来客。後に美味い飯
唐突な飯テロ回
翌日の朝。
シェルドン郊外にある1件の家屋でラリーは目を覚ますと、顔を洗って早朝トレーニングを始めた。
手始めにシェルドンの街なかを静かに黙々と走り続けた。
そうして1時間以上。距離にして約20キロを走り抜ければ、そのままプッシュアップを200回ほどやってから、ブランクやスクワットを始めとした体幹トレーニングをした。
ソレ等を一通りすれば、再びプッシュアップを200回から始めて体幹トレーニングのルーティンを3度行った。
そうして早朝トレーニングを済ませると、服を全て脱いで文字通りの一糸纏わぬ姿になると、家に備え付けの井戸で水を汲んで全身の汗を流していく。
汗を流し終えれば、用意していた着替えに綺麗な下着に着替えてから昨日着ていた物の洗濯を始めた。
暢気な様子でラリーが洗濯をしていると、ビアーヌがやってきた。
「おはよう御座います。起きるの早いのですね」
「そりゃ、色々やる事があるからな」
「私も手伝いましょうか?」
ビアーヌから手伝いの申し出を受けると、ラリーは早速頼む。
「なら、朝食を用意してくれると助かる。腹ペコなんだ」
「解りました」
返事と共にビアーヌが去ると、ラリーはゴシゴシと洗濯しながら思考を巡らせていく。
城には本命を含めた少数の標的達が居て、城の外に多数の標的達が居る。
城の外に居る標的達の大まかな居場所はビアーヌを介して得られる。
現状、俺が取るべき行動は城に居る本命含めた標的達の始末だが……
敵は現在、護りを固めている最中と見るべきだ。
普通なら厳戒態勢の中を仕掛けない。
寧ろ、厳戒態勢が弱まるのを待つべきフェイズと言っても良い状況と言える。
だが、敵が戦略や戦術の素人ならばやりようはある。
歴戦の猛者であり、戦略家とも言える分析者として、ラリーは厳戒態勢の今に勝機を見出していた。
厳戒態勢を敷いてると言う事は同時に油断が生まれる時でもある。
此処までやれば、大丈夫だろう……そんな楽観的な隙が一緒に生まれもする。
だが、同時に敵は俺が今居る方面を最も警戒してもいるのも事実と見るべきでもある。
此処が地球で、HALO降下出来るなら良い。それで終わる。
しかし、生憎と此処は異世界。
地球なら信頼出来る伝手を利用して、密入国の手筈を整えれば良い。
だが、異世界と言う俺にとっては何も無いも同然の舞台。
それ故に自分の力で密入国をしなければならない。
今居るシェルドンから王国へ密入国するにはどうするべきか?
ラリーは頭を悩ませていた。
地球上ならば、借りのある者を含めたその手の専門家の力を借りれば良い。
だが、此処は異世界。
普段ならば当たり前の様にある。その手の専門家の伝手が無いも同然の世界であるからこそ、ラリーは悩んでしまう。
やるんなら……シェルドンから別の方角へ移動し、別の隣国入りして其処から密入国をするべきか?
地球とは違って移動時間がネックになるが、其処は仕方無いとして諦めるしかない。
密入国の方法を大まかながらも考え出すと、一人の来客があった。
その客は僧衣を纏った老神父であった。
そんな老神父の姿に気付くと、ラリーは立ち上がって柔和で優しげな笑みと共に挨拶をする。
「おはよう御座います。神父様」
ラリーが敬意と警戒を込めて挨拶をすれば、老神父は挨拶と共に優しげながらも丁寧な口調で問う。
「おはよう御座います。失礼ですが、貴方がジェーン氏の仰られていたラリー様ですかな?」
神父の口からジェーンの名前が出た瞬間。ラリーは警戒心を強めながらも、ポーカーフェイスと共に否定する。
「ラリー様ですか?申し訳無いのですが、此処にその様な者は居りません」
しかし、老神父が否定を信じる事は無かった。
「成る程。貴方がラリー・ウェスティン様なのですね」
老神父にラリーが自分である事を看破されながらも、ラリーは何も知らないと言った様子ですっとぼける。
「あの?仰られている意味が解らないのですが?」
そんなすっとぼけるラリーに対し、老神父は申し訳無さそうに告げる。
