表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

44/451

43. 自主練組のステータス

ステータスに少し解説がつきます。

縦に長いのはご容赦ください。

 クラス「守護騎士」にとって「一人限り」とされる「第一守護対象」。仙道衛は、その「第一守護対象」に由真を指名した。「守護騎士」の「ただ一人」の「守護対象」。それは「姫君と騎士」の関係だった。

 晴美たちも見ているところで行われたその宣言。それは、仙道が由真に「告白」したも同然だった。


(いや、違うから。そういうんじゃないから。ほら……僕は、今こんなだから……)


 仙道は、初日から晴美とともに由真に与した。自主練を一緒に続けるうちに連帯感も深まってきた。この日の試合では――島倉美亜に「ヒロインムーブ」とからかわれてしまったが――魔法による「支援」もした。


 仙道は、「異世界召喚」で「女体化」した由真に最大限配慮している。だから、最高位の「守護対象」に由真を指名した。ただそれだけのことだった。

 ――そう言い聞かせていないと、由真の心は桜色に染まって機能停止しそうだった。


 さらに、島倉美亜もステータス判定を受ける。


NAME : ミア・シマクラ

AGE : 16 (11 AA / 103 UG)

SEX : 女

LV : 7


STR : 25

DEX : 25

AGI : 25

VIT : 25

INT : 180

MND : 140


CLASS : 輜重兵 LV 1

GIFT : 家守り人 (C)

SKILL

標準ノーディア語翻訳認識・表現総合 LV 5

家政経営術 LV 7

衣服製作術 LV 6

計数管理術 LV 5

空間管理術 LV 4

水系統魔法 LV 2

光系統魔法 LV 1

生物学 LV 2

地理学 LV 1


「む……美亜はレベルアップしてたか」

「物理系が上がったね」

「太極拳の効果ですよ」

 七戸愛香やユイナがそんなことを言う。その七戸愛香もステータス判定を受けた。


NAME : アイカ・シチノヘ

AGE : 16 (6 MP / 104 UG)

SEX : 女

LV : 7


STR : 25

DEX : 25

AGI : 25

VIT : 25

INT : 200

MND : 120


CLASS : 経理兵 LV 1

GIFT : 商い人 (C)

SKILL

標準ノーディア語翻訳認識・表現総合 LV 6

計数管理術 LV 8

空間管理術 LV 7

都市地理学 LV 6

食材加工術 LV 5

調理術 LV 4

火系統魔法 LV 1

水系統魔法 LV 1

地系統魔法 LV 1

総合地理学 LV 3

歴史学 LV 2

生物学 LV 1


「愛香もレベル上がったじゃん。ってか、並ばれてるし、INTが200って」

「シチノヘさんは、元々魔法の系統も多いので、INTは本来高いんです」

 島倉美亜の言葉に、ユイナが応える。


「ちなみに、総合レベル1につき、この6要素の値は合計60が与えられるんです。それがどう割り振られるかは、その人のギフト、クラス、それに努力によりけりですね」

 ――初耳の解説だった。試しに七戸愛香の数値を足してみると、合計420で、確かに7×60になっている。


「できれば、INTだけ上がっていくより、MNDもついてくる方がいいんです。INTだけ上がると、単純に魔法の能力でも持久力が強くなりませんし、行動のバランスも悪くなります。ハルミさんもセンドウさんも、MNDが高いので実力が安定しているんですよ」

 ユイナが補足する。「MND」は「精神力」の指標ということで、バランスのよい成長が望ましいということだろう。


「あとは、ユマさんですけど……」

 そういって、ユイナは周りを見渡す。


 由真のステータスには「閲覧権限」の設定がある。「担当神官」のユイナと「主」の晴美のみが与えられているそれ。

 今現在――仙道衛は、由真を「第一守護対象」に指定した。彼は「由真の守護騎士」と言ってよい。島倉美亜と七戸愛香にしても、すでに由真の「友人」の地位にある。


「女神様、神官ユイナ・セレニアがお尋ねいたします。無系統魔法導師ユマさんのステータス閲覧権限についてです。ユマさんの守護騎士マモル・センドウさん、友人のミア・シマクラさん、アイカ・シチノヘさんに相応の閲覧権限をお与えいただきたく存じます」

