17. 着てみよう
タイトルどおり、実際に着てみるお話です。
晴美も部屋着と寝間着が欲しいということで、神殿出入りの呉服商が呼び出されて、由真と二人で採寸を受けることになった。
由真は、身長は157センチ。元は172センチだったため、15センチ縮んだことになる。
胸囲は89センチでアンダーバストは64センチ、腰回りが55センチ、臀部は85センチだった。
「65Fとか、女の子たちに恨まれそうな数値よね」
晴美は、そういって軽い苦笑を浮かべただけだった。
ちなみに彼女は、身長169センチ、胸囲91センチでアンダー69センチ、腰回り59センチに臀部88センチだった。
そのスタイルは芸能界にも通用するのでは、と由真は思いつつも、あえて口には出さなかった。
「肌着と上着は、余裕があるので、これでなんとかなりそうです」
そういって、ユイナは白いスリップと黒いワンピースをそれぞれ2着取り出した。
由真は、渡されたスリップを頭からかぶる。その肌触りは堅い。
「こっちは、シルクなのね。これはこれで、違和感があるわね」
同じ「白いスリップ」でも、晴美に渡されたものは絹製で、光沢からすでに違っていた。
その上に着るワンピースは、晴美のものも由真のものも見た目は同じだった。
これも頭からかぶり、腰回りを細い帯で締める。その帯は、晴美のものが絹製なのに対して、由真のものは麻製という違いがあった。
「上着は、住人でも毛織りを使います。1着をずっと使い続けるか、何着も持っていて頻繁に着替えるかの違いはありますけど」
ユイナが説明する。晴美のものは部屋着専用の1着、由真のものは一張羅ということだろう。
「だいたいぴったり、ですね」
「着丈125センチ」というそのワンピースは、袖はちょうどよく手首までを覆い、裾はくるぶしが隠れる程度だった。
袖も裾もひどく余り、腰回りも緩くなってしまった学生服に比べると、このワンピースは由真の「女体」に見事にフィットしている。
「あと、スカートの発注ですけど……」
王都の流行で、総丈42センチであればリーズナブルな額になるものの、それを超えるととたんに割高になるという。
「ちょっと短くない? これで総丈57センチなんだけど……」
そういって晴美は自らのスカートを指さす。膝頭が出る程度の裾。由真たちの学校では、校則に抵触しない主流派だった。
「安く上がるならそれでいいよ。……でも、王都の流行って、結構大胆なんですね」
「都市部の臣民は、結構大胆に露出しますね。貴族は、下に細袴を着るんです。15年ほど前に召喚された方が着ていたものが、今でも人気なんです」
15年前――2000年代半ば。ミニスカートに紺色のハイソックスという組み合わせが全盛だった時期だろう。
「結構、頻繁に召喚してたのね……」
「あの、一応、その15年前を最後に、召喚はしてこなかったんです……今回のこの件までは……」
今回のこの件までは。15年間控えられてきた異世界召喚。それを強行したアルヴィノ王子。対抗するのも容易なことではない。
そのことを思い返すと、由真の胸の奥からため息が漏れてきた。
背丈が縮んで凹凸ができると当然服はだぶだぶになるよね?という話です。
女らんまは、よく同じ服を着てられるな…と素朴に疑問ですね。
なお、由真ちゃんと晴美さんのスタイルは、「主人公補正」です…