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2話 東京の大学に合格したい!


2章 浪人人生の転換期



「学!早く起きなさい!いつも遅刻ギリギリで恥ずかしくないの?」


「結衣....俺、お前のことが好きだ!」


「はへぇ?」


「俺、お前のことが小学校の頃から好きだった!」


「学....私も....」



「なんだこれ....。状況が飲み込めないんだが....。」


ネットカフェでギャルゲをしている俺、勉学剛は浪人生活1ヶ月目で勉強から逃げてしまった。2週間前まではやる気で満ち溢れていたのだが....人というのは不思議だ。目標までと受ければ遠いほどやる気が無くなっていくのだから。現役時代の方がまだ良かった。あの頃は学校の定期テストがあったおかげでやるべき目標をこまめに設定できたのだから。


「目標の設定か....。」


そうだ!こまめに目標を達成させればできるような気がする!

確か6月に模試があったよな。今からネットで申し込みをしてみるか。



ーーーー6月ーーーー


俺は全く模試の問題が分からなかった。ここ2ヶ月は応用問題を解いて問題を見れば答えがわかるように頑張ったのに...。


「くそっ、宅浪じゃ分からない問題をそのままにしてしまう....」


分からない問題はmeTubeという動画配信アプリで解決しようと思っていたがあまりしっくりとは来ていなかった。


「少し受験相談サービスに電話してみるか....」


先程、模試を受けた会場校の職員さんが配っていたチラシに書いてあった「相談相手募集中!」に興味を持った。


「第三者にアドバイスを聞くのも悪くは無いな。」


俺は電話をかけてみることにした。本当は沙耶さんにアドバイスを貰いたかったが今の俺の状況を説明するのは恥ずかしいかった。


「もしもし....受験相談サービスの電話番号で間違いないでしょうか。」


思ったより早く繋がった。俺が話しかけると、女の人の声が聞こえた。


「はい!間違いありません。こちらは株式会社モラトリアムです。すみませんが名前をお聞きしてよろしいでしょうか?」


「勉学剛です」


「剛....様ですね....」


株式会社モラトリアム、それが受験相談サービスの会社の名前らしい。


「少し相談なのですが、今少し受験勉強に手詰まりを感じておりまして....」


「そうなのですか。剛様の今の勉強方法は何を行っているのでしょうか?」


「今は独学です。少しmeTubeを見て勉強しています。」


「ふむふむ。塾に行ってはいるのですか?」


「塾は行ってないです。自分的には塾には行かない方針です。家の方が活動しやすいので....」


「そうですか....では家庭教師を雇ってみるのはどうでしょうか?こちらから紹介する家庭教師だと月々1万円で雇うことが出来ます。」


1万?安すぎる。詐欺ではと疑ったがこれは模試の会場に貼ってあったポスターに書いてあった番号だ。信用はできる。しかもこんないい条件だ。俺の毎月のバイト代が3万5千円なので1ヶ月雇っても半分は家に入れることが出来る。俺には迷いはなかった。


「家庭教師教師を雇わせて頂きたいです。」


「分かりました。ではそちらに2日後転送させていただきたす。」


転送....?何を言ってるんだ。ともあれ受験相談サービスに電話してよかった。これで苦手な問題は克服できるだろう。



ーーーー2日後ーーーー


「剛様。朝の7時です。勉強を始めますよ。」


う...ん。この時間は両親共々夜勤でいないはず....。今俺の家には俺しか....。


「ええ!?なんで人の声がするんだ!?」


俺は目を開けると目の前に女性が俺の顔を覗き込んでいた。


「おはようございます。剛様、私は株式会社モラトリアムから派遣されたリリと申します。どうぞよろしくお願いします。」


「はい?」


いや、今日家庭教師が来ることは知ってたけど....。勝手に家に入るか普通?俺は警戒した。


「剛様が起きたことですし早く勉強を始めましょうか。」


見た感じは普通か?容姿は普通に整っているし、黒の長い髪はとても丁寧に手入れされている。なぜか、耳が尖っているのが気になるが、俺は少し警戒を解いてリリという女性に話しかけてみた。


「今日家庭教師が来るのは知っていたが、勝手に家に上がらないで欲しい。入る時はチャイムを押してはくれないか。」


「すみません。配慮が足りませんでした。次から転送先は剛様の部屋にではなく玄関前にしておきます。」


「転送?まぁいい、分かってくれて助かるよ。今から顔を洗ってくるから10分だけ待っててくれ。」


そう言い残して俺は部屋を出た。




「ここが剛様の部屋....。なんだか懐かしい。」


俺が部屋に戻って来ると彼女はそう呟いていた。


「リリさんの家も俺ん家に似た間取りだったのかもな。」


「剛様、私のことはリリとお呼びください。その方が勉強を教えやすいです。砕けた感じじゃないと私緊張してしまいますので。」


「そうなのか。わかったよリリ。俺のことは剛でいいよ。」


「分かりました。では剛くん、勉強を始めていきますか。」


そうして、家庭教師リリとの勉強が始まった。リリの教え方はとてもわかりやすい。俺と勉強し始めるとすぐに俺の弱点を伝えてくれた。


「剛くんはまず基礎が出来てないまま応用問題をしてその問題を暗記しできた気でいますね。なので初見問題が解けていない。」


「確かに....何故そんなことが気づかなかったんだ....。」


「では基礎から固めて行きますか。ここから1ヶ月は私と1日10時間、基礎を学習していきましょう!」


そうして俺の過酷な夏が始まろうとしていた。


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