 ユイナは、女神像に尋ねることにした。


「神官ユイナ・セレニアを認証しました。守護騎士マモル・センドウ、輜重兵ミア・シマクラ、経理兵アイカ・シチノヘを認証しました。3人に無系統魔法導師ユマのステータス閲覧権限を付与します」

 その答えに、ユイナも、そして由真もほっと息をつく。この状況で、一人・二人の「仲間はずれ」が出ては、ひどく気まずいことになる。

 由真は、ユイナの水晶玉に手をかざした。


NAME : ユマ

AGE : 16 (29 UP / 104 UG)

SEX : 女

LV : 0


STR : 0

DEX : 0

AGI : 0

VIT : 0

INT : 60000

MND : 60000


CLASS : 雑兵 LV 0 / 魔法導師(無系統魔法) LV 0 遊撃戦士 LV 0 民政顧問官 LV 0 都市管理官 LV 0 都市技監 LV 0 農村管理官 LV 0 魔道具製作師 LV 0 医薬師 LV 0

GIFT : ゼロ (X)

SKILL

標準ノーディア語翻訳認識・表現総合 LV 10

無系統魔法 LV 0

無相武術 LV 0

民政学 LV 0

都市経営学 LV 0

都市工学 LV 0

公衆衛生学 LV 0

農業経営学 LV 0

魔法解析術 LV 0

魔道具工作技術 LV 0

医術 LV 0

薬学 LV 0

歴史学 LV 0

地理学 LV 0

生物学 LV 0


「ほら、やっぱりチートだった」

 しばしの無言の後、そう口にしたのは七戸愛香だった。


「なに、このずらずらずらずら並んでるの、これ全部……クラス? 一人一つ選ぶんじゃなかったの?」

 島倉美亜が呆然とした様子で言う。


「INTとMNDが60000……桁が違いすぎる」

 仙道も、やはり呆然とした様子だった。


「けど、あれだけ上達してても、レベルはやっぱり『0』なのね。ってことは、これ……」

「はい。紛れもなく、ユマさん固有の、ギフト『ゼロ』によるものでしょうね」

 晴美とユイナが言い合う。


「INTとMNDは、初日は10000だったんだけど、こっちで魔法を研究してたら、いつの間にか伸びてたんだ」

 由真は、仙道に向けてそう告げる。

「そういえばそうだったわね。6倍、って、ほんとすごいわね」

「まあ、ステータスは僕自身が何かしてる訳じゃないけどね」

 晴美の言葉に由真は応える。魔法の知識と技術を身につけたのは確かだが、ステータスの数値を伸ばそうとした覚えは一切ない。


「あの、私たちは、この世界の人間は、ある程度は、方向性を持って、自己鍛錬します。ステータスの数値は、それ次第で変わることもあります。あの、もちろん、伸び方は、人それぞれですし、伸び悩む場合も、多々ありますけど……」

 ユイナが――この場で唯一の「現地人」として――そう言った。


「まあ、それはそうでしょうね。って、私たちは、この世界の人のステータスは、よく知らないけど……」

「あの、私のでよろしければ、ここでお見せしましょうか?」

 晴美の言葉に、ユイナがそう応じた。


「え?」

「セレニア先生のステータス?! 見せてもらえるんですか?!」

「うそ、マジで?」

 晴美も、島倉美亜と七戸愛香も、驚きの声を上げる。


「皆さんとは、ずいぶん縁も深まりましたし……特にユマさんには、太極拳を教えていただきましたから、そのお礼ということで」

 ユイナの口調は穏やかで、その表情は軽い苦笑を帯びていた。

「あの、正直、自慢になりますけど……」

 そういって、ユイナは水晶玉に手をかざした。


NAME : ユイナ・セレニア

AGE : 17 (26 UP / 103 UG)

SEX : 女

LV : 48


STR : 120

DEX : 150

AGI : 130

VIT : 120

INT : 1220

MND : 1140


CLASS : 神官 LV 45

GIFT : 光の巫女 (A) / 風の申し子 (A) / 家の管理人 (A) - 光の巫女 (A) / 風の申し子 (A)はdual (S)

