4-3.こんなに羞恥心がないはずがない!
しばらく歩いていると川が見えてきた。
「ご主人様!ご主人様!あそこで水浴びしましょう!」
「え、あぁそうだな。」
ヴァイスもやっぱこういう子供っぽいところがあるんだな。
そう感心してると
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え?
なんとヴァイスは服を全部脱いだのだ。
うすピンク色をした可憐な乳房が露になる。
そしてそのまま川へと入っていった。
...羞恥心というのがないのは出会った時から気づいてたが女子の体にはやはり慣れない。
「ご主人様ー!水浴びしないんですかー?気持ちいーですよー!」
そうヴァイスが遠くから叫んでいるのがわかる。
ヴァイスは妹、ヴァイスは妹、
俺はそうやって何度も自分に言い聞かせながらトランクス姿になり川へと入っていく。
「気持ちいいですよね!ご主人様!」
そう言いながら水をぴちゃぴちゃとこちらへかける。
「あはは...そうだな。」
俺はなるべくヴァイスの方を見ないようにする。
「ご主人様?下を向いて...具合でも悪いんですか?」
ヴァイスが駆け寄ってきた。
ばか、そんなことしたら色々と見えちゃうだろ!?
「ヴァイス、待て!、ウェイト!」
時すでに遅し。俺はヴァイスの全裸をゼロ距離で見た瞬間、鼻血をぶちまけて気絶してしまった。
_______
ん?どこだここは...?
いつの間にか俺はどこかの会議に出ていた。
図体のでかいレヴナントの騎士が口を開く。
「これからレヴナントワークスの戦況を発表する。」
レヴナントワークス...聞いたことがない。レヴナントの関する何かか...?
「まず、人間の死亡数の確認をする。西○○○部では105名の死亡が確認、で南▲▲▲地方では432名が確認された。」
なんだ?何が起こっているんだ...?
人間が次々と死んでいるだと。
何も分からないが俺は手をあげる。
「どうなされましたか、ヒイロ様?」
俺はドンッと音を立てて立ち上がる。
「人を殺めるなどと、こんなことは間違っている!即座に作戦を中止すべきだ。」
周りはキョトンとこちらを見た。
そして心配そうに一人の女性が話しかける。
その女性は身長は違えどヴァイスとよく似ていた
「愛しのヴァイス様を失ったせいでしょうか...まだショックを受けたままでしょう。ここは一旦落ち着いてください。」
ヴァイスを失った...?どういうことだ...?
「ヴァイスが...?」
「ええ、今はヴィーバントの拠点にて幽閉されてます。彼女を助け出すために、そして人間からレヴナントを守るためにこの作戦を行っているのでしょう...?」
ヴィーバントの拠点でヴァイスが...?それと人間からレヴナントを守るだって...?
ますます意味が分からなくなってくる。
「そう...なのか...」
この場では納得する以外ない。
俺は黙って座る。
「...さて前回の戦況はここまでだ。次は使徒化についてだ。資料をご覧に。」
俺は手元にあった資料を目をやる。
そこには驚きのことが書いてあった。
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我々は人間の直接の使徒化に成功した。
成功した実験物は新しくNoの配置を認める。
だがそれに伴いいくつかの弊害を負ってしまった。
まずは成功した例についてを示す。
・ステータスの強化
防御力を除きステータスが倍以上の強化が見られた。
主に攻撃力はレベル43で255とカウントストップの領域まで達した。
以後の強化は薬物の投与で行う予定。
・液状態への進化
現状物理態が主戦力となっており、液状態はあくまでも初期型として造られているものだったが、この度の使徒化の実験で元々人間という本来は物理態になる予定が液状態となるケースが見られた。
この進化は前代未聞のケースであり原因解明のため実験を続ける。
次は失敗した例を示す。
・脳の損傷
使徒化に耐えれずレヴナントにはなったものの脳の一部が機能しなくなり自我を失うケースや味方を襲うケースが見られた。
この問題はかなり重要であり実際に良個体を失ってしまったため、以後一体ずつ実験物を隔離して使徒化を行うことにする。
失敗した165の実験物は圧縮プレス装置「ヘヴン」で処理を行う。
・人間としての自我を持ち逃げ出す
何らかの不具合で人間としての自我を持ったままで研究員を襲ったり逃げ出すケースがあった。その数は88。そのうち85は上級レヴナントが駆除に成功した。駆除しきれず残った3匹は現在研究施設から逃亡している模様。
成功した実験物 47
そのうち進化した液状化 2
そのうち同じ実験物に殺された数 30
処分した実験物 253
そのうち逃走した実験物 3
今回実験を行った個体 300
直接使徒化して造られたレヴナントは通常を越す新たな兵器となりうる可能性が高い。
しかしその分デメリットもあり実験は困難を極める。
今回の結果で得られた結果はかなりの進歩となった。
以降の使徒化の実験を進める。
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はらわたから怒りが込み上げてくる。
俺は激昂しテーブルを叩きつけ再び立ち上がった。
「人間を実験物扱いだと...ふざけるのもいい加減にしろっ!」
その圧する態度に周りは驚く。
「ですがヒイロ様これは貴方が...」
「黙れ。なら今からこの計画をぶっ潰してやる...!」
俺はレヴナントの発言を無視して愚者の刃を展開しようとする。
しかしその矢先、
『バインド!!!』
何!?
光の輪で体を締め付けられる。
さっきの女性が拘束魔法を唱えたのだ。
そして俺は身動きもできず倒れこむ。
「く、くそ....」
そして彼女がこちらへと近づいてくる。
「やはりショックが大きかったのですね...」
「違う...!俺はただ...」
「抗うつ剤をもう一度投与します。痛いですが少し我慢してください。」
―――――「ご主人様?ご主人様?」
ヴァイスが必死に俺を呼び掛けている。
「ヴァイス...」
「ご主人様!お目覚めになったのですね!大丈夫...でしょうか?」
どうやら膝まくらされているようだ。
「あ、あぁ、ちょっと疲れてたようだ。」
また不思議な夢を見てしまった。
あれは一体なんだったというのだろうか。
少なくとも正夢にはならないでほしい。
「そうですか、無理はしないでくださいね。」
そういって頭をなでてくれた。
レヴナントワークス...覚えておこう。
あんなことは絶対にさせない。