1-2.こんなにクエストを強引に受注できるはずがない!
「ここが冒険者ギルドか...」
冒険者ギルドは鎧を身にまとった戦士や強そうな杖を持った魔法使いなど多くの冒険者で賑わっていた。
自分だけがここの世界と違う住人だけあって何かボッチ感を感じる。
まさかここでも高校にいるときと同じ感覚を味わうなんて思わなかった...
ギルドの案内が書かれた掲示板を読んでさっそく冒険者登録しに受け付けに向かった。
「すみません...冒険者登録したいのですが...」
最近の若者はこうやって最後まで言わないが主流だ。
「分かりました、それではステータスカードの提示をお願いします。」
俺はポケットからカードを取り出し受け付けに置いた。
「ヒイロ様ですね。では次にいくつか質問をします。」
面接は苦手だな..
「まずは今お住みになっている地名と番地をお願いします。」
あ、これ詰んだっぽくない?
異世界転生したてのほっかほっかのホームレスなんだが...
「えっと、俺はホームレスです。」
まあ嘘ついてもバレるだろうし、そもそも地名とか分からない。
「え?あっ、はい失礼しました...」
「で、では今の職業をお願いします。」
職業?
俺は元々高校生だがこの世界の学校に通ってるわけではない。
だとしたら答えはただ一つ。そう、それは...
「すみませんニートです。」
....
沈黙が続く。
まあ住所不特定無職ってよくよく考えてみるとまずいよな。
というかこの受け付けの子笑顔のまま固まってるんだが。
「あのー、最近孤児院から出てきた者なのでそういう状態なんですよね。」
ギルドに来るまでに孤児院を見かけたしそういう設定で多分大丈夫だろう。
「あーはい...そういうことですか分かりました...お手数をお掛けまして誠に申し訳ございません。」
この子よく頑張ったな。
笑顔を絶やさないことは現代社会でも大事だ。
「それでは少しお待ちください。」
そう言って受け付けの子は席を離れた。
ここのギルドにはギルドランクというものが設定されている。
上から順に
SSS、SS、S、AA、A、B、C、D、E、F
クエストをクリアすることでそのランクが上がっていくシステムだ。
冒険者を始めて最初にクリアしたクエストの推奨ランクが自分のランクとなりそこからスタートする。
普通はEやFで、ある程度の才能がある人はDから始めるのが多いらしい。
てかSSSってSいっぱいつければ凄いってことじゃねーよ。
とツッコミしそうになったとき受け付けの子が戻ってきた。
「お待たせしました。こちらがギルドカードとステータスカードです。」
2枚のカードを受けとる。
「それではよい冒険者ライフを!」
俺は一礼しクエストの掲示板に向かった。
しかしあまり高難易度のクエストはなかった。
けれども隅にSランク推奨のクエストが1枚。
「どれどれ....っとゴブリンの拠点の殲滅?」
ゴブリンってよくゲームの最初に出てくる雑魚敵なのに
なんでSランクもあるんだ?
拠点だからって流石に推奨ランクが高過ぎだ思うんだが...
おまけに2体しか敵のレベルや詳細が書いていない。
疑問を抱きつつもそのクエストの紙を取りクエストカウンターに提出した。
「すみません冒険者様、このクエストは最初に受けるクエストに向いていないのですので他のクエストはいかかでしょうか?」
当然の反応だ。
だがここで退くわけにいかない。
「俺は冒険者だ。」
「はい?」
「俺は冒険者だ。」
「...」
「俺は冒険者だ。」
「...3番の馬車にお乗りくださいませ。目的地まで10分となります。」
ヤバい人アピールはこういう時に使える。
後悔はない。
ここでSランク取れば後先楽になるだろう。
最強チート武器もあるしいけるいける余裕余裕。
...決してフラグなどではない。