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手紙と想い

昨日は投稿できなくてごめんなさい。

お詫びに今日はもう一話投稿できるかも……?

これから書きます。9時までに投稿されなかったら間に合わなかったと思ってください。頑張ります。

 大木さんが撫でてくれた手の甲を僕もそっと触れながら、ダンジョンを出る。

 何があってもいいように、いつでも戦える心構えで庭に戻ると、その異変はすぐに察知できた。


 至る所から立ち上る煙、響く銃声、聞こえる悲鳴、そしてモンスターの蠢く音。


 僕はすぐに駆け出そうと家の玄関に向かうと、そこに一枚の紙と物が置いてあるのが見えた。

 こんなときになんだろうと不思議に思いながらまずその紙を拾うと、その差出人は大賀さんだった。




『Hello、双葉くん。突然だが、不甲斐ない私からの頼みをきいてくれないか。今地球の至る場所でダンジョンからモンスターが溢れ出している。だが戦い守る力が圧倒的に足りていない。だから君にも協力を頼みたいんだ。

 この手紙を書いたとき、君の庭からはモンスターが溢れていなかった。

 君は今も戦っているのか?

 砂漠のダンジョンで独り、モンスターを食い止めているのか?

 増援にいけない私を許してくれ。

 もしこの手紙を読んだらこの場所まで来て欲しい。ここが一番の激戦区だ。

 こんな情けない私だが、君が必要なんだ。君の力に、頼らせてくれ。


 追伸:一緒に置いたソレをつけてくることをお勧めするぞ。

 

                               大賀 雫』




「……情けないのは、僕のほうです。皆が危ないときに、僕はダンジョンで寝てただけ、きっとモンスターは大木さんが倒してくれてた」


 僕は無意識に奥歯を噛みしめる。大賀さんにもしもの時は頼ってくれと言っておきながら、この様だ。

 

 悔しさで視界が濁る。

 だけど、僕は戦える。

 こんな情けない僕には、かっこいい大賀さんが憧れなんだ。


 追伸で書かれてあったものを見ると、それは白い腕輪だった。

 これをつけて何になるというのだろう?意図は図りかねるが、大賀さんの助言なら僕に従わない選択肢はなかった。


 腕輪をつけると一瞬視界が霧に包まれる。でもすぐにそれは気にならなくなって、いつもの視界に戻った。

 霧が晴れたというより霧が透けたような感覚だったが、今はそんなことはどうでもいい。


 とにかく今は大賀さんのために動くとき。手紙に書かれてあった指定の場所とは、驚くことに僕の通っていた学校だった。

 いや、別に驚くこともないのかもしれない。学校はこういう緊急時の避難先に指定されているし、そこで防衛線でも張っているのかもしれない。


「急ごう」


 出し惜しみはしない。今はまだ太陽が出てる。

 僕は光合成で得た謎エネルギーを変換して、飛び出した。




     ◇side学校 霞ヶ丘◇

 

 校庭の端からモンスターが押し寄せてくる。ゴブリン、オーク、オーガ、コボルト。これらのモンスターは全てこの学校の校庭にできたダンジョンから溢れてきていた。


「カスミせんせーっ!!もう壁が壊れそうですっ!」


 隣にいる女生徒から報告があがる。彼女は千里眼という能力でずっとこの戦場に貢献してくれていた。

 本当は生徒たちをこんな危険な場所にいさせたくない。でもここを突破されればどの道この子たちにも魔の手が及ぶ。

 戦ってほしくなんかないのに、今も前線でモンスターと戦う生徒たちがいる。私は先生なのに、あの子たちに守られてばかり。

 でも弱音を吐いてたって現実は変わらない。私は、先生は先生にできることをやるの。


「結界の魔導書(グリモワール)!壁を!」


 私は手に持つ魔導書に語り掛けて前線の壁を補強する。

 私の異能は防御以外に攻撃も補助もできるけど、今は圧倒的に守りの手が足りていない。

 この場には雫たち国軍の異能力部隊もいるけど、彼らの仕事は市民を守ることではなく敵を排除すること。彼らは強いから、きっと時間があればモンスターを殲滅できる。

 

 けど――


「カスミ先生っ!田中君がオークに腕を噛まれて……!!」

「霞ヶ丘先生!宏のやつが目を覚まさねーんだっ!おい目を開けろよ……」

「先生っ!もう戦える人がみんなやられちゃって、前線の維持がっ!」


 ――どうしてこうなったの?


 いえ、わかってる。地球にダンジョンが現れて一週間以上経ってるけど、ここにできたダンジョンは他のものと比べてレベルが違う。

 

 最初はゴブリンなんかの弱いモンスターだけったのに、それが次第に5匹10匹と群れてきて、いつの間にかオークやオーガなんかの鬼まで出てきて、気付いたら奴らは大軍勢となっていた。


(こんなの、もう戦争じゃないっ!)


 今はただ溢れる面積が足らずにこれで済んでいるだけ。ここを突破されたらこの町、いや国が滅ぶことだってあるかもしれない。


「せんせー!!助けてよぉ……」


 生徒たちの悲鳴、気がおかしくなりそうだ。でもそんなこと言って現実逃避なんか言ってられない!


「雫っ!生徒たちはもう限界よ!一旦前線をさげるべきだわ!」


 私は雫から預かった通信機で彼女に呼びかける。

 彼ら生徒は戦うことに慣れていない。でもそれ以前にまだ「死」という概念を受け流す心ができていないのだ。

 これ以上若い命を散らさせるわけにはいかないと、私は雫に後退の意を示したのだが――


『これ以上の後退はこいつらの町への侵攻を意味する。だがカスミのいう通り子供たちはもう限界だろう。前線は私たち国軍が維持するから、カスミは結界を頼むっ!』


 雫から返ってきたのはそんな無茶な声。彼女だってずっと戦い続けてる。もう限界のはずなのに、きっと死ぬまで前線を下がることはしない。


 このままではいずれ崩壊する。今ここに必要なのは手練れの百でなく、最強の一なのだ。

 この状況を一人で覆せるほどの力を持った、そんな最強が一つでもあれば――。


「双葉……」


 脳裏を過ぎるのは一人の少年の姿。

 本人は自覚していないでしょうけど、彼の力は圧倒的だった。まだダンジョンが出現してそう時間が経っていないから、あの時はまだそれに気付けなかった。

 

 でも双葉のソレをきっと、人は最強と言う。


「先生は、生徒の力になれる先生だと、生徒が困っていたら助けてあげられる先生だとっ、思ってたのに……っ!!」


 私のことを生徒たちは頼ってくれた。でもこれからはわからない。

 ここで生徒を失ったら、私は


「双葉……お願い……!先生を――!!」




「――太陽が、気持ちいい」




 その言葉が、後世に残る謎の英雄、『(オボロ)』の口癖だったと人は語る。

 

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