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1-6.こんなに泥沼めいた戦法があるはずがない!


ベッドにヴァイスを寝かせる。

疲労のせいか彼女はグッタリとしていた。

「俺は上に残ってる奴らを片付けて来るから安静にな。」

そう言い捨て地下を去った。

普通ならヴァイスが回復するのを待って自分も地下にこもるのが正解。

が、そう上手くいくわけがない。

俺たちがここにいることは戦いを見ていた他のゴブリンに既にバレている。

地下を出ると、この城にいる全てのゴブリンやミュータントゴブリンが計30匹ぐらい待ち構えていた。

嗅覚に優れ足音を消すほどの奴らだ。昨日の戦闘でもそうだった。


...ところで、こう堂々と武器も持たずに地下から出てきたけどどうしよう。

仕方ない、()()を使う時が来たか。


まずは両手を開いて手には何もないことを伝える。

次に俺は金貨を1枚ズボンから取り出し右手に持つ。

そして金貨を真上に放り投げる。

この時ズボンからすぐさま左手で金貨を2枚取り出す。

投げた金貨を右手で見えないように通しそのまま服の袖に入れる。

その後右手をパッと広げる。

もちろん金貨はない。

ゴブリン達は揃って驚く。

そして左手をパッと広げる。

もちろん金貨は2枚ある。

またもやゴブリン達は揃って驚く。


...ここまで知能が低いとは思わなかった。


特製マジックをすっかり堪能したあとゴブリン達は再び構える。

だろうな。金貨を持ってるのもバレたし。

冒険者の落としものか城のものかよく分からないが近くに落ちていた剣を拾い上げ自分も構える。





──残り10体。

剣を持っている右腕が吹っ飛んだ。

「ならもう一度、錬成(ヒール)!」


この戦いで16回目。

せこい戦法だがこれでしか今は対応できない。痛みは和らげることはできないがずっとやってれば負けることは絶対無いだろう。

そう余裕の笑みを浮かべていたら、右腕がいつもと違ったナニかで形成された。


「なんだ...これ...」

紫色に変色し皮のようにゴワゴワしている。

先端には蛇のような口がついていた。


驚いて見つめているとその腕は勝手に動きだし目の前のゴブリン達を一掃する。

あっという間だった。

辺りを見回すと原型がわからないほど奴らの肉が裂かれ散乱していた。


...一体俺の身体に何が起こっているんだ?

もしかしてヴァイスなら何か知ってるのかもしれない。

俺は慌てて地下に戻りヴァイスのいる部屋に向かった。


ドアを開けるといきなりヴァイスが俺に飛び込んできた。


「おっと...もう具合は大丈夫なのか?」

そう言って頭を左手でそっと撫でる。


「ご主人様...力になれず申し訳ございませんでした...」

彼女は泣いていた。


「言っただろ?ヴァイスは俺の大事な相棒だ。困ったときはお互い様。」

「はひ...」

「だから泣くな。昨日俺が死にかけそうになったのを助けたのはヴァイスなんだろ?あの時はホントに助かった。ありがとう。」

そういってよしよしと優しく撫で続け抱き締めた。





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