405. 王国の国体、国政及び軍事に関する詔書
「非常に長い文語体の詔書」がこちらになります。
大陸暦１２０年晩夏の月２７日
宮内省布告第８号
畏くも国王陛下には 本日以下の如く詔書を渙発せられたり。
宮内大臣 ワスガルト子爵モルト
（詔書）
ノーディア王国が国体国政及軍事に関し茲に詔す。
抑もノーディア王国は建国の地ミノーディアが大陸東西を緊密に連絡しアスマ及メカニアが恵沢を遍く全土に齎すに依り成立し冒険者が研鑽と奮戦生産者が創意と励精の上に存在す。
予は 祖宗より王位を継ぎたるノーディア国王として此国体を堅守し発展せしめ以て王国が繁栄を導くを其天命と認め病身乍ら日夜意を砕きたり。
然るにカンシアに在る王国が政府と軍にはミノーディア総州アスマ州メカニア州を王国植民地と称して其統治と社会経済を圧迫せむと図り冒険者を無頼と蔑み生産者を奴卑として虐ぐる者在り。如此は固より予が本意に反する所なり。
予は茲にミノーディア総州アスマ州及メカニア州が各々其発展に向け更に尽力し冒険者生産者が其活動に益々注力するを庶幾する意を改めて宣す。
予は本日上級国務大臣３人を集め内務軍務経済各大臣も陪席せしめて国政の枢機を諮問したる所王国が国体に対し真に理解を示したるはコーシア方伯のみにして余の者が言は皆正鵠を失したり。
降臨したる無系統魔法が魔法大導師は東西の難敵を撃退し王国人が安寧を保持したるのみならず如此高き見識も示したり。
予は外敵の脅威に対抗し国内の社会経済を充実せしめむが為にはコーシア方伯が器量に頼むの外に途なしと確信す。
仍て予は茲にコーシア方伯を特に王国次席と為して葡萄色を許し其席次を予及予がアスマ州に於ける摂政たるアスマ公爵に次ぐ者と定む。
コーシア方伯は上級と一般とを包含する国務大臣が首座として宜しく王国が国政を総覧すべし。
コーシア方伯が王都乃至ナスティア離宮に在る時は国務大臣等が上奏は須くコーシア方伯の内覧を得べし。
初夏の月５日に予が許しなく神祇長官が指揮も得ずして異世界「ニホン」より前代未聞の３９人が召喚せられたりて其初期教育の途中にて内９人が排除せられたり。
王国軍は残３０人をして其意に関わらず「勇者の団」に加入せしめ此団を軍部隊に編入したるも内兵卒とせられたる１４人に就ては十分なる糧食を与へず飢餓状態に置き意に沿はぬ命に服せしめたりと聴きたり。
此兵卒１４人をアスマ州庁が保護したる所王国が軍と政府は其身柄が返還を要求しアスマ州に対する経済制裁をも声明したり。
抑も初夏の月５日の所謂大召喚は前例に違背し其規模は前代未聞にして王国が内外に対する信義をも動揺せしめたる所なり。
加之初期教育が途上にて一部を排除して残余は其意に関わらず軍に編入し兵卒と為したる者を虐待するが如きは異世界召喚保護特例法に明白に違反する行為なり。
剰へ此大召喚の機に無系統魔法が魔法大導師降臨したるも彼女を神殿は住人と為して頻に迫害し王国軍は雑兵と為して濫に酷使したり。彼女が温厚聡明なる人物と誠実善良なる朋友に依りて事なきを得たるも神殿と王国が如此態度は其過を加ふる所にして独り王国のみならず延て世界全体に破滅の危機を招来したる者なり。
初夏の月の大召喚の後盛夏の月にはカンシア北方を阻みけるセプタカのダンジョンが陥落し晩夏の月にはアスマ西方を圧迫しけるイドニの砦が奪還せられたり。
此戦果は孰れも「勇者の団」が編成に先立ち排除せられたるアイザワ子爵カツラギ男爵及センドウ男爵がコーシア方伯と倶に現地の冒険者と協力して成し遂げたる所なり。
顧みるに前代が「勇者の団」は魔王を討伐したる直後には団員が放出を認めたり。其「勇者の団」より割愛せられたるタツノ男爵及ナガオ男爵は多年に亘りアスマが統治に貢献し以て大陸全体を繁栄に導きたり。
聖剣マクロに択ばれたる勇者に与する「勇者の団」が成員の別離は王国が国体に何らの危殆を招来する所に非ずして寧ろ割愛せられたる者が王国が安泰と繁栄を導きたるは過去と現在の証明する所なり。
仍て予は茲に「勇者の団」が兵卒１４人をアスマ州に割愛するを認め彼等を安全にミノーディア総州を経てアスマ州に入らしむべき儀を関係機関に対し命ず。
王国軍は前の大陸暦１２０年北シナニア対魔大戦に於て上意を承りてと称し予が名代たる時のコーシア伯爵を害せむとし今般も上意を承りてと称し王国に徒なる戦乱を招かむとしたり。
王都衛兵隊は王国が伝統上侵すべからざる所なるアスマ公爵王都邸宅を攻撃し王国が統一を動揺せしめたり。
予が威令の王国軍及衛兵隊に及ばざるは単に予が不徳なるも予は王国が為如此を放置するを得ず。
仍て予は茲に王国が大元帥として王国軍及衛兵隊が王国内に於ける徒なる軍事行動を厳禁す。併せ軍務監察官たるコーシア方伯に王国軍全軍の監察を命ずると倶に止むを得ざる時はコーシア方伯をして奉勅命令を発せしむる儀を宣す。
王国諸侯有司衆庶克く予が意を体せよ。
御名親署
大陸暦１２０年晩夏の月２７日
神祇長官 ナイルノ神祇官タルモ
宮内大臣 ワスガルト子爵モルト
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