私とりゅうの過去3
「あ~、楽しかった!!」
りゅうがそう言ってけのびをして笑っている。あの後無事にジェットコースターを乗り終えたわたし達は、近くにあったベンチにて休憩をとっていた。
「そうだね。でも、りゅうはすごいなぁー。」
私は笑顔でそう言ってりゅうを見る。りゅうくんははじめ不思議そうにこっちをながめていたが、すぐに笑顔になった。
こんな時いつも私は、りゅうはいつだって私が出来ない事をあたかも当然のように出来る強い人だなぁーとよく思わされる。そんな風に思いふけっていると、りゅうが突然。
「何も…何もすごくないよ。すごいのは美香ちゃんのほうだよ…。」
そうつぶやいた。その時のりゅうは少し悲しい顔をしていたような気がした。
「えっ?」
と私は何も知らないっといった顔で聞き返した。するとりゅうは、
「なーんもない。さぁ、もう一回のろう!」
そう言って立ち上がり、笑顔で手を差し延べてきた。
「う、うん!」
私はそうあえて元気良くいった。
さっきりゅうが言っていたことはちゃんと聞こえていた。しかし、りゅうが言った言葉の意味は私には分からなかった。その意味を考えながらも、私はりゅうの手を取ろうとした。
その時だった。
ゴホッゴホッゴ……!!
急に自分の体に力が入らなくなり、咳が止まらなくなった。
「たす…け……」
私は口元を手で覆いながら、りゅうに助けを求めた。その手からは血が流れていた。上手く呼吸ができない。次第に意識が薄れてゆく。あぁ、早く助けてよ…りゅう!!
私は薄れゆく意識の中で必死にりゅうへと手を伸ばした。