「失礼。自己紹介が遅れましたな……私は神に仕えさせて戴いております、神父のトレモアスと申します。以後、お見知りおきを……御使い殿」
「これは御丁寧に。私はマイケル・アックスと申します」
互いに自己紹介すると、老神父……トレモアスは要件を切り出して来た。
「ジェーン氏より言伝を預かっております」
「何でしょうか?」
「貴殿の危惧した通り、残念ながら背教の徒が実際に居た。現在は異端審問官達によって拘束されているので、神と神に仕える敬虔な信徒達が敵に回る事は絶対に無い……とのことです」
ジェーンからの伝言を聞くと、ラリーは感謝を述べると共にトレモアスに尋ねる。
「ありがとう御座います神父様。所で、司教様も異端審問官なのですか?」
その問いに対し、トレモアスは優しい笑みと共に答える。
「私は細やかながらも神に仕えるだけで御座います」
優しげな笑みと共に返って来た答えから肯定を察すると、ラリーは尋ねる。
「神父様。例えばですが……貴方の仰られるラリー様なる御使いが他の国へ入国したい。しかし、その伝手が無いと困って居られた時、神父様は如何致しますか?」
ラリーからの質問という名の要求を聞くと、トレモアスは真剣な面持ちで考える。
少し考えると、トレモアスは答えた。
「そうですね。申し訳無いとは思うのですが、先ずは我が教会へいらっしゃる様にお願いする次第ですな」
その答えは手伝ってくれる。と、言っても良い答えであった。
その為にも先ずは教会へ足を運んで欲しい。
そう告げるトレモアスにラリーは感謝する。
「ありがとう御座います神父様」
話が終わり、トレモアスが去ろうとした。
だが、トレモアスは「忘れる所でした」そう漏らすと共に踵を返し、告げる。
「誠に恐縮なのですが、貴殿等を昼食に招待しても宜しいですかな?勿論、此方が招いた以上は迎えに行かせて戴きます」
トレモアスからランチの誘いを受けると、ラリーは誘いに応じた。
「喜んで伺わせて戴きます」
「ありがとう御座います。それでは教会でお会い致しましょう」
そう言い残すと、トレモアスは静かに立ち去った。
そんなトレモアスの後ろ姿を眺めていると、ビアーヌが慌てた様子でやって来た。
「どうした?慌てて」
ラリーが暢気な様子で問うと、ビアーヌは慌てた様子で答える。
「あのトレモアスは異端審問官達のトップの大司教よ!何で、此処に来たのよ!?」
ビアーヌから聞かされると、ラリーが驚いた様子は無かった。
寧ろ、涼しい顔で「やっぱりな」そう言わんばかりの様子のまま、さも当然の様に答える。
「俺のお願いを聞いてくれるんだと」
「あぁ、ジェーンが手を回してくれたのね」
「後、教会の上層部に俺が危惧した通り、裏切者居たから処理してくれたってさ」
ソレを聞くと、ビアーヌは驚きを露わにしてしまう。
「何で、貴方は其処まで見通せるのよ?」
その問いにラリーはニンマリと笑いながら答えた。
「そりゃあ、長い年月を無駄にしぶとく長生きしてるからな……」
ラリーの答えにビアーヌは呆れてしまう。
「どんな人生送れば、其処まで見通せる様になるのよ?」
「そりゃあ、ロクデナシ極まる邪悪な連中を見続けてたら嫌でも覚える。それだけの話だ……」
スパイとして、汚れ仕事を初めとしたフリーランスのウェットワーカーとして長年生きて来たラリーにすれば、敵が考えていそうな事は手に取る様に大体は解ってしまう。
勿論、トレモアスが好々爺然とした優しい老司教ではないのも直ぐに解った。
だからこそ、警戒していたのだ。
そんなラリーにビアーヌは好奇心から思った事をそのまま言う。
「昨日のロダンじゃないけど、貴方の事を聞いてみたくなるわ」
「そりゃ、駄目だ。俺は墓場まで持ってく秘密が多過ぎるんでな……」
「だと思ったわ」
「さて、朝食にしよう。腹ペコなんだ」
「御免なさい。急な来客で未だ手つかずなのよ」
申し訳無さそうに告げられると、ラリーは気にしない様子で返した。
「別に良いさ。急な来客ほど予定を台無しにするモノは無い」
実際、ラリーはブルーとジェーンと言う急な来客によって、本来の予定を台無しにされてしまった。
それ故にビアーヌは妙に強い説得力を覚えてしまう。
