三十八話 誘拐されました
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ココレットは目を瞬かせる。
先程までは確かに自分はローワンと共にいたはずなのに、今は蝋燭の並ぶ部屋の一室にて、黒い影の集団に囲まれている。
これは絶体絶命のピンチというやつであろうかとココレットが顔を引きつらせていると、自分の前へと一人の男がゆっくりと進み出てきた。
その顔には見覚えがある。
ドラゴニアの国王であるザダールである。
昔見た時には、傲慢そうではありながらも自信に満ち溢れていた男だったが、目の前にいるのは、目の下に隈を作り、げっそりと痩せた男であった。
「・・・この・・この娘が・・聖女様なのか?」
眉間に深くしわを寄せたザダールはココレットの髪を無造作に掴むと、自分の眼前へと引っ張り上げた。
「いったぃ・・・」
ココレットはもがくが、ザダールのぎょろりとした瞳に見つめられ、小さく悲鳴を漏らす。
怖い。
ココレットは、体が震えそうになる。
自身の一度目の死を今、思い出し、今世はまだ死にたくないとザダールを睨み返した。
「・・美しかった聖女様が・・なんという姿に・・・元の姿に戻す方法はないのか?」
そうザダールが言うと、影が蠢き声が響く。
「・・現在の姿を・・変化させる事ならば・・可能です。」
「やれ。」
ザダールは乱雑に影にココレットを投げて渡すとその場から立ち去って行った。
ココレットは自分の体を抱きしめながら、影を見上げると、影には顔がなく人ではない事が分かる。
一体どのような禁忌に手を出したのだろうかとココレットが顔色を悪くすると、影にココレットは俵のように担がれると、魔法陣の中へと運ばれる。
そして、影の集団に囲まれ、魔法陣に変な薬のようなものが注がれていく。
「やっ止めて!一体何をしようっていうのよ!」
「死なない。安心しろ。」
「死なないからって何してもいいわけじゃないでしょう!」
ココレットが魔法陣の外へと出ようとするが、結界のような物でかこまれているのか外に出ることさえできない。
「出して!出して!」
必死に外に出ようともがくが、自分には何もできない。
ココレットは悔しくて、瞳に涙をにじませた。
魔法陣が緑や赤に色を変え、そして渦巻くようにしてココレットの体を包み込んで行く。
自分の体に何が起こっているのか分からず、ココレットは恐怖を感じる。
何をされるのか分からないこと以上に、怖い事はない。
「・・・痛い・・イタイイタイ痛い痛い!!!!」
体に激痛が走り、体の中で何かがはじけるような感覚がある。
ー何?!
ココレットは自分の手足を見つめた。
そして自分の胸を思わずむんずと掴みあげ、久しぶりの胸の重さに目を丸くした。
「私・・大きくなってる。・・聖女様の・・時みたい・・」
そう。ココレットは今、ちびっ子ではなくなっていた。
ココレットの頭の中はパニックである。
はっきり言えば、身長はずっと欲しかった。身長さえあれば子どものような扱いをうけることもなく、普通の令嬢のように恋愛できると思っていたのだ。
だが、今のこの状態で大きくなるという事は、もし、ローワンが助けに来たときに、この姿を見られてしまうかもしれない。そう考えると顔を引きつらせたくなる。
-ちびっ子の私が最終形態なのに!この姿を見せて、もし本当のちびっ子に戻ったら・・未来を期待させてしまったら・・ローワン様に、絶望を味あわせてしまう事になるかもしれない。
「は・・早く元の姿に戻らなきゃ・・・」
身長は欲しい。
けれど、ココレットにとっては元の小さな自分が本当の自分であり、そのありのままの姿をローワンに好きになってもらいたいのだ。
ココレットは、一体どうすれば元の姿に戻れるのだろうかと必死に頭の中で考えを巡らせた。
ココレットが・・ボンキュッボン。うん。それもいい。けれど、それだとタイトルが変わってしまう。ww
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