009 『新たな村人が確保できました』
■春の一月、三の日 其の三■
馬場和子です。
情報収集していく流れでお兄さんが新しい村人候補になりました。
撒き餌に成功したのか冒険者第1号です。
結果的には裏技が成功したともいえます。
先行投資で信用が買えたのが大きいかもしれません。
狙っていた訳ではありませんが結果オーライです。
棚からぼた餅……なんでぼた餅なんでしょう? やはり棚からボタリと餅が落ちてくるからですかね? 前々から気になっていました。
あと、鴨が葱を背負ってくる。ありえませんからー!!
お兄さんは今すぐにでも新しい村で働きたいそうですが、今の仕事の事後処理にしばらく追われるとの事でした。
そうでしょうねー。10パーティに説明するだけでも大変そうです。
説明といえば。うれしい事に自分の事情の説明をする過程で募集も手伝っていただけることになりました。
さすがはうなぎ兄さんです!
今回の出来事で分かったのは、きちんと説明すれば対象者が現れるという希望でした。
村の名前エスポワール(espoir)がいい気がします。
ダメですかね? たしか、幸運の船の名前で縁起がいいそうです。
「なんでもいいよ~」と姫さまです。
結構その辺は軽いんですねー。
さて念願の一人目が意外と早く見つかりました。この勢いで二人目も頑張りましょう!
ん?
ちょいちょいと指で冒険者ギルドのカウンターのお姉さんが呼んでいます。
行ってみましょう。
あー丸聞こえだったそうです。
騒がしくてすみません。
まぁ隠す様な事でもないですし。寧ろあるなら拡声器で宣伝したいぐらいですから。
喜ばしい事なのですけどもねー。
「いい村~あるよ~お村だよ~♪」ちょっと芋屋台の呼び込みを真似てみました。
このお姉さん日焼けでこんがりな顔をしています。目尻もきつめで銀色のアイラインが入っています。
これってガングロっていうのでしたっけ? ガングロとは顔面が黒い人のことだと思います。きっと近いと思います。お会いしたことがないのでよくはわかりません。ごめんなさい。
何かお姉さんは怒っている様です。おちょくるつもりはなかったのです。
何故かお姉さんが言いにくそうにモジモジしています。
「トイレならあちらです!」違う? 何でしょう?
「ああ! あれですね。毎月のー」
「違う!」違うんですね?
「察して」何を察すればいいのでしょう?
「つわりでさすれって事ではないですよね?」
「つわれるなら、つわりたいわ!」と怒られました。
好きにつわればいいと思います。
あのお兄さんでつわりたい?
ああ、なるほどー好きにしてください。
ちょっといいかなーとは思いましたが。先約が居るなら譲ります。
(ピピピッピ・ビュワーン。カズコポイントはゼロになりました)
先約ではないと……。
でも予約したい。
「ご新規様ご予約入りましたー!」大声出すなと叱られました。
もう! 何なんですか。
好きにしてくださいよー。
え? 手伝え?
何を言っているのでしょうか、このお姉さんはヤンキーか何かです? 絡むのはやめていただきたい。
お似合いだからお付き合いをすればいいと思います。
あたしの恋はまだ早いようですし……。
打ち切ろうとしたのですが。せがみ掴まれました。
どうしたいんですか。ほんとにもう! 放していただきたいです。
「え? もっと詳しくさっきの話が聞きたい?」分かりましたので放してください。
「だ、そうですよ。姫さま」
「全て話した」うんうん。
「だ、そうですよ。ヤンキー姉さま」
「アタイも行っていい?」
「ええ歓迎します。ええ? 来ちゃうの? マジですか?? ヤンキーなのに?」
「いえ、ヤンキーは関係ありませんでした。首締まるのでやめてください……」
その恋、実るといいですね。
そんなに簡単に決めちゃっていいのかなー?
ああ、あたしが言うなって事ですね。分かります。
神様だと思ってたからなぁー今でも少し思ってますが。
キューピットになってほしい?
姫さま! 出番ですよ。お願いします。
恋もしたことないあたしに頼むなと言いたいです!
節穴ですねお姉さん。分かります。
恋は盲目とはうまくいったもんです。
「で? いつから来ます??」今から???
