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取材という名の探偵ごっこ  作者: チョコパン
高校1年生 5月
15/50

真夜中の学校 解決編

今回で雫の正体が明らかになります!

「な…ん…で」


比呂斗(ひろと)に槍で刺された幽霊の(しずく)は驚愕した。

そのあとに清めた塩入りの水をかけられほとんど動かなくなった。


「なぜ、私が悪霊だと、わかった?」


その問いに比呂斗は少し笑った。


「やっぱり、犯人は雫だったのか」


「なんのこと?」

後から来た3人は塩水をかけたものの状況が理解できなかった。


「いや、ただ単に犯人はこの幽霊だったってことだよ」


「こんなちっちゃい子が?!」


(さとし)は雫を見て驚いた。


「で、春風。この幽霊が雫?」


「そう」


「じゃ、こっちの少年幽霊は?」


「僕は(かける)


突然少年幽霊(翔)が名前を言い4人はびっくりした。


「あなたは共犯じゃないよね?」


と鋭く十六夜(いざよい)がきいた。


「僕は共犯じゃないよ。だって雫姉に閉じ込められていたし」


翔と会話してる時に驚いていた雫は比呂斗に声をかけた。


「『やっぱり』ってなんで私が犯人だってわかってたの、比呂斗」


「確証はなかったんだがな。まず1つ目は僕が気絶から覚めた後に状況を説明してくれたのに、十六夜は助けられなかったのか。十六夜が消える時に見た幽霊は雫であってるか?」


「ええ、確かにこの顔だったわ」


「やっぱり…2つ目はこの刺した槍だ。説明した時、悪霊は触れないと言ったけど、悪霊ではないのなら自分で刺せたはずだ。そして刺したのはほぼ運だ。あいつらが来た時に一番俺に近い方を刺すって決めてたからな。気づかなかったか?途中2人の中央にいたことに」


比呂斗の推理を聞いた雫は喚くのではなく笑った。


「ははは、まいったわ。降参。そしてありがとう」


そのセリフに少し比呂斗は警戒したがすぐに解いた。


「この槍は悪霊を普通の霊に戻すだけよ。そのおかげで私は普通に戻れた」


「ならもう成仏するのか」


やっと終わったと思い比呂斗は腰を落としたが、まだだった。


「まだ成仏するはずないじゃない」


「「「「は?」」」」


4人はもう疲れ果てていた。


「成仏するはまず私の話を聞かないと解決しないけど、休憩がてら聞いて」


その話は雫が悪霊になるまでの話だった。


6年前の3月。中学3年の雫は親友の(あめ)と一緒に卒業パーティーを行った。だがその3日後に雫は事故死してしまった。

死んだ雫が願ったことは、事故を起こした人に災いを起こすことではなく、雨を見守ることだった。


雨は雫の死を悲しみつつも光明高校に入学した。

雫は雨の高校で元気な姿を想像したりするとすぐに成仏できるだろうと思っていた。


だが、雨の高校生活は悲惨なものになった。


いじめの対象にされてしまった。きっかけは雫が見守っていてもわからなかった。


内容は、悪口や盗み、暴力などだった。

雫は心配をかけたくなく家族には相談せずに先生に助けを求めた。だが、どの先生も「無視しとけば治る」など「関わるな」などと詭弁(きべん)を吐いただけだった。

その時には雫はかなり怒っていた。そこに翔が現れた。

怒りを鎮めるにはどうすればいいか、または雨を助けるにはどうすればいいか翔に相談したが良い返答はないものの、相談すると少し落ち着けた。


ある日、雨は我慢が出来なくなり、先生に相談ではなく対応を求めた。だが、逆にそれを理由に先生が脅してきた。聞かれたくないので先生と教室で2人きりだったのがまずかった。その先生は脅した挙句にわいせつ行為をしてきた。その行為に怯えた雨はなんとか払いのけ、トイレへと避難した。だが、そこには雨のいじめている生徒たちがいた。そこで雨は水をかけられものを投げつられたりとさらに酷いことをされた。


そして雨は我慢の限界が来て家族に相談した。その結果、わいせつした先生は捕まったもののいじめた生徒に対しては『証拠がない』または『しりませんでした』などとしらばくれた生徒や先生によってなにもなかった。

そして雨は高校を中退した。


その時雫は憎んだ。


「あの学校の生徒や先生はクズだ。一生恨んでやる」


そして見守ることから憎むことに変わり、雨の行方が分からなくなった。


「雫姉やめてよ」


そこからの雫の行動はもはや悪霊だった。いじめに関わった人には事故を誘発させた。翔は止めたものの、もう歯止めがきかなかった。


「このままこの学校ごと呪ってやるわ。翔にはなにもさせない」


そして翔を檻に閉じ込めた。




話を聞いた4人はとても暗くなった。


「そんなことが…」

最初に口を開いたのは瑠衣(るい)だった。

「でも成仏はどうするの?」


問題はそこだった。憎むことになった願いを叶えるにはどうすればいいのかわからなかった。


「一度雨って人に会えばいいんじゃないか?」


比呂斗は一つの提案をした。


「おそらく雨はこの付近にはもう住んではいないと思う。あんな仕打ちをされても残るのはありえない。でも、もういいわ。それとね、見守ってて思ったけどね、雨は一度も私を見えたことはなかった。私も、雨も、願ってたけど。多分、大切な人を失ったらその人は近くで見守ってても見えないと思う」


「そうか…」


比呂斗は俯いた。


「それより、相談を聞いてくれてありがとう。それと比呂斗!悪霊の状態だっけど楽しかった」

雫の顔には少し笑みが見えた。


「あの〜、少しは言いづらいんですが」


突然翔が声をかけてきた。


「警報を鳴らずに抑えていたのは悪霊した状態の雫姉だったので正気にもどってだいぶ経ちますからそろそろここから出た方がよろしいかと」


その忠告に4人は一斉に駆け出した。


「今度また相談に乗ってやるからもうこんなことはやめろよ〜」


比呂斗は叫び、4人は学校を出た。













次回は智の家にお邪魔します。

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