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【連載版】ちびっ子元聖女は自分は成人していると声を大にして言いたい!  作者: かのん


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十四話 あれ?これって婚約者扱い?

すみません。また設定を間違えてました。自分で確認して、あれ?更新していない!?何故?!って、なるとドキッとします。

楽しんで読んでいただけたら嬉しいです。

 肉の味を十分に堪能した二人である。ローワンは小さな体でぺろりと肉を食べきったココレットのお腹をちらりと見て、よくその細い体におさまったなと内心感心している。


「おいしかったですね。」


「そうだな。ココレット、こっちを向いて。まだ口についている。」


 そう言いながらローワンはココレットの口元を拭う。当たり前のように口元を綺麗に拭われながら、あれ?と、ココレットの中で小さな疑問の芽が育つ。


 ローワンはその後、ココレットの手をぎゅっと握ると言った。


「はぐれないように手を繋いでおこうね?」


「は・・・はい。」


 頬を赤らめたココレットであったが、またあれ?とわずかな疑問が頭の中をよぎる。しかし、頭を振るといやいやまさかと、自分の疑問の正体を振り払った。


 二人は手を繋いで商店街を歩いていくと、噴水の前に人だかりができているのを見つけ、それに引き寄せられるように向かって行った。


 どうやら大道芸人が見世物をしているらしく、人だかりができているようだ。


「何をしているんでしょうね?」


 ココレットがわくわくといった表情でローワンを見上げて尋ねると、ローワンはちらりと人ごみの中へ視線を向ける。


「どうやら、パントマイムをしているようだね。」


 それを聞いたココレットは瞳を輝かせてその場でぴょんぴょんと飛び跳ねる。それに合わせてスカートがふわりふわりと浮くのが可愛らしくて、ローワンは笑いを堪えた。


「ココレット。少し失礼するよ?」


「え?っ!?きゃっ!!」


 ローワンは大道芸人が見えるようにココレットを軽々と抱き上げる。突然の行動にココレットは驚きながらもパントマイムをする大道芸人を見て、歓声を上げた。


「すごい!本当に壁があるみたいですね!」


 瞳を輝かせてひとしきりパントマイムを楽しんだココレットだが、ここでハッとする。そして先ほどからの疑問が確信へと変わっていく。


 パントマイムが終わり、ローワンはココレットを地面へと下すと、にっこりとほほ笑みを浮かべるが、それに、ココレットは不満げに頬を膨らませると、眉間にしわを寄せた。


 突然機嫌の悪くなったココレットにローワンは首を傾げる。


「ココレット?どうしたんだい?」


 ローワンの言葉に、ココレットはリスのように頬を膨らまして怒った。


「ローワン様・・私の事を子ども扱いしてませんか?」


「え?」


 突然の苦情に、ローワンは視線を泳がせると頭をぽりぽりと掻いて苦笑を浮かべる。


 その様子にココレットはさらに頬を膨らませると、手を腰に当ててローワンにはっきりとした口調で言った。


「私は、ローワン様の婚約者です!子ども扱いは止めて下さいまし!」


 ぷりぷりとして起こる姿もまた可愛らしい。ついそうローワンは思ってしまうが、これを言ったらさらに怒られる気がして、反省しているように手を胸に当てて、真剣な表情で言葉を返した。


「すまない。分かってはいるんだ。つい・・だが、気を付ける。」


 本当に分かっているんだろうかと、ココレットは唇を尖らせる。その仕草はハッキリと言えば子どもっぽい。だが本人は至って真面目に悩んでいる。


 子ども扱いでは、恋愛にならない。


 どうにかしてココレットはローワンに自分は成人している女性なのだと認めさせなければと闘志を燃やすのだが、どうやったらいいのか分からない。


「ろ・・ローワン様はどうやったら私の事をちゃんと女として見てくれますか?」


 潤んだ瞳で突然そう言われたローワンは驚き、目を瞬かせると、思わず吹き出すように笑った。


「はははっ。何を言うのかと思えば、ココレットはおませさんだなぁ。」


「なっ!?」


 同じ年なのにもかかわらず、ココレットは明らかに子ども扱いされている事に顔を歪めた。前世を足せばはるかにココレットの方が年上だというのにだ。


 王子と言う立場のローワンは、中々に不機嫌な人という人に出会わない。出会うとすれば王妃くらいなもので、王妃の不機嫌は大抵は国王である父が治すので自分には無関係な事が多かった。


