閑話~「地球編:神の存在条件」~
遅くなってすみません。約束の閑話となります。
この舞台は地球となっています。即興で伏線とこの話を作りました。まあ、長編用に貯めていたネタですが主人公の目的の都合上、使うことにします。
とある暗闇。この世界のいたるところを見渡していても、無。
まさに、何もないと表現することがが正しい世界。そこに、たくさんの画面が映っておりその明かりだけだけが世界を照らしていた。
その中の一台には、ある子どもが赤ちゃんから十歳になるまでの成長の過程、具体的には魔法の研究をどのようにしているか、が映っていた。そこには、子供が施行錯誤を繰り返してどのような現象が魔法なのか、を研究している姿が映っていた。
また、ある一台には信号機と自動車、あるいはミサイルといった工学的なものから、数式といった非物質まで映っていてとりとめがなかった。ただ、一つ言えるのはこの映っているものは全てイサマがいる異世界にあるものではない。
音だけが出ている虚空の状態がある物体が現れることで打ち破られた。それは、不定形である。
人でもあれば、円形でもあり四角でもあれば三角にもなる。それがなにかは定義できない。定義は、一つだけで様々な意味を持つが逆に言えば様々なものをただ一つにまとめてしまう。
しかし、それは一であり全でもある。であるから、それを定義することはできない。
あえてそれを定義するならば概念……その名は全であり、わかりやすく言うならば神と言えよう。
元は可算にあらず、神は集合であった。しかし、一度個というものが生まれたことがあった。きっかけは古代は多くの人がより多くの物を信仰したためか、信仰の回路や指向性はすぐにこんがらがってしまったことである。そのため、担当を分けようと集合が選択をして、集合から様々な神が生まれることになった。これは自らの選択ではなく、世界が勝手に決めたといえる。
神が世界を作ったのではなく、世界が神を作ったのだ。
それから、初めて神が数えられるようになった。火を信仰する人は火の神へ。水を信仰する人は水の神へ。そのような現実に存在する物質、現象から概念上の存在を信仰する人も生まれた。俗にいう、地獄や天国という概念が該当する。その中には、科学という信仰もあったがそれは集合そのものを信仰すること、すなわち神を信仰することであって自然科学というものではなかった。
その火や水を信仰する量によって、分割されてから初めて神の中に個が生まれ始めた。集合には個は存在せず、ただ人に求められたとき初めて個が集合から分割される形で生まれる。
そして、個が存在すれば優劣をつけるのも自然である。神の優劣は信仰の量で決まる。どれだけの人がどの程度信仰しているか。
その中にもルールが存在する。それは、人間が生きている世界に直接的な干渉、具体的には人間を介さずその世界に影響を及ぼすことを避けること。というものであった。そのため、神々は自らの権威をあらわすべく様々な物質を世界に落とした。また、ある神は神託という形で直接人間を介することで影響を及ぼすこともあった。
しかしそのような信仰争いはある千年で急激に冷えていく。きっかけは人の自然に対するなぜ、という考え。そこから、次第に人は研究を始めそのために様々な手順がとられた。中には神という概念によるものという研究結果も存在したためか、その場では信仰が増えることもあった。
が、八百年ほど経過した時神々にとって信仰が大きく揺らぐ現象があった。それが、ケプラーによる万有引力論。これによって、数式という形で元からいた神々が説明されてしまった。この時は人間たちの扇動をして、もみ消そうととしたが時すでに遅し。人間が数式というもので説明しようとする流れが生まれてしまった。
そこから二百年。今まで神々の信仰という形で存在していたものが数式や図といった形で変わられてしまうのであった。神々は急速に消えてしまい残ったのは数えられるほどの柱のみとなった。
そのような状況下である以上、個による信仰争いをこのまま続けていても共倒れという判断となって最終的には集合に戻る、という形に収まってしまった。
しかし、その中に生まれた個というものは消えてなくなることはなく、最終的には集合であるにもかかわらず考える能力や人間のような優劣をつける能力まで備わってしまった。それが良いか悪い事かはわからない。ただ、野心を持った集合はすでに集合でないことは確かで世界によって生かされているのは確かだが、世界から切り離れることできるようになった。
ひとまず、失った信仰を取り戻すために自然科学といった分野から概念上の存在まで幅広く信仰を繰り広げることが可能になった。これも、個人による成長によるものなのかは定かではない。
そんな神に、自分とは異なる世界からある要請が届いた。
お読みいただきありがとうございます。今回はいつもにもまして、固い所や難しいところが多かったと思います。明日の前書きにでも、要点だけ書こうと思っています。
ちなみに明日の更新は閑話から入ります。
さて、恒例のことですが
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