第二話 俺のステータスお見せします!
今、獣人の目の前にいます! メッチャ恐いです。体がガタガタ震えてます。
遡る事5分前に、情報を集めようと街の大通りを歩いてたんだけど、誰に話しを聞こうか話しは通じるのか考えて歩いていたら出店のおっさんに話しをかけられた。
「おう!そこの変わった服装の兄ちゃん!新鮮な果物でもどうだい!」
誰でも使いそうな売出し文句を言ってきたから俺は遇らうように言った。
「悪いけど果物を買うようなお金もないから金持ちにでも話しかけな! おっさん。」
だけどふと思い出した。
あれ? さっきから言葉分かるし話せてるわ! ……と。
俺は情報を聞けるチャンスと思って慌てて出店のおっさんの方に振り向いた。でもそこにいたのは狼の姿をした大男の獣人でした……。
で 、今に至るわけですが、とても異世界にいると分かっていてもさすがに獣人は恐いっス!
喋ろうとしてもビビって口が開かない。でも獣人のおっさんは(買うのか買わねぇのか?)と聞いてくる。ビビっててもしょうがないと思った俺は獣人のおっさんと話した。
「買う! 買うから聞きたい事がある!」
「あぁそうかで何だ?」
「俺さ遠い田舎から来たから、この街の事も金の事も分かんねえのだから教えてくれね?」
「珍しい服と顔だと思ったら田舎から来たのか、まぁ多少の常識なら教えてやる。」
「助かるわ!おっさん」
「だが、何か一つでも買ったらの話しだ!」
獣人のおっさんに条件を出されたけど、俺は諦めない。
「買えない! 金がない。」
「じゃぁ出直しな!」
「でも、金が稼げるようになったらここの果物を何個でも買うから頼むよ!」
「あのなぁ信じれるはずがないだろうが!」
やはり首を縦に振らないおっさん。だから日本人の必殺技を発動!
【土下座】
「何をしてるんだ兄ちゃん?」
「俺の故郷では人にお願いする時はこう頼むんだ!」
【土下座】のままの俺、悩むおっさん。
「ハァ……分かった分かった教えるから顔をあげろ」
「ありがと!本当にありがと!」
やっと諦めて首を縦に振ってくれたおっさん。見事に【土下座】の勝利!そして街の情報を聞き出せた。
「まずこの街は『トライセン』て名の王都だ。『始まりの街』とも言われてる。だいたいの新人冒険者達はこの街から《ギルド》に登録して旅にでるんだ。」
「なるほど。おっさん!金の価値も教えてくんないか?」
「さっきからおっさんは止めろ!俺はヴォルグって名前がある。ヴォルグって呼べ!」
「あいよヴォルグ!俺は土間連太、連太って呼んでくれ」
「あいよ。」
ヴォルグが教えてくれた。この世界の貨幣価値。
銅貨1枚――200円
銀貨1枚――1.000円
金貨1枚――10.000円
大金貨1枚――100.000円
白金貨1枚――1.000.000円
中々ざっくりしていてビックリはしたが、これでやっと一歩前進した。
「じゃぁ金を集めるには、ギルドに入ればいいって事か」
「まぁそれもそうだが、俺らみたいに店を開くってのもあるな!」
「あーそれもいいな!」
でも金が無いと何もできないから、とりあえず《ギルド》に登録しようと思います。
「まぁまず金を稼ぐよ。ヴォルグにも恩を返さなくちゃならんしな」
「おう!期待してるぞ」
「でもギルドは何処にあるんだ?」
「それならこの大通りを真っ直ぐ歩いて行けば見つかる。けっこう目立つからな」
「分かった。色々世話になったなヴォルグ!ありがとう。」
「おう!頑張ってきな」
ヴォルグの情報を元にギルドにやってきた。
「ここか、思ってた以上に立派だな……」
ヴォルグの言った通りでした。中に入って行くと様々な冒険者がいる。あっちの世界で見ていたファンタジーアニメや漫画のギルドそのものだった。『始まりの街』だけあって凄い賑わっているから俺まで何故かワクワクした。そして受付まで向かうと。
「ご用件はなんでしょうか?」
受付にいたのはポニーテールをした女性のエルフだった。……リアルエルフ! ヤベェ綺麗過ぎますよ〜〜と俺は心で悶絶しながらもエルフのお姉さんに用件を話した。
「ギルドに登録をしたいんだけどできます?」
「はい!喜んで!では、ギルドの登録に説明を担当させていただく《ギルドトライセン支部》のミレーナと申します。これから宜しくお願いします。」
「俺は土間連太です。宜しくお願いします。」
「では連太さん。手続きをしますので『ステータスカード』を出してください。」
「ステータスカード? 」
「そうですが知りませんか?」
「すみません。メチャクチャ遠い田舎から来たんで色々と分からなくて……」
「大丈夫ですよ。」
ミレーナさんは笑顔で優しく俺に『ステータスカード』の事を教えてくれた。
「ステータスカードとは、自分のステータスや情報をすべて記載されているカードの事ですね。」
「身分証明書みたいなもんか!」
「ミブン??ショウ??」
「あぁ!こっちの事なので大丈夫ですよミレーナさん!ですがステータスカードはどちらで作れば?」
「いえ、ステータスカードは作るものではなく体の一部ですから、「カードオープン」と言えば出てきますよ!」
「……なるほど。」
「では、連太さん出してみてください。」
俺はステータスには自信がかなりある。なぜなら大抵の異世界召喚された主人公たちは、チートスキルに桁外れの能力値なのだから!!!!
「――いきます。カードオープン!!」
記念すべき土間連太のステータス
――――――――
〈 名 前 〉 土間 連太 《20歳》
〈 職 業 〉 村人
〈 レベル 〉 1
〈 魔 力 〉 40
〈 体 力 〉 50
〈 攻 撃 〉 50
〈 防 御 〉 50
〈 俊 敏 〉 40
〈 スキル 〉 鑑定 アイテムボックス
〈特殊スキル〉 レンタル
――――――――
手の平からカードが出てきて俺のステータスを確認した。
「ミレーナさんどうですか?」
「……これは、」
驚くように黙り込むミレーナさん。俺は確信した。チート級のステータスなのだと!
「連太さん。」
「そんなに凄いんですか?」
「いえ……逆です。」
「逆ですか?」
「はい……村人の平均以下です。」
「はは!……笑えないんですけどーー!!!!」
またもや詰みました。