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2-1. こんなに頑張ったのに銀貨x枚のはずがない!

「ご主人様はレヴナントです。」



少しの沈黙が続く。

冗談はやめろと言いたいところだが、彼女が言うのなら本当なんだろう。

それでも自分がこの世界の人間が対立している化け物なのだと自覚することができなかった。

「根拠とかある...のか?」

震えながらもやっとの思いで声を出す。


「目に見えて分かるのはステータスカードと呼ばれるものかと...」

ひどく落ち着いた声が逆に不安をかき乱す。

焦りながら取り出したステータスカード。

最初に見たときと何一つ数字が変わってない。


「あくまで人間のものですから反映されないのが当たり前です。」


「でもご主人様の心は本物の人間。だからご主人様は人間として生きる権利があるのだと思いますよ。」


色々なことが頭を駆け巡りながらもあたたかいヴァイスの言葉が1つずつ心に染み込んで行く。


「だから元気を出してください。明日になってからいっぱい考えましょう。」


口から声を出すことはもうできなかったがゆっくり頷き、寄り添いあい共に眠りについた。


事案?頼むから空気読んでくれ...



強い朝日の光が俺たちを照らす。

そういやカーテンするの忘れてたな。


「ふにゃ。おはよーご主人様ぁ...」

!?!?!?

猫みたい(まあ猫だけど)にうずくまって目をごしごししてるヴァイスに一瞬理性が吹っ飛びかけるところだった。

やはり朝はどうしても慣れない。



「ーよし、じゃあ行くか。」

荷物をひととおり整理し姿を変えた相棒を担いで宿を出た。


ひょんなことで指名手配みたいなものになってもいいようにフード付きの茶色いローブ、保存がきく食料をざっと10日分市場で揃えた。

その足で報奨金受け取りにギルドに向かう。


「あれ?馬車の少年くんじゃないか!?」

どこかで聞いたウザい声。

そう、俺はいま一番会いたくない奴とエンカウントしたそうだ。

「スルギ様...?こんなところで会うのは奇遇っすね。」

頑張れ俺。笑顔を絶やすな。

「さっき町のウワサで君が攻撃力が999の武器を手にいれたで有名になっているんだよ。良かったらこのスルギに見せてくれるかい?」

まじか...まあそりゃウワサになってもしょうがないことだよな。

だからと言って易々と見世物にするわけにいかない。


「悪いんすけど今色々と急いでて...というかどうして勇者とあろう方がレヴナントの本拠地にずっと離れた町にいるんでしょうか?」

よし、上手い具合に話を変えたつもりだ。


「いやー、それがね。こういう脅威があまり認知されていないところが狙われるんじゃないかって、僕の勘がそう囁いたんだ。」

あーうん合ってます。全部。ぜーんぶ。何が囁いたのは知りませんが本当にその通りでございます勇者様。


「あー急いでいるのに邪魔して悪いね。じゃねー☆」

いつもどうりステータスアップした1.5倍の速度でどっかに行ってしまった。

根はいい人なんだろうきっと。まあ俺からしたらいずれ敵となる可能性もなくは無いが、色んな意味でもう出会いたくない...




なんやかんやギルドにたどり着いた。

すかさず受け付けまで行って報酬金を貰おうとする。

「あのー...昨日のSランク推奨のクエストを受けたヒイロっていう者なんですけどー..」

流石に周りに聞こえる声でSランクがどうたらとか言えるわけがない。そもそもそこまで声が出ないが。


「こちらが報酬金になります。」

バイトはしたことはないがこうやって稼ぐのはなんだか気分がいい。

「銀貨1枚です。」

ん?


「すみません...実はと言うと...」


どうやら変な話、偽造されたクエストだと。

ギルドが多忙でそこまで目につけられなかったらしく、またSランク推奨なものだからクエストを受ける側もあまり気にはしなかったため確認が遅れたそうだ。

ギルドが気づいたのはちょうど俺たちが宿に入った時。まじかよ...


「銀貨1枚というのはギルドからの謝礼金ということです。誠に申し訳ございません。このようなことは普段めったに起こらないことですが、再発防止を心がけていきます。」

せっかくこの世界に来てこの仕打ちはキツイ。


「あと、ギルドカードの提出をお願いします。現段階のヒイロ様のランクを決定する手続きをしますので。」

完全に忘れてた設定だ。

俺はすぐさま取り出した。


「30分程度で終わりますのであちらの休憩所でお待ち下さい。」

と言って奥に行ってしまった。

ゲームだったら5秒もしないが現実ってそんなにかかるのか...

とため息を漏らしながら椅子に腰かける。


-さて、目をつぶって考え事でもしますか。

しかしその時、どこからか頭の中に声が入ってきた。


(私もいますよ( *・ω・)ノ)


(こいつ...直接脳内に...)


(ヴァイス!ですよ!ご主人様!(◦`H´◦))

知ってた。てかヴァイスと会う前のゴブリン戦の時と同じ声だ。

あとテレパシー?で顔文字使うな。脳の処理が追い付かなくなる。


(あ、やっぱ顔文字嫌でしたか?)

そーいやそうだ、全部丸聞こえってことになる...ってことは最初に大鎌を手にした時からずっと考え事お見通しというわけなのか...?


(v(^∀^)vィェィ♪)

とりあえず顔文字は勘弁してくれ。



ーまずレヴナントとしてこれからどうするかってことが先か。

聞いた話(第1話参照)では、人間の味方をしたら他のレヴナントから命を狙われるらしい。しかし、憶測にしか過ぎないが今のところ俺をレヴナントと認知している者は他にいない。幹部らしき謎の黒騎士や老人に化けていたレヴナント、今まで2人会ったが2人とも俺を人間だという前提で話していた。


(今のところはってかんじですね...まだ大丈夫だと思います。)


そうだ、錬成(ヒール)についてもう少し教えてくれないか。


(体力を回復する、傷を癒すというより新しい肉体でダメージを被ったところを補います。しかしデメリットがあり、錬成(ヒール)の場合頻繁に使うと元の肉体に戻れなくなってしまいます。)


...


(ご主人様...?)


ああ、ごめん。ちょっとボーッと。


(あの...私は...その...ご主人様はその姿のままでいてもらいたいです...)


...分かってる。俺もできれば醜い姿になんてなりたくない。





「ヒイロ様ー!ランクの手続きが終わりましたー!」

明るい声がしたと同時に眼を開ける。

もう30分経ったのか...授業中でも考え事してたらたまにそういうことあったなぁ。


「こちらDランクからのスタートになります。それでは良い冒険を!」

受け取ったギルドカードの右上の部分に大きくDという文字が刷ってあった。

名前の上の欄に新しく何か書かれてある。

ん?称号...?えーっとどれどれ??



「「もしかして:チーター」」







リアル多忙で遅れてしまいました!次回から本格的にスタートです。

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