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3話 Another


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「剛!早く起きろ!」


「....う....ん....」


目を覚ますと、そこは荒廃した東京の風景が広がっていた。


「なんだここ?俺は今まで家で勉強していたはず.....。家から東京までなんて1500kmあるぞ....。」


「何言ってんだ!早くこっちに来い!護衛対象が死んだら私は上に殺されるんだぞ!」


俺は、先程まで家で勉強していた。少し目眩がしたのでベッドに横たわり、5

分ほど休憩として目を閉じていた。


「状況を理解できない!説明してもらえるか?」


俺は目の前にいる10人いる武装集団の中の1人に話しかけた。


「なんだ?まだ寝ぼけているのか。今、お前を第1拠点から浅草にある本拠点に送り出すところだ。」


「お前が死ぬということは我々M社の敗北なのだ。」


俺は話の意味が分からなかったが、とりあえずこの集団について行くことにした。どうせリアルな夢だろうしすぐに覚めるだろう。


「敵兵だ!撃て!」


目の前に50人ほどの武装集団が現れた。なるほど、この人達から俺は狙われているのか。少し俺はこの状況を理解してきた。


「005!早く彼を避難させて!」


「了解!リーダー!」


俺は005と呼ばれる人物に手を引かれ岩陰に隠れることとなった。


「我々の軍が敵兵を殲滅するまでここで待機しましょう。ここにいればひとまず安全です。」


俺はそう言われ少し安心した。夢の中とはいえ、割と忙しなく動いていたので、少し休憩がしたかったのだ。


「結構人数差あるけど勝てるのか?」


俺は005と呼ばれる赤髪の女の子に聞いてみた。


「はい、我々は人間と違う種族ですからご安心あれ、そうこう話しているうちに先頭が終わりましたね。」


そういえば銃声がやんでいる。俺は005について行き戦闘していたメンバーと合流した。




歩き始めて1日。疲労も限界に達したところでリーダーと呼ばれている女性が足を止めた。


「ここだ。」


ようやく本拠点に着いたらしい。


「ようやくですね。剛さんを社長に引き渡せば今回のミッションもクリアですね。」


「あぁ。これで我々の計画も進むわけだ。」


「計画って一体なんなんだ?」


俺は計画が何なのか気になったので005に聞いてみた。


「すみません……私もあまりよく分かっていないのです。この後、社長に会うのでその時に説明されるかと。」


「着いたぞ。社長とお前は昔あったことがあるらしいな。あまり緊張せず楽に話すといい。」


「会ったことがある....?」


扉が開くとそこには100人ほどの武装集団が両端に立っており、その中心にマスクを着けた人が椅子に座っていた。


「社長、連れて来ました!」


「苦労をかけたな、アン。」


社長と呼ばれている人が話しかけてきた。


「久しぶりだね少年。会うのは1年振りくらいかな?」


中心にいた人が俺の方に向かってくる......俺は向かってくる人が誰なのか分からなかった。


「すまない。俺はあんたの声だけでは思い出せない。マスクを外してもらいたい!」


「......分かった。少年。これでいいかい?」


「.......え...」


マスクを外した姿は女性で俺のよく知る人だった。


「沙耶.....さん......」


目の前にいたのは沙耶さんだった。俺は、沙耶さんに話しかけようとした瞬間、酷い目眩が俺を襲った。


「う......沙耶......さ.....」


「少年!大丈夫.....」


俺は意識を失ってしまった。




「は!」


俺は勢いよく状態を起こすとそこは自分の家だった。


「夢......だったのか?にしてもやけにリアルな.....」


「剛くん、大丈夫ですか?昨日から体調が優れなさそうで心配だったんですよ。」


「リリ、か。今何時だ?」


「12時25分です。」


俺は20分も眠っていたのか。ここ最近毎日10時間勉強していて疲れてたらしい。今日は大事を取って休むか。


「ごめんリリ。今日は体調が優れないから休みでいいか?明日また来てくれ。明日は.....木曜日だから昼からお願いな。」


「......剛くん、何を言ってるんですか。今日が木曜日ですよ。寝ぼけてるんですか?」


「え....。.」


どうやら、俺は昨日から1日中寝ていたらしい。そんなに疲れが溜まっていたのかと衝撃を受けた。


「今日はまだ体調が優れないようですので帰りますね。あと、あと1ヶ月半で8月の模試があります。明日からは基礎に加えて応用も挟んで行くので心してくださいね。」


いつもはあまり笑わないリリだが少し微笑んでいた。リリは俺の体調を気遣ってくれているのだろうか。その気遣いが俺は少し嬉しかった。




「剛くん、今日は日本史の一問一答オンライン対戦をしてもらいます。」


「オンライン対戦?」


リリは最近発売したVR型ゲーム機とソフトを俺の机に置いてきた。このVRは自分の意識をゲーム内に転送し、自分自身を動かすことができる今話題のゲーム機だ。


「これは我社が出しているソフトです。中には2014年から2024年までの日本史の過去問が入っており、ランダムに問題が出されます。剛くんにはこのアプリ内の対人戦でマスターランクまで行ってもらいます。」


そんなことまで株式会社モラトリアムはしているのか......。説明書を見ると長々とした文が書かれていた。


「俺、説明書見るの苦手なんだよね。リリ、これ要約してくれない?」


「馬鹿なんですか?これも勉強です。これくらい読んで理解できないと共通テストの文も読むこと出来ませんよ?」


ぐうの音も出ない......。俺は渋々、説明書を読むことにした。


要約するとこうだ。


まず100問一問一答を解き、正解数に応じて相手にダメージが入っていく。先に相手のライフを削った方が勝ち。というゲームだ。


「剛くん。ちなみに日本史の他にも英語の単語のソフトもあります。今の剛くんは単語をできていないので後々やることだけ頭に入れておいてください。」


「分かった。それじゃあプレイするぞ。」


俺はゲーム機を頭に装着し、目を閉じた。



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