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お題小説

世界を変える方法

作者: 水泡歌

 ねぇ、世界を変える方法って知ってる?

 彼女は僕にそう言った。


 この世界はきれいなものばかりじゃない。

 たくさんの汚いものに満たされている。

 だから僕は時々、感じるんだ。

 僕はもう、その世界の「汚いもの」になってるんじゃないかって。

 自分ではきれいなものでいたいのに、もう、それは叶わない願いなんじゃないかって。


 僕はある日、その思いを1人の女性に話したことがある。

 1人の大切な人に。

「僕はもう、汚れてしまっているのかもしれない。君は汚い僕も好きでいられる?」

 すると君は歩んでいた足を止めて、僕の方をクルッと振り向いて笑った。

 そしてゆっくりと僕に近づくと僕の手をキュッと握って言った。

「何で自分が汚れてるって思うの?」

 僕は答えた。

「だって世界は汚いものに満ちているから。その中で汚れないなんて無理だよ」

「だから汚れてるって思うの?」

「うん」

「そう。……確かにそうかもね。あなたが世界をそう思っている限りそうかもしれない」

「え?」

 僕がそう言うと彼女はフワッと僕を抱きしめた。

 そして言った。

「ねぇ、世界を変える方法って知ってる?」

 僕は訳がわからず、ただ首を振った。

 彼女が僕の耳元で小さく笑った。

「考え方を変えればいいんだよ。ねぇ、あなたにとって私も「汚いもの」なの?」

 僕は首を振る。だって君は大切な人だから。

「じゃあ、違うじゃない、あなたの世界と。世界は汚いもので満ちてるんでしょ?」

 彼女の言葉に僕の心はコトンと動く。

 彼女は僕から体を離すと優しく笑って言った。

「私がいる限り、あなたは汚れたりなんかしないよ」

 そして恥ずかしそうに頬を染めた。


 ああ、そうだね。

 世界は汚いものばかりじゃない。

 こんなにきれいなものもあるんだ。


 君がいれば、僕の世界は変わるんだ。


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