表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

41/45

四十一話 執着心


 ローワンは大きく深呼吸を繰り返すと、指の隙間からココレットの姿を覗き見た。


 美しい肢体の女性がそこにはおり、一般の男の憧れとしては理想形態と言えるのかもしれない。普通ならば戻って欲しくないと願うのだろうかとローワンは考え、眉間にしわを寄せる。


 ー私はココレットに元の姿に戻って欲しい。


 自分の胸の内に気づいた時、ローワンはさらに眉間のシワを深くした。


 ー私は・・・もしや・・そうした趣向の持ち主なのだろうか?普通男なら、美しい女性に胸をときめかせると言うが私は、元のココレットの方が好きだ。・・うん・・そう。好きなんだ。


 顔が熱くなるのをローワンは感じ、羞恥心で死にそうになる。


 ローワンは頭を振ると、とにかく今は切り替えようと顔を上げた。


「ココレット。その・・・とりあえず、子ども扱いをしてしまい申し訳なかった。これからは気を付けるから、まずはここから帰ろう。」


 その言葉に、ココレットはぱっと顔を明るくした。


「婚約破棄はされないのね!?」


「ん?あぁ。そんなつもりはないけれど・・」


「よかったぁぁ。私、ローワン様に結婚なんて無理だとか言われたらどうしようかと・・はぁ。本当に良かった。」


 嬉しそうに頬を赤らめるココレットに、ローワンの心臓はバクバクと音を立てる。


 未だかつて味わった事のない感情に、ローワンは胸を押さえて首を傾げる。


 そんな二人の様子を見てヴィシアンドルは苦笑を浮かべた時であった。扉の外に気配を感じ、三人は身構えると、取り囲むように影が床から姿を現す。


「これは!?」


 ローワンはココレットを背に庇うと、扉が開き、そこにげっそりとやせ細ったドラゴニアの王ザダールの姿があった。


 その姿は数刻前に見た時よりも悪化しており、ココレットは目を丸くした。


「お・・おぉぉ・・聖女様・・・やっと・・やっと手に入れた。」


 ザダールが手を伸ばすと黒い影がココレットを奪おうとしてくるが、それをヴィシアンドルとローワンが剣で切り捨てた。しかし、地面から次々と黒い影は湧き上がってくる。


「一体何だこれは。」


「これが禁書の力ということですかね・・ですが・・王の様子からして・・命を削られるもののようですね。」


 ココレットはその姿を見て、何故それほどまでに自分を求めるのか疑問に思った。この王と会った事があるのは数えても一度か二度、それなのに何故。


「聖女様をこちらへとよこせ!」


 王の体は次第に黒い蛇のようなものが体を這い、目は赤黒く変わっていく。


「それは・・それは・・俺の女だぁぁぁぁぁぁ!」


 盛り上がるザダール王を、ココレットは冷めた目で見つめた。






いつも読んでいただきありがとうございます!

最終局面へと入ってきました。

頑張ります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] (悪い笑顔で) くっくっく。 なあ、ローワン殿ぉ、認めちまいなよ。 「私は小さな女の子が好きなんです」 ってさあ。 大丈夫大丈夫、実際のココレット嬢は18歳。 なんの問題もないだろぅぅ? 周…
[気になる点] ローワン… 気になる女の子が、偶々小柄で 気が付いたら、どうしようもなく好きになっていたのか 自分の潜在的ロリコンに開眼したのか ちっさいもの好きか… [一言] ザダール王…(なに真…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