398. 殿下への御報告(3日目)
ルーチンですが、この日も御報告です。
アスマ公爵ノーディア王子エルヴィノ殿下
昨日付勅書に示された勅旨を奉じて、本日オスキア市を視察し、その結果を別添のとおり上奏いたしましたので、これをもって王都セントラ及びナスティア市出張の結果(3日目)の報告とさせていただきます。
なお、昨日付報告において申し上げましたセンドウ男爵とサガ男爵の面会につきましては、北部列車より乗車拒否を受けたため実現できませんでした。
大陸暦120年晩夏の月26日
尚書府副長官 コーシア方伯ユマ
(別添)
上奏
臣ユマ謹み畏みて奏上す。
勅旨を奉じ臣は当初ドルカナ市及王都ベルシア市を視察せむと図りたるも諸事情に因りオスキア市を視察したり。
王都北東3区より西駅に至る北西回廊は修繕の余力なきが故か舗装老朽化し通行順調ならざる所と思はれたり。
アトリア王立銀行がセントラ王立銀行券の直接両替停止を示唆したりて現地西海銀行は早くもセントラ王立銀行券に関連する業務を停止したるも市内に混乱の様子は見られずエルヴィノ運河の乗合船も満員の活況を呈したり。
昼食を兼ねて繁華街を視察したる際昨日の経済大臣声明を受けミノーディア産小麦及ライ麦の供給が逼迫し延て食糧自給が危殆に瀕する虞を抱くとの声を聞きたり。
其後オスキア南港に赴き鉄鉱石積下及石炭積込の荷役作業を視察したり。現地に於てはミノーディア産石炭及鉄鉱石が供給停滞せば輸出入に著しく支障を来す虞高く混乱の早期解決を望む旨の意見を聴きたり。
臣はイグノリア・セントリカ駅より王都一般地下鉄環状線及同北東線にて北駅に戻りたるも環状線が車両は製造より50年を超え旧態依然たる所にして如此を未だ運行せしめたるは王都が威信を損なふ所ならむやと懸念せられたり。
王国自由都市たる港湾都市オスキアが繁栄に其耳目を以て接し臣は感銘甚だ大なるも翻りて王都が現状は其交通環境にも改善の余地多々在らむと認識したる儀臣ユマ謹み畏みて奏上す。
大陸暦120年晩夏の月26日
上級国務大臣 コーシア方伯ユマ
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