そんなビアーヌを他所にラリーは宛行われた家に入ると、厨房とも言える竈門のあるスペースを赴いていく。
ラリーは材料を見繕うと「折角だから俺が作るわ」そう告げて調理を始めた。
竈門に火を点し、その上に裏返しにしたダッチオーブンの蓋を置くと、ラリーはナイフでブールとも呼べる丸く大きなパンを2つ。其々、横に切り分けていく。
それから肉を切り分け、程良い厚さの切身を2枚作ったラリーはナイフの刃の無い背で叩き始めた。
慣れた手つきで肉の表と裏を満遍なく入念に叩き終えると、叩く手を止めて熱せられている最中の蓋へ手を翳す。
程なくして手に我慢できない程の暑さを感じると、ラリーは2枚の肉を焼き始めた。
暫くして肉の焼ける香ばしい匂いに鼻腔を擽られると、ラリーは肉に塩と胡椒を振りかけ、空いたスペースに一欠片のバターを放って切り分けたパンを焼いていく。
バターと肉の香ばしい香りにビアーヌが「良い匂いね」と、漏らした。
それから程なくして肉とパンを焼き終えると、ラリーは焼けて香ばしい香りをさせるパンに焼いた肉を乗せ、其処に香草を1枚置いた。
そして、その上にもう1つのパンを乗せると、更に盛り付けてテーブルに置いて告げる。
「出来たぞ。アンブルゲサだ」
Hamburgesa。
スペイン語でハンブルグを指すソレは、ラリーにとってはキューバスタイルのハンバーガーであった。
出来立てで香ばしい香りをさせるアンブルゲサを前にすると、ビアーヌはどうやって食べるべきか?解らずに悩んでしまう。
すると、ラリーはそんなビアーヌへ示す様に目の前でアンブルゲサを掴むと、思い切り齧り付いて見せた。
大きく開けた口で齧り付き、モグモグと咀嚼するラリーを見たビアーヌは見様見真似で同じ様に齧り付く。
齧りついたビアーヌはモグモグと咀嚼して飲み込むと、本心からラリーに言う。
「とっても美味しいわ。肉も何故か固くないし、塩と胡椒の味に香草がアクセントになってる。コレならお店で出してもお金を取れるわね」
手放しとも言える称賛を受けると、口の中に残る物を呑み込んだラリーは「ありがとよ」そう素っ気無く返してからモグモグと食べ続けていく。
それから数分後。アンブルゲサを食べ終えた2人は後始末をしてから別の部屋へ赴いた。
その部屋の壁には昨晩、ラリーが作ったクレイジーウォール(海外ドラマ等でよくある写真や新聞の切り抜き含む書類を糸で繋ぎ合わせたアレ)があった。
そんなクレイジーウォールの前にラリーは立つと、壁に貼り付けられていた1枚の写真を取り、ビアーヌの方へ振り向いて確認するかの様に尋ねる。
「ビアーヌ。この男がクサナギで間違いないんだな?」
写真の中に居る1人の特徴があまり見受けられない。何処にでも居そうなモブとも言える雰囲気の青年を真剣に見ると、ビアーヌは肯定する。
「その男がクサナギで間違いないわ」
確認が取れると、ラリーはもう1枚の写真を取って次の確認をする。
「コイツはこの……日本ならイケメンとか美男子って言うだろう雰囲気のヤワそうな男、トージョウって奴の副官として振る舞ってるのか?」
「トージョウは副官って言うより、体の良い小間使いみたいに使ってるって感じだったわ」
スパイとして調べ、実際に見て感じた事をそのまま答えると、ラリーは写真を戻してから漏らす。
「つー事は、やっぱりトージョウは捨て駒要員だな」
「どう言う事?」
「傀儡、操り人形って事だ。じゃなきゃ、救いようのないバカだろうな……」
ラリーがそう答えると、ビアーヌはラリーの答えに含むモノを理解し、納得する。
「成る程。クサナギは彼をトップに祭り上げ、私達への目眩ましとして利用してると言う訳ね」
ビアーヌの言葉を肯定すると、ラリーは補足する様に仮説を述べていく。
「その認識で良い。このトージョウが世界を支配するって言ったから、ソレに便乗したクサナギは自分と自分の目的をカモフラージュする為に手を貸してるって所だろうな……悪くない。寧ろ、良い手と言っても良い」
クサナギの思惑を看破しながらも、悪くない。寧ろ、良い。
そう評するラリーにビアーヌは尋ねる。