「どういう事ですか?」先に行って待っておきたいと。
「ああ、あれですね。向かってきたところに食パンを咥えながら飛び込むんですねー」
「この世界まだ食パンありませんけどね」
「作るところから始めましょうか……食パン」軽くパンチ貰いました……ワンパンチ。
ちょっとストーカー気質ですね。このヤンキー姐。
「いいんですか? 姫さま、ヤンキーですよー?」人が増えるなら無問題と。
なるほどーわかります。
盲目だけに目をつぶるという事ですね。
さすがは姫さまです、ヤンキー風に言うと「いかします!」
一生ついていきます!!
あ、あたしもストーカー気質だったみたいです。スイマセン。
あれ? お姉さんが奥に行って怒鳴ってますね? いつのまに……。
何でしょうか?
「こんなセクハラ職場辞めてやるー!」との事です。
翻訳されてるのでしょうか? セクハラって言葉あるんですかね? この世界。ヤンキーもありますしあるんですねー。結構、和製英語だけが定着しているイメージです。
「どうせならイケメンにセクハラしてほしい!」って聞こえてきました。
お兄さんは出掛けたみたいなのでー確かに叫んでもいいんですよ? でもね、イケメンはセクハラしないと思います。あたしだけの持論かもしれませんが。
で。
ヤンキー姐さん本当に今から来るんですね。
「さすがはストー……」いえ、なんでもありません。
「ストッカーって言ったんです」はい首に手を持ってこない!
意味?「えっと~愛の貯蔵庫ですね」
流石です。
おだててみました。
思いのほか、チョロかったです。
チョロインでも良いかもしれません。
何ですか? チョロイン姐さん。
いえ、言いにくいのでチョロ姐さん。
「仕事もやめたし早く行きたいんだけどー」
「早いなもうー!!」思わず突っ込んでしまいました。
ついでに小突くのやめていただきたい!
「姫さまは大丈夫です?」無問題。ええそう言うと思っていました。
流石です。
「チョロ姐は準備とかないんですー?」
「誰がチョロ姐だよー」
「一人しかいませんよね?」
「まったくよー! いいから早く行こうぜー!」
「どこに行くんですか? お嫁ですか?」ちょっとおだてておちょくるとチョロ姐は乗ってきました。
「なんもいらねぇーんだよ。着の身着のままでお嫁に行く」好きにすればいいです。むしろ裸で体当たりするといいです!
後で募集手伝いに来て。あわよくばお兄さんと一緒に……付き添いしたいそうです。
頑張ってくださいねー。ちょっとひとごとです。いえ、盛大に他人事です!
そこまで思い詰められるのはスゴイと関心はしています。
とはいえ。さすがに着の身着のままはどうかと思います。
いえ、裸を推奨しているのではありませんよ?
正直、ヒモ2号は要らないと思うのです。というか要りません!
あたしが言うのもなんですがねー。
三人で馬車を預けていた宿に向かいます。
「よしよ~し、セバスチャン~いい子にしてた~?」
「姫さま! 大変申し上げにくいのですが……これは馬です!」
「うん、馬だけど~?」
「ええ、馬には違いありません!」
「何をいっているの~カズコ~馬の他だと~何に見えるの?」
「だって。セバスチャンですよ?」
「そうだよ~かわいいでしょ~?」
「セバスチャンといえば執事でなければなりません!」
「カズコ? 馬だよ~羊はもっとモコモコだから~」
「あえて呼ぶなら赤兎馬でしょうに……」
「赤い兎は~馬じゃないよね?」
「くっ……」言いくるめられてしまいました。
こっちの世界に色付きの髪色人族はいませんが。エルフと馬はカラフルです。赤い髪のエルフにでも出会えたらセバスチャンか聞いてみることにします。
でもホントは執事だけがセバスチャンと名乗っていいと思うのです。お約束なのです……馬か。
□カズコの後書き□
お手伝いポイントに続きカズコポイントを導入してみました。
まだうまく流用できません。次の機会をうかがいます!
ともあれ、正式な村人を1名迎え入れる事ができました! パチパチパチ




