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やらかし女神の打開策

作者: 桜花オルガ

「ちょっとカリナリーベル!貴女また星を破壊しちゃったの?」


「え?この前は違う星の大陸を滅亡させてなかった?」


「あんたねぇ、そのうち創造神様に怒られちゃうわよ?」



 ここは神々の交流の場、神界にあるカフェのテラス席。女神カリナリーベルが、お茶友達の女神三柱にこんこんとお説教をされていた。



「みんなヒドイよぉ!そんなに言わなくたっていいじゃん。私だって頑張ってるのにぃ……うぅ」



 神々の中の一部は自分の宇宙を持ち、管理しているのだが、カリナリーベルにはその能力が余りないようだ。


 ある星では知的生命体が誕生し、順調に進化していった事がとても嬉しく、施しを与えまくって甘やかしていたら、毎日ぐーたらするだけになった。仕舞には女神に向かって、施しが足りないとまで言い出す始末。


 え?これって私が悪いの?と一瞬だけ考えたが、その星は塵にした。



 また別の星では、一部の大陸の全ての国が統一され巨大な国となり、他の大陸全てに戦争を吹っ掛け始めたので大陸ごと海に沈めた。

(本当はその国の王が本当の神は自分!女神カリナリーベルなど存在しない!とか言い出したからだけど)


 この他にも同じような末路を辿った星は数々ある……



「ふ~んだ!でも今と~っても上手くいってる星があるんだもん!その星の管理で忙しいから私は先に帰るね!皆ばいば~い」




 皆にはあんな事を言っちゃったけど、本当はそんなに上手くいってる訳じゃないんだよね……他の神たちの管理する星を参考に創れば簡単じゃん!なんて思って、こっそり覗いていた地球って星を参考にしたんだけど……何故こうなってしまったのか……


 でも私はもうこの星に賭けるしかない!このソウラリアと名付けた星に!



 はぁ……地球にはない魔法技術が発展したのは良いんだけど、その影響なのか科学的な発展が進まないんだよねぇ。


 魔獣を創ってみたら、最初は無害だった魔獣もどんどん狂暴に進化しちゃうし……なんかソウラリアを滅ぼしちゃいそうなものまで誕生しちゃうし……もう散々だよ。


 人間や獣人みたいな人種たちも、なんかこう現状維持に甘んじていると言うかなぁ。


 厳しい大地にした訳じゃないのに、どんどん荒れ地になっていくし。



 仕方ないから、特別なチカラを持つ『聖女』を何人か誕生させることにしたんだよね。私がまた直接施しとかしちゃうのは良くないと思ったし。ナイス判断だよ私!


 聖女を誕生させてからの数百年は、何とか滅びの道を回避してるからこのまま頑張って欲しい。聖女たちの寿命が尽きるタイミングで次の聖女が生まれるように、私が直接ソウラリアに新たな聖女の魂を送る!これはとても大切な私のお仕事だ。


 聖女が一人でも欠けたら、大変な事になっちゃいそうだからね。



 あ!今日はちょうど新しい聖女の魂を送る日だ。この聖女にもソウラリアのために頑張ってもらわないと!


 そういえば最近、参考にした地球も色々と大変だって噂を聞いたなぁ。ちょっと覗いてみようかな。



 うわ!あ~、やっぱりどんなに上手くいってる星でも争いごとは起きるんだねぇ。ふむふむ……科学が発展し過ぎるのも考え物なのかなぁ。でも地球よりもっと科学が発展してる星もあるみたいだしなぁ。



 え!なにあれ!?スイーツ?スイーツなの!?



 前から思ってたけど、地球のスイーツってどうしてあんなに美味しそうなんだろう……いいなぁ。特にこの国!ここの国の人間たちって、食への探求心が半端ないんだよねぇ。


 地球の生命体たちが、私に食べ物をお供えしてくれたら良いのに……でも他の宇宙の女神である私のことなんて知らないし、無理な願いなんだよねぇ。


 それか地球を担当してる神が、ポーンって私に食べ物を送ってくれれば……あ……



 ポーンって……え?……ええええええぇ!?ちょちょちょ魂!新しい聖女の魂ポーンって地球に投げちゃった……


 ど……どどどどどどどうしよう……


 あれ完全に生命として宿っちゃったよね……



 そうだ!創造神様にお願いして何とかしてもらおう!なんとかなるなるぅ!




      ───◇─◆─◇───




「で、ポーンっと違う星に聖女の魂を投げてしまったと?」


「はい……それで創造神様ならすぐ解決してくれるかなぁと……」


「違う星に送ってしまったくらいなら、カリナリーベル自身でどうとでも出来るだろう?」


「いえそれが……ちょうど他の神の担当する星を覗いてたタイミングで……」


「……ハァ。もう私に溜息をつかせるのはやめて欲しいよ。それでどこの星へ送ったんだい?」


「……地球です」


「え?」


「地球の……日本です」


「にっ日本だと!?」



「「…………」」



「いや……まぁすぐなら何とかなるだろう。魂が送られたのはいつなんだい?」


「……16年前です」


「じゅ!16年前ぇ!?どうしてすぐ私に言わなかった!?」


「言おうとしたんですよ!すぐ言おうと思ったんですけど、それが明日言おうになって、来週にしようになって、来月にしようになって……そして今となった訳です!あはは」


「あははじゃない!!」


「創造神様ぁぁあ!何とかしてぐだざいよぉぉ!」


「……聖女が足りない状況のソウラリアは持ってあと何年だ?」


「……10年くらいです……」



「「…………」」



「創造神様ぁぁあ!!」


「分かった!分かったから泣くな!しかし地球……それも日本か……」


「私に良い考えがあります!地球で育った聖女に、ソウラリアへ来て住んでもらいましょう!日本には()()()()って言葉があるらしいですよ!」


「それ……自分で地球の神に言える?」



「「…………」」



「創造神様ぁぁあ!!!!」

連載中の『たたかう聖女さま』に登場する、女神カリナリーベルのお話でした。

16年も放置された聖女がどうなるかは、連載の方でお楽しみ下さい。

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