「バレてるんなら、良い手とは言えないんじゃないの?」
その問いにラリーは説明する。
「ジェーンとジェーンの上司とやらは、コイツが本命の標的である事を何故か知らなかった。否、解らなかったと言っても良い」
「でも、貴方は解った。どう言う事?」
「ソレがクサナギにとっての誤算だ。この連中は住まう国は違うが、俺の生きる世界の住人。国は違っても調べる術が無い訳じゃない」
ラリーの語った言葉から意味を察すると、ビアーヌは驚き混じりに呆れてしまう。
「違う国の人間をどうやって調べたのよ?」
その問いに対し、ラリーは説明せずに結論だけを告げる。
「其処は蛇の道は蛇と言うべきか……兎に角だ。俺はその世界から召喚された連中のリストを手に入れる事が出来た。で、君から聞いたクサナギの名はリストに無かった」
「成る程。木を隠すなら森の中……と、言う訳ね」
「そう言う事だ。さて、俺達の仕事だが……最優先事項は、このクサナギを仕留める。この一点だけ。なので、先ずはコイツを仕留める事に専念する」
指揮官としてビアーヌに告げると、ビアーヌは疑問を呈する。
「他の勇者達は?」
「後回しだ。例え、被害が出ようとしてもな……」
その答えにビアーヌが不服そうにすると、ラリーは理解した上で言葉を続ける。
「君の気持ちは解るつもりだ。間諜として、連中の悪行をその目で見てきたんだから尚更、始末したいと思ってる……違うか?」
その問いをビアーヌは正直認めた。
「その通りよ。私としては連中の悪行と被害を考えるなら、他の勇者達を先に仕留めて被害を抑えたいのが本音よ」
ビアーヌの答えを聞くと、ラリーは淡々と言葉を並べていく。
「レイプに罪のない民間人の虐殺。更には虐殺した者達をゾンビとして利用し、侵略の尖兵とした行いは断じて赦されるべきではない」
「ソレが解ってるのに、他の勇者達を後回しにするの?」
少しばかり感情的になっているビアーヌに対し、ラリーは涼しい顔で反論する。
「静かな眠りを奪われてしまった虐殺された者達を邪悪にも尖兵として操り、利用したであろうクソは俺が殺してある」
既にネクロマンサーが殺されている事を改めて知ると、ビアーヌはどう返すべきか迷い、言葉に詰まってしまった。
そんなビアーヌへ追い討ちするかの様にラリーはスマートフォンを手にすると、自分が殺した者達の顔写真を見せて問うた。
「見ろ。この中に虐殺された者達を利用したクソの面があるだろ?」
見せられた顔写真を見ると、ビアーヌは憎悪混じりに肯定する。
「えぇ、コイツで間違いないわ」
そんなビアーヌにラリーは淡々と告げる。
「見ての通り、脳味噌ブチ撒けて無様にくたばってる。君には物足りない殺し方だろう。だが、死者の眠りを奪うとか言う冒涜が二度と為されない事を踏まえ、堪えて欲しい」
勇者達の兵力の要と言えるだろうネクロマンサーをラリーが殺した事を知ると、ビアーヌは折れてくれた。
「貴方が死者たちの眠りを取り返してくれた事に感謝する。勿論、貴方の方針である本命であるクサナギ殺害を優先する事に対しても二度と異を唱えないわ」
「ありがとう」
「だけど、他の勇者達を必ず殺して……1人残らず全員殺す事を確約して」
その要求に対し、ラリーは少し考えると正直に答える事を選んだ。事情も含めて。
「召喚された勇者達の中に恩人の娘が居る」
「恩人の娘?」
「あぁ、俺はその娘を救出する依頼を受けた。勿論、ジェーンの赦しも得てある」
ジェーンの赦しもある事を交えた上で娘……エレナを救出する事を告げれば、ビアーヌは問う。
「その娘の名は貴方が尋ねたエレナ?」
その問いにラリーは淡々と肯定した。
「そうだ」
ラリーが肯定すると、ビアーヌは沈黙して考える。
どうすべきか?決めたのだろう。
ビアーヌは譲歩する様に告げる。
「エレナと、彼女と共に行動している者達は見逃してあげる」
思わぬ譲歩に今度はラリーが首を傾げた。
「理由を聴いても良いか?」
「彼女、エレナとその一党は他の連中と違って、邪悪な行いをしていない」
ビアーヌから譲歩する理由を告げられると、ラリーは思い出した様に言葉を漏らす。
