合宿二日目 中
「海だー!」
水泳部の1年生の一人が叫んで浜辺を走っている。
2日目の予定は海での遊びだった。水泳部では毎年の恒例行事らしい。参加は自由らしく、大会へ出る部長と副部長は砂浜で椅子に座り、傘の下でゆっくりしている。
「二人は楽しまないんですか?」
比呂斗が二人に聞いた。
「試合前に怪我したくないからね。それにもう2年楽しんだからいいの」
と海遊びには飽きているようだった。答え終わるとサングラスをして寝てしまった。
新聞部が警備のために呼ばれた本命がこの海遊びらしい。去年に部員が洞窟探検に行き集合に遅刻し、ホテルに戻るのが遅くなったらしい。今回はそんなことがないように見張ってくれということだった。
「俺は休んでいるから遊んでていいよ」
比呂斗は休む気満々だった。近くにある海の家で買ってきたソーダをストロー付きで飲んでいる。
「なら遊んでくるね」
十六夜はそう言って遊んでいる智と瑠衣に伝えた。それを聞いた智はビーチボールを比呂斗めがけて投げた。比呂斗は丁度ソーダを机に乗せたところでボールには気づいていなかった。
「よs・・・ぶわぁ」
よし、と言い切る前にボールが顔面に当たった。頬がひりひりするのか、手で押さえてる。ボールをみてすぐに智と分かった比呂斗は、ボールをもって智のもとへ走っていった。
「元気ね。あ」
水泳部部長が苦笑いしていった。オレンジジュースを飲もうとしたら切れてしまっていた。
「何か買ってきましょうか?」
副部長がおつかいしようと申し出たが、部長の顔が真面目になっているのに気付いた。
「どうしました」
聞くと部長は海の方に指を指す。
「あれ」
副部長がその先をみるとバタバタ海の中で暴れている部員がいた。
「溺れてるわ!」
部長はすぐに上着を脱いで走った。
「春風くん!」
すぐに比呂斗を呼んで状況を説明した。
「十六夜と瑠衣は先生と海の警備員の人に伝えて!」
了解した二人はすぐに走っていった。
「みんなは浮き輪の準備して待機していて」
水泳部部長が真っ先に助けに向かおうとする。
「待ってください!私が行きます」
代わりに名乗り出たのは智だった。比呂斗はそれを尊重し、部長に待機するように促した。
「あなた、泳げるの?」
部長の質問に智は少し悩んだものの、「泳げます」と言った。
だが、場所は海。泳げるとしても波にのまれたらおしまいだということを4人全員がわかっていた。そこで比呂斗は一つの案を出した。
「浮き輪にロープを二つ付けて一方を待機側、もう一方を智に付けましょう」
その意味を智は最初理解で来ていなかったが、副部長の「釣りのウキみたいな感じか」というたとえにすぐにピンと来たようだった。すぐに4人は作業に取り掛かり、ロープつけまで10秒で済ませた。
「あなたも無理しないように」
部長は心配しているようだった。
「大丈夫です」
といって海へ走っていった。智が向かうタイミングで残った三人はすぐに水泳部を収集させた。
溺れている部員まで2mの位置に行くと、いきなり海面から見えなくなった。
「まずい!」
智はすぐに潜り部員を探そうとする。だが、
(うそでしょ)
海の中には大量のクラゲが散乱していた。




