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私、聖女じゃなくて壁になりたいんですが!?  作者: KANAN
第1章 環境整備
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第14話 地道にコツコツ!

 串焼き屋には日が暮れ始めても客足は途絶えることなくあるものの、謎の黄身がかった物体が乗っている串焼きを追加で200リデル出してまで食べようというものは中々現れなかった。


(う〜ん、やっぱり試食してもらわないとダメかなー。マヨネーズは結構原価かかってるからあんまりしたくないんだけど・・・)


「お、今日は可愛い子が店番してんな!サムのおっさんとこの子か?」

「来たな。この子はリデルって雑貨店のとこの子だよ。お前ら今日はどうだったんだ?」

「バッチし!コボルトも何体も倒して帰りにマンドラゴラまで見つけられたんだよ!今日はこれから呑みに行くんだ!それまでにおっさんの串焼きでも1本摘んで行こうかなって思ってよ!」


(コボルト、マンドラゴラ・・・それって漫画で見たことあるやつだよね!?すごー、めちゃくちゃファンタジーっぽい話!!)

「よっしゃ、ならお前この子の作った串焼き買ってくれよ。味は俺が保証する!」

「え、この変なの乗ってるやつ・・・?いや、俺はいつもの」

「あの!お兄さんは冒険者ですか!!」

 アリスは男の言葉を遮り、瞳を輝かせながら声をかけた。


「あ、あぁ。まあ一応冒険者だけど。」

「すっっっごーい!私冒険者さんとお話しするの初めてだから、すごいです!コボルトってあの犬みたいなモンスターですよね?それを倒したんですか!?」

「・・・まあ俺くらいの冒険者になると余裕よ!大したことねぇって!」

「すごーい!!」

 その男の冒険者としての腕前がどうかは別として、男はアリスのキラキラとした瞳とサムがニヤニヤと見る恥ずかしさからか、アリスのマヨネーズ付き串焼きを2本とも買ってくれた。


「仕方ねぇから俺が買ってやるよ!」

「ありがとうございます!!」

「じゃ、俺もう行くから。またな!」

「おお!またコッコ仕留めたら持ってきてくれな!」


 アリスは深々と頭を下げ、サムに串2本分の200リアルを渡そうとするとサムはアリスの頭を撫でまわし

「今日の分はいらねーよ。俺の勘だが、あれは絶対もっと売れるようになるからな!また作ったら持って来いや。」

 とニカっと笑った。

「あの、マヨネーズだけなら明日も持って来れるの。だから明日もお邪魔してもいいですか?」

「ああ、もちろんだ!じゃあ明日、待ってるな!」

 アリスはサムにお礼を言い、その日もたまごパンの売り上げから人数分の串焼きを購入すると、ロニーと共に夕暮れの中家路を急いだ。この日の夕飯のメニューも最近の定番になりつつある、サムの串焼きマヨネーズ添えと塩のスープだった。



 ♢



 翌日アリスは1人マヨネーズを瓶に詰めて持って行った。


 たまごパンの場合はメレンゲを作る工程が5歳児の力では難しく、ニックやリデルの協力が必要だった。だがマヨネーズであればロニーと2人でも混ぜるだけなので、残った材料を使って1瓶分作って持っていくことができた。たまごパンがない分手持ち無沙汰になる可能性があるためロニーは父の手伝いをとお願いし、この日は1人で広場へ向かった。



「サムさん!おはよう!」

「お、アリスちゃん来たか。今日もよろしくな!」

「あのね、これ値札。作ってきたから置いていい?あと、のぼり、この旗もここにくっつけていい?」

「ハハッ店の宣伝か?いいよいいよ、お父ちゃん喜ぶぞ!」

 値札というよりはポップという表現が近いそれを焼き機の前に飾り、のぼりもリデルにもらった紐でしっかりとくくりつけた。


 そしてサムがアリスのために木箱を重ねて土台を作り、アリスはサムに抱き抱えられてその上に立った。


「よし、今日も頑張るぞ!いらっしゃいませー!串焼きいかがですかー!」



 アリスの呼び込みの効果かサムの店が人気店だからかは分からないが、この日も正午の鐘の前には長蛇の列ができていた。

「はい、串焼き5本で2500リアルです。今日は特別なソースをつけたものも1本700リアルで売っているんですけど、あ、分かりました。サムさん、串焼き5本お願いします!」

「あいよ〜!今焼き上がるからな、ほい。お待ち〜!」


 アリスは会計の合間にマヨネーズ付きの串焼きの提案を続けていたが、正午の鐘が鳴り終わり、客足が落ち着いても1本も売ることができずにいた。


(中々難しいんだな〜・・・)

 アリスが深いため息をついていると

「お嬢ちゃん、元気ねぇな?大丈夫か?」

 と昨日の男性がやって来た。


「あ!昨日の冒険者のお兄さん!いらっしゃい!今日も冒険に行くの?」

「ん?あぁこれから仲間と合流してな。でも昨日の串焼き!めちゃくちゃ美味かったな!!びっくりしたよ!見た目はちょっと気持ち悪りぃなと思ったけど、食ってみたらすげー美味かった!」

「気持ち悪りぃは余計だよ、このバカが!あれはアリスちゃんが作った特製のソースだよ。美味かっただろ!」

「悪い悪い。いや、でも本当に美味かったよ。アリスちゃん、料理上手なんだな!俺はカイル。仲間達にも食わせてやりてーと思ってさ、5本もらえるか?」

「あ、ありがとうございます!!サムさん、マヨネーズ付きで5本、お願いします!」

「あいよ!」


 カイルと名乗る冒険者以外はこの日もマヨネーズ付き串焼きの売り上げはなかったが、サムの計らいでこの日も売り上げ分を全てもらったアリスは、1000リアルを握りしめ、家に帰った。


(やっぱり食べて貰えば美味しいんだよね!地道だけど、頑張ろう!!)


読んでいただきありがとうございます。

少しでも面白い・続きが気になると思っていただけたらブックマークや評価★をお願いします!


アリスちゃんがもっともっと活躍できるよう、私も書き進めていきます!

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