「そう言えば、城を出た連中が悪さしてる的な報告は無かったな」
報告が無かった事を思い出していたラリーに対し、ビアーヌは自分が知る事を語っていく。
「ジェーンから提供されたカメラには収めてはいないけど、私は伝手を使ってエレナ達を監視させた。その伝手から聞かされた内容が確かなら、彼女達は古代の遺跡やダンジョンの攻略に専念しているだけで邪悪な行いをしていないわ」
「誰も殺してないのか?」
その問いにビアーヌは肯定で返すと、更に言葉を続けた。
「身を守る為や路銀を稼ぐ為に盗賊達とかを殺しはしてたわ。でも、ソレは邪悪な行いに含まれない。私や貴方だって殺されそうになったら、殺そうとする者を殺すでしょ?」
ビアーヌの言葉にラリーは納得すると、ビアーヌに感謝し、彼女の要求を呑んだ。
「君の寛大な心に感謝する。そして、残りの勇者達を皆殺しにする事を喜んで確約させて貰う」
「ありがとう。それで、貴方は具体的にどうするつもりなのかしら?」
ビアーヌが助け舟を出す様に問えば、ラリーは壁に貼り付けた世界地図の前に立って答える。
「最初の課題は、王国へ密入国する事だ。昨晩、君が言った通り、王国の国境……特に此処からのは厳重に警備が敷かれていると見ない方が愚かな状態だろう」
其処で言葉を留めると、ラリーは一呼吸置いてから続きを語る。
「だが、ソレは裏を返せば他の方面が手薄になってる可能性が高い事も示唆している。まぁ、俺が指揮官なら他の方面も警戒厳重にするが……」
「その為に貴方は密入国する方法を考えていたのね?」
「そう言う事だ。仕事をするにしても、先ずは標的の近くまで接近しない事には始まらんからな……」
ラリーの思惑に納得すると、ビアーヌは立ち上がって地図へと赴いていく。
「そう言う事なら……私は此処、北の帝国からの密入国を選ぶわ」
「理由を聴いても?」
「帝国は王国を奪おうと考えてるわ。狙いは当然、王国の持つ穀倉地帯よ」
「ソレが俺の密入国とどう関係してる?」
「帝国は複数の密入国ルートを持ってる。間諜や暗殺部隊を送り込む為の物よ」
「つまり、ソレを利用すれば俺達は難なく密入国出来る訳か?」
「そうよ。だけど、問題があるわ」
「問題?」
ラリーが問うと、ビアーヌは答える為に問い返した。
「間諜狩りが行われたのを覚えてる?」
「あぁ、君から聞いた」
「その際、見つかった間諜達は全員殺された。其処に死者の眠りを奪える者が居たら?」
ビアーヌが問う様に問題点を答えれば、ラリーは苦虫を噛み潰した様な面持ちで納得する。
「そう言う事か」
「そう。間諜狩りの際に密入国ルートを全て潰されている可能性が高いのよ……多分、他の国も密入国ルートが全て潰されてるでしょうね」
ビアーヌの語った問題点は正しかった。
勇者達はスパイ狩りの後、隣接する国々から伸びる密入国ルートを全て潰していた。
そんな問題点を聞くと、ラリーは思い付いた様に言う。
「なら、正攻法で行こう」
「正攻法?どう言う事?」
「まぁ、これをするには宗教の力が必要なんだが……幸いにも俺達は昼餉に招待されてる」
その答えを聞いた瞬間。
ビアーヌは顔を青褪めさせてしまう。
だが、ラリーはそんなビアーヌを気にする事無く、暢気な様子ながらも真剣な眼差しと共に地図を見つめながら密入国のプランを大まかながらも立て始めるのであった。
アンブルゲサはキューバスタイルのハンバーガーというべきなのかな?スペイン語でハンブルグなんだけどね
アンブルゲサと言うバーガーはハンバーグを使わないで叩いた1枚肉を使う
で、焼いて塩コショウしたら焼いたパンに挟む
その際にオレガノを載せるのを忘れるなよー
コレで完成って言うシンプルなバーガーである
何時か、キューバへ行く機会に恵まれたら絶対に食べたい……後、本場の葉巻も吸いたい
スパイ狩りでスパイ皆殺しにした後、
ネクロマンサーの力で情報を根こそぎ奪って密入国ルートも判明したら、1つか2つ残して全部潰した後に監視すれば良いから正規( のルートは使えないのである
なので、ラリーは地元の人を利用して堂々と密入国する事を選んだのである




