビアーヌの問いにラリーはつまらなさそうな様子で吐き捨てた。


 「まぁ、そんな所だ」


 「今の貴方を見ると、ヌーブ(新米)だった頃の貴方が想像出来ないわね」


 茶化す様に言うビアーヌにラリーは素っ気無く返す。


 「君だって今みたいな有能極まる間諜(スパイ)になる前があったろ?俺は君のそんなヌーブの頃が想像出来ないな」


 「褒め言葉として受け取っておくわ」


 「是非そうしてくれ。それより、道は合ってるのか?」


 ラリーから確認の為に問われると、ビアーヌは当然の様に肯定する。


 「ええ、このまま進めば2階層目の入口に着くわ」


 「なら、このまま進むとしよう。休憩は要るか?」


 「それは私のセリフよ。お爺ちゃん?」


 挑発にも似た答えが返って来れば、ラリーは涼しい顔で返す。


 「なら、問題無いな。後、俺をジジイ扱いすんな……女性の歳を触れるのはマナー違反だろうが、君の方が俺より歳上だろ?」


 「ソレを言われると返す言葉が無いわね」


 ラリーから慇懃無礼に返されると、ビアーヌはしてやられた。そう言わんばかりに愉快そうに返した。

 そうして和気藹々に会話を弾ませながら奥へ奥へと進んで行く内に次の階層へ向かう入口。そう言える階段の前に着いた。


 「階段の下。敵が居る……結構な数ね」


 ビアーヌがそう言うと、Mk18の弾倉を詰め替えていたラリーは言う。


 「なら、手っ取り早く片付けるとしよう」


 そう告げたラリーはMk18を手放すと、腰のパウチからM67破片手榴弾を取った。

 そんなラリーにビアーヌは尋ねる。


 「何する気?」


 問われたラリーはM67からピンを抜くと、階段の下へ放り投げて答えた。


 「耳を塞さいだ方が良いぞ」


 ソレを聞いたビアーヌは嫌な予感を覚えたと同時、急いで耳を塞いだ。

 その瞬間。階段から爆発音と共に粉塵が勢い良く噴き出し、部屋中に埃が舞った。

 そんなラリーのヤラかしを目の当たりにすると、ビアーヌは耳から両手を離しながら呆れ混じりに言う。


 「貴方と共に戦うなら耳栓は欠かせないわね」


 「貸してやろうか?」


 「辞めとくわ。音を聞き逃して死にたくないから……と、言うか貴方は平気なの?」


 ビアーヌから問われると、ラリーは両耳に取り付けられた装備を指差して言う。


 「騒音対策してるんだ」


 両耳はFASTヘルメットに取り付けられた戦闘用の電子耳栓が保護していた。

 そんな電子耳栓を見詰めながらビアーヌは首を傾げると、思った事をそのまま口にしてしまう。


 「そんな耳栓付けといて私の声がキチンと聞こえるのが意味解らないんだけど?」


 「会話は問題無く出来る耳栓なんだ」


 面倒臭そうな様子でラリーが返せば、ビアーヌは呆れ混じりに言う。


 「貴方の世界の品物を此処で売り廻れば、一財産築けそうね」


 「それは魅力的な話なんだろうな。だが、俺はそう言う事に興味が無い」


 ラリーが本心から答えれば、ビアーヌは尋ねる。


 「無欲なの?それとも面倒臭がり?」


 「後者だな」


 「だと思ったわ」


 暢気な遣り取りをすると、ラリーはM67を再び手に取ってピンを抜く。

 そんなラリーを見ると、ビアーヌは慌てて耳を塞いだ。

 ビアーヌが耳を塞いだのを見ると、ラリーはまたM67を階段へと放り込む。

 程なくして爆発音と共に階段から粉塵が勢い良く噴き出せば、ラリーはMk18を手に取って告げる。


 「じゃ、行こうか」


 その言葉と共に2人は再び歩みを進めると、階段を1段ずつ静かに降りて行く。

 2階層目に降り立つと、視線の先は一言で言い表すならば酷い有様であった。


 「(M67破片手榴弾)を2回投げ込むだけで、10も居たオーク達が皆殺しになるなんてデタラメにも程があるわ」


 ビアーヌが現代兵器に対して文句を言うように漏らせば、ラリーはさも当然の様に返す。


 「安心しろ。この遣り方は俺が産まれる何十年も前から普通にある」


 ラリーから返された言葉にビアーヌはゲンナリとしながらボヤいてしまう。


 「貴方の世界、魔法が無いから地獄めいてるのかしら?」


 「大体合ってるな」


 皮肉と嫌味を込めて肯定すると、ビアーヌは益々ゲンナリしてしまう。


 「貴方の世界に産まれなくて良かった。そう感じるのは気のせいかしら?」


 「多分、気のせいじゃないな。俺だって君の立場なら君みたいに感じるだろうからな……」


 ラリーは本心から答えた。

 実際問題。裏の世界等で活動するラリーにすれば、地球上は地獄にありふれている様にしか見えなかった。

 しかし、その御蔭でラリーは食いっぱぐれが無いのは皮肉以外の何物でも無いだろう。

 そんな事を暢気に思いながらラリーはフラッシュライトで前方を照らし、敵と罠の有無を確認すると、歩みを進めて行くのであった。




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乞食だから欲しいんです

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