第2話 コッコの卵ケーキ
アリスは卵を見つめて悩んでいた。
自由に使えるのは卵と塩、油・・・
「とりあえずやってみるか。」
アリスの異世界クッキング。使うのはコッコの卵3個、以上!
コッコの卵を卵黄と卵白に分け、卵白をひたすら混ぜるて。5歳児の力では限界があるから体力のある兄などに協力させるのがオススメ!
そして角が立つくらいの硬さのメレンゲができたら、少しずつ卵黄と混ぜる。
最後に180度のオーブンで20分焼けば完成!火は火付け石という石を使うということで、使い方が分からなかったからお父さんにお願いしました。
「ハイっ、出来上がり!コッコの卵ケーキだよ!」
「うわぁ、ふわふわしてる!」
「せっかくだから摘んできた木苺と一緒に食べようね!・・・うん、素朴な味だけど、木苺の甘酸っぱさとふわふわの卵ケーキが合うね!」
「お姉ちゃん、これ美味しいねー!」
「うん、ウマイじゃん!」
ニックとロニーの反応も良好。アリスは店にいるリデルにも運んでいき、リデルはアリスが本当に店のために何かしようと努力する姿と娘の初めての手づくり料理に感動しながらケーキを食べた。
「うっ、うっ、美味しいよ、アリス!卵だけでケーキを作るなんて、アリスは天才だ!!」
ちょっと大袈裟だけど、喜んでくれて嬉しいな。
「良かった!これなら元手はかかってないし、とりあえずこれを手売りしようと思うんだけどどうかな?」
「うん?店で売るんじゃないのか?」
「これがどれくらい日持ちするか分からないから、できればその日のうちに捌きたいんだよね。手売りならこないだ街でお花を売っている子がいたから私でもできるかなって思ったんだけど。とりあえず100リアルで1切ずつ売ってみようかなって。」
「100リアルじゃ安すぎないか?」
「街のパン屋さんで、パンの耳が100リアルで売られていたの。だからそれと同じくらいなら買いやすいかなって。これは元手もかかってないし、むしろ売れた分だけ利益になる。なら安くても売り切った方がいいんだよ。お店の宣伝にもなるしね。」
リデルは顎に手を置き、目を見開いた。
「すごいな、こないだ街に行った時に見てきたのか。確かに広場で手売りするくらいなら危なくないかもしれないが・・・」
「お兄ちゃん達にも手伝ってもらってみんなでやるよ!それでね、売り上げたお金なんだけど・・・」
「それはアリスが自分で考えた商品の売り上げだから、好きに使いなさい。ただニックやロニーと喧嘩にならないようにな。」
「お父さんありがとう、大好きっ!」
アリスはリデルに飛び付き、リデルは優しくアリスを受け止め頭を撫でた。
父の許可を得たアリスはニックとロニーに売り子の手伝いを依頼した。ロニーはまだ3歳なので、可愛さ担当とし、重要なのはニックだった。
アリスはリデルに『リデルの雑貨店 卵ケーキ1個100リアル』と書いた木の板をもらった。本来は紙が望ましかったが、紙は高級品ということで手に入らなかったため廃材を利用して看板を作ったのだ。お店の宣伝を兼ねたいと考えていたアリスは、ニックにこの看板を持ち歩いて欲しかったのだ。
「そんな木の板持ち歩くのかよ!恥ずかしいから俺嫌だよ!お前がやれよ!」
「私がやりたいけど、この板結構重たいから、ニックにお願いしてるんだよ。」
「手伝いだってお前が売上分けるって言うからやってやるだけで、そんなことさせられるならやらねーからな。」
ニックはそっぽを向いてしまった。
(仕方ない。看板に呼び込み、ケーキの手売り、私とロニーじゃできないし・・・)
「わかったよ、じゃあニックはケーキとお金を持ってて。」
ニックはそれならばと渋々承諾した。
そしてそれから3日後、リデルとアリス、ロニーは再度コッコの卵を採りに森に行った。本当はすぐに行きたかったアリスだが、リデルが連日で店を閉じることを良しとしなかったのだ。
夕食を食べ終え、リデルとニックの協力を経て卵ケーキを作れるだけ生産。その後店の袋に1切ずつカットしてロニーと梱包。これでリデルファミリー共同制作のコッコの卵ケーキができた。
「よし!いよいよ明日、卵ケーキ作戦開始よ!」