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取材という名の探偵ごっこ  作者: チョコパン
高校1年生 5月
17/50

智の家で 後編

比呂斗と十六夜はオールナイトできるのか

寝ている瑠衣るいさとしをおいて、人間2人、幽霊2体のオールナイトが始まった。


「徹夜組途中参戦ということでボクから話すとしよう」


先に名乗りをあげたのは幽霊側のかけるだった。


「「「おお!!」」」


大きく静かな歓声がなり、翔の話が始まった。



6年前の5月。中学1年生の翔は病室のベッドで横になっていた。

そのとき翔は病気で入院生活を送らなければならない体になっていた。


「ボクはいつ退院できるのだろうか」


そんなことをつぶやきながら自分の今後のことに頭を抱えていた。

 隣でガヤガヤ声が聞こえてくる。隣の病人は光明高校生の男子生徒で足を複雑骨折して入院していた。そしてその学生の男友達が1人見舞いに来ているようだった。

 翔は中学入学後すぐに入院してしまったために友達が作れずにいて、小学生の頃の友達は病院から遠く滅多に見舞いに来なかった。


「次はトランプでもやろうぜ」


お見舞いにきた学生の友達がトランプを取り出すと、それを病室の机に置いた。


「ババ抜きな」


 翔はその勝負をずっと見ていた。カーテンを閉めてシャットアウトしてもよかったのだが見ているうちにだんだんと勝負の結果が気になってきた。

 3戦目が終わった後、病人の学生が声をかけてきた。


「君もしない?人数多いほうが楽しいから」


思いもよらなかった問いかけに翔は驚いた。


「いやいや、やめときますよ。それよりもせっかくお見舞いにきているのですし、その人との時間を大事にするべきです」


丁寧に答えたつもりだが、よくよく考えた翔は(しまった)と思い恐る恐る学生のほうをみた。


「お見舞いにきたものの全然もってきてないしさ。それよりも楽しんだほうが良いだろ」


 見舞いに来た学生も翔が参加することに否定どころか、とても喜んでいた。


「さあ、はやくはやく」


 そして翔は、学生たちのところに行きババ抜きを楽しんだ。


 その一時間後


「では俺はそろそろ帰るな」


 見舞いにきた学生にタイムリミットがきたようだ。トランプは机の上に置きっぱなしで、出て行こうとしていた。


「おっと忘れてた。俺の名前は谷北たにきた 大地だいち。そのトランプは置いていくから2人で遊んでくれ」


 見舞いに来た学生、谷北さんはすぐにステステと走っていった。


「俺の名前は、南岳みなみだけ そらよろしく」


 横を見ると、病人の学生、南岳さんは握手を求めていた。


「ボクの名前は、天野あまの かけるです。こちらこそよろしくお願いします」


 握手をした後、ババ抜き以外にもいろいろなトランプゲームなどをして絆を深めていった。

 その翌日から、翔は南岳さんとたくさん会話をするようになっていった。時には、谷北さん以外の学生の人たちも見舞いに来ていたが、とても仲良くしてもらえた。

 一週間後、翔と南岳さんは病院内でも少し有名な仲良し2人組みになっていた。その日、翔は南岳さんにある秘密を打ち明けた。


「ボク、もうながくないんです」


その言葉を聞いた南岳さんは驚愕な顔をしていた。その顔をみた翔はもう遊べなくなるんだと思い少し悲しくなっていた。


「そうだったのか。でも遊ぶぞ」


翔は心の中から一気に不安が取り除かれたような感覚に見舞われた。


「病は気からっていうだろ。それにアロマセラピーがあるんなら、アソビセラピーもあるはずだ」


南岳さんは、驚愕な顔から一変してとても笑顔で笑っていた。


「初めてですよ。こんなことを言ってくれた人はでは…うぐっ、あそ…びましょう」


翔のもったトランプにたくさんの雫が流れた。


その2日後。翔は心臓にある違和感を感じた。


(もうそろそろか)


翔は自分がもうすぐこの病室を離れることを感じていた。

 このままでは終われない翔は看護師にペンと紙を持ってくるように頼んだ。だが書こうとしてもあまり力が入らなかった。翔は一言だけ書き残し、隠し。南岳さんのところに向かった。



その翌日。翔は安らかに最後を迎えた。朝、笑って寝ているところを看護師の人がみたものの違和感に気づき、翔が死んでいることがわかったらしい。そしてその寝顔には涙が1滴だけついていたらしい。

 その寝顔をみた南岳さんは泣くと同時に笑顔をみせた。


「お疲れ様。たのしかったよ」


南岳さんは翔の葬式に出席した後、病室に戻り翔がいた場所をみた。そして枕の下に紙が刺さっているのに気づいた。そしてその紙を取り開くとこう書かれていた。


「こちらこそ」


その手紙の文字を見た瞬間、南岳さんは泣き崩れた。


幽霊となって出てきた翔は自分が死んでからの一部始終をみていた。そして、南岳さんが泣き崩れたのを見たとき、ある願いをつぶやいた


「ボクも南岳さんのいた高校に通ってみたい」




翔の話が終わると2人と1体は机に伏せていた。


「「「うわぁ~ん」」」


顔を上げると2人と1体の目は赤くなり、号泣していた。


「ひっくぅ…そんな過去があったなんて」


「涙が止まらない」


「幽霊でも涙腺ついててよかった」


その後、朝まで泣き続けて感想などを述べていて、話は翔の過去だけで終わった。






「ふぁ~、おはよ~」


最初に起きたのは瑠衣だった。


「「おはよ~」」


2人を見た瑠衣は驚いていた。


「どうしたの?」


目が赤くなったままなかなか直らずに結局オールナイトすることは達成していた。翔と雫は5:30ごろにどんどん透明になっていって、「帰りは制服に取り憑いて帰るとするよ。私は改めて、雨を探すことにするからもうあえそうにないわね」、「ボクはついていこうかな」と言い消えていった。


その後、智の顔に落書きした後起こし、智家の朝食に参加させてもらうと、思ったよりも好評だった。




自分で書いていて少し泣きそうになりました。

まずは、事件を一つ解決した比呂斗たちですが、ここから日常回がたくさん入ってきます。

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