 だが、今まさに、ローワンは父の苦労を知る事となる。


 ココレットは一瞬にして不機嫌になり、先ほどまでの可愛らしい笑みは消えてしまった。ローワンにとって女性に不機嫌な態度を取られることは初めての経験であり、どうしたらいいのかが分からない。


 陰から見ている護衛らもはらはらとしているが、口を出すわけにもいかない。


 どうしたものかとローワンは頭を掻いていた時であった。ちょうど近くの教会の鐘の音が鳴り響いた。


「あぁ、今日はヴィシアンドル殿の礼拝の日だったか。」


「ヴィシ・・アンドル殿?」


 誰の事だろうかとココレットはローワンの視線の先へと目を向け、目を見開いた。


 そこには、教会からちょうど出てきた神官がおり、その人をココレットは知っていた。


 ローワンは片手を上げると、ヴィシアンドルの方へと声をかける。


「ヴィシアンドル最高神官長殿。」


 声を掛けられたヴィシアンドルは、ローワンとココレットの方へと視線を向け、こちらへと歩いてくると頭を下げた。


「第二王子殿下にご挨拶を申し上げます。本日は、お出かけですか?」


 柔らかな微笑を浮かべるヴィシアンドルに、ココレットはぎょっとしながら固まっている。それにローワンは気づかずに頷いた。


「ええ。婚約者のココレット・ステフ男爵令嬢だ。ココレット。こちらは最高神官長であるヴィシアンドル殿だ。」


「ヴィシアンドルと申します。」


 頭を下げ、にこやかな笑みを向けてくるヴィシアンドルから一歩後ろに下がりながら、ココレットもどうにか笑みを浮かべると返事を返した。


「ココレット・ステフです。お会いできて光栄です。」


 ヴィシアンドルは優しげな笑みを携えたまま、ローワンとココレットをそれぞれ見ると、ローワンの方を見て静かに言った。


「第二王子殿下、ご婚約者を怒らせてはいけませんよ。ちゃんと大切にしなければ。」


「え?」


 何故分かったのだろうか。ローワンとココレットが目を丸くすると、ヴィシアンドルはココレットの前へと進み出ると、懐から小さな箱を取り出して、それをココレットへと手渡した。


「あの・・これは・・・?」


 ヴィシアンドルは微笑むと、ココレットに開けてみるように促す。


 ココレットがおそるおそるその小さな箱を開けると、中には綺麗な薔薇の花が入っていた。枝も葉もない状態なのに、綺麗に花の形を保っている。


 それを見て、ココレットはパアァッと瞳を輝かせた。


「綺麗・・・」


「美しいココレット嬢にぴったりかと。最近町で流行の、魔法で風化を止め作られたプレゼント用の花です。よかったらどうぞ。その代りと言ってはなんですが、機嫌を直して、外の世界を楽しんで下さい。」


 そう言われたココレットは、内心ぎくりとしながらも、もらった花の美しさに笑みを返した。


「そうですね。せっかくだから楽しまなきゃ損ですよね。ローワン様。申し訳ありませんでした。」


 謝るココレットに、ローワンは慌てて首を横に振った。


「いや、私こそデリカシーに欠けていた。すまない。」


「いえ、いいんです。」


 機嫌が元に戻った事は喜ばしい。ただ、ローワンとしてはそれが違う男の手によって戻ったということが、なんとなく癪に障る。小さいことではあるが、それでもココレットの笑顔を自分が取り戻したかったのだ。


 少し不満げなローワンに、ヴィシアンドルは声を潜めて言った。


「女性を大切にしないと、天罰が下りますよ?」


 ぞわりとしたものが背筋を駆け抜けていく。ローワンは目を丸くしてヴィシアンドルを見るが、ヴィシアンドルはいつもの優しい笑みを浮かべているだけである。


 気のせいかとも思ったが、背筋の寒さはなかなか取れなかった。


 


 

ココレットはお子ちゃま扱いにいつまで耐えられるのか。そんなことを思いつつ、頑張れココレット!負けるなココレット!いつかは女として見てもらえる・・・はず!と書いています。

少しでもいいなと思っていただけたら、評価やブクマ、感想いただけると、とっても嬉しいです!よろしくお願いします!

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