SKILL

祈祷法 LV 10

預言法 LV 10

宗学 LV 10

光系統魔法 LV 8

風系統魔法 LV 8

闇系統魔法 LV 7

地系統魔法 LV 7

水系統魔法 LV 4

魔法解析術 LV 6

経営学 LV 8

歴史学 LV 7

地理学 LV 7

生物学 LV 6

医薬学 LV 5


「せ、先生、まだ17歳だったんですか?!」

 島倉美亜の素っ頓狂な声。驚くべきはそこじゃない、という台詞を由真は飲み込む。


「美亜、セレニアさんじゅうななさい、とか失礼なこと考えてないよね?」

「いや、だって、ほら、先生、授業とかしっかりしてるし……いや、見た目は、確かにあたしらと変わらないけど……」

 七戸愛香と島倉美亜のやりとり。これでは話が進まない。


「レベル48、って、ユイナさんと同じ……だったんですね」

 平田正志の「レベル48」。その結果を巡って、ユイナが微妙な態度を示したのを、由真は思い出していた。

「ええ、まあ。……私も、人の子ですから、同じ水準に並ばれて、心穏やかではいられませんでした」

 そういってため息をつくと、ユイナは穏やかな表情を取り戻した。


「この、『祈祷法』と『預言法』と『宗学』のレベル10、って、他に誰かいるの?」

「いいえ。ナイルノ神祇長官が、三つ全てレベル9、それが最高です」

 晴美の問いに、ユイナは淡々と答えた。


「この『祈祷法』と『預言法』のレベルが十分高ければ、こういう場所で、この簡易型女神像とか、携帯型水晶玉とかで、いろいろな儀式ができる……という訳です。ドルカオ司教はもとより、モールソ神官でも、同じことはできません」

 このノーディア王国でも最高の能力。由真たちは、その能力の「御利益」に預かっている。


「それにしても、ここの幹部って、つくづくバカよね。ユイナさんを小間使い同然にしてるなんて」

 晴美の言葉に、全員の目線が集まる。


「そもそも、美亜と愛香だって、兵団的には評価低いかもしれないけど、商工業的にはいいスキルたくさん持ってるじゃない。それを『Cクラス』って迫害してる訳だし。仙道君だって、余計な小細工なしで、ドーピングした平田君と互角……技術的には彼を凌駕してるでしょ? そんなに『戦力』が欲しいなら、それこそ仙道君を重点的に伸ばせばいいのに」

 全くもってそのとおりだった。神殿側のやり方は、「教育」としては失敗の見本だろう。


「でも、なんでここの連中、ユイナさんにあんなぞんざいな態度がとれるのかしら?」

「あの、私は、元々『住人』なので、ここの人たちからすると、『臣民』以下、という、そういう認識があるみたいで……」

 晴美の言葉に、ユイナは目線を伏せて答える。


「神官レベル45……なのに?」

「だから、かもしれませんね。『住人』の分際で、レベルが高い、と……」

「腐りきった選民思想ね。ノーディア王国って、先が見えてるんじゃない?」

 晴美は、ばっさりと切り捨てる。


「あの、みんながみんな、という訳ではありませんので。あの、エルヴィノ殿下は、私のことも気にかけられて、定期的に報告するように、と仰せつけられてますし、あのときのように、時折お越しも賜っています。この『初期教育』が終わる今月後半には、私の研修期間も終わるので、あの、殿下は、またこちらに来られます」


 アスマ出身というユイナにとっては、アスマ公爵であるエルヴィノ王子は、敬愛の対象たる「主君」なのだろう。もとより、召還初日の件だけでも、エルヴィノ王子を高く評価するのは十分理解できるが。


「今現在は、神祇長官もナイルノ台下ですし、今は、ノーディア王国にも、将来はあると、私は、そう信じています」

 ナイルノ神祇長官。光系統魔法はユイナと並ぶ王国最高のレベル8。神官としての基礎スキルも、ユイナに次ぐレベル9。まさに「最高位の神官」が「神官の頂点」に立っている。少なくとも今は、体制は「まとも」なのだろう。


 それが次世代に続くかどうか。アルヴィノ王子・ドルカオ司教派が覇権を握るか、エルヴィノ王子が影響力を保持できるか。

 今や、由真たちにとっても「他人事」ではない問題だった。

セレニアさんじゅうななさい、とか失礼なことは考えないでください。


ステータスの数字が、ようやく「裏設定」ではなくなりました。

あと、ユイナさんのステータスとスキルも。


美亜&愛香も含めて、ここに出てくる人たちはとりわけ「縦に長い」(手持ちスキルが多い)という設定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 年齢の右にあるやつってなんですか?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