解明編④:マキュベスの魔法その1
さて、前回魔法の道具化について興味を持ったといったが、正確にはなぜ魔法と同じ現象が魔法を使えない人も使えるのか、という内容である。
マキュベスから見るとこれは同じ現象に見えたが、実は一般常識としては同じ現象と見なされていない。
具体的にどう違うかという説明はまたいずれするとして、似たようなことが起こるがそれについての相互関係については認められていない。というより、解明されていないといった方が正しいか。
そのため、当然本にも載っておらず誰も知らないことであった。
では、どのように研究したかというと類似物質について調べることにした。具体的には、魔石と似たような形をしている石、あるいは火起こしに用いたグッズなど。それを用いてもう一回火起こしをしたこともある。
だが、それについて触ってみても地面に触れても特に異常なことが起こるわけではなかった。
もちろん、起こした火に触ることもできないためただの観察しかできなかった。
当然と言えよう。そこらにあるものが急に火を噴いたりしないからだ。
マキュベスが強く希望したからか、魔石について触らせてもらう機会があった。
両親と一緒という条件があったものの、どのような手触りなのかどのように使うのかということもまとめて教わっていた。
さて、そのように身近にあるものを研究してきて一年。少なくとも身近にあるものは大体観察し終わり、これ以上手詰まりという状況であった。
ついでに魔法の授業も進んでいたのだが……ここで彼が一つ才能を開花させていた。
授業と共にお見せしよう。
「魔法を発動させるのに、魔力が必要という話をしました。
あなた方の兄弟も何とか感知できるようになりましたね。それでは、次のステップについてお話ししましょう」
と言って、魔力に当てられる日々はようやく終わりを告げた。
「次の段階は、魔力を動かすというものです。理論的な説明はすでに終えたので、次は実践してみましょう。具体的には、魔力を自由自在に動かしてみましょう」
と言って、先生の魔力が体内で動くように感じた。どうやって感じたかというと、魔力間の相互作用によるものだ。
「このように、魔力が動いているのがなんとなくわかると思います。
やり方については、イメージを持って魔力をちぎるようにしてちぎった部分だけ動かしてみましょう」
であった。マキュベスにとっては魔力そのものを変形させて動かしていたため最初は困惑したものの、すぐにできたようである。
そして、彼だけでなく兄弟もすぐにできるようになっていた。
「やはり、皆さん早いですね。才能によるものなんでしょう……
では、それをできる限り早く、遠くまで行き渡るように練習してください。
具体例としてこのレベルにしてください」
というと、教師の体内が魔力によって高速で循環されている。先ほど頭にあった魔力がすぐに足元まで行っている。イサマの時間単位を用いると、おおよそ二、三秒程度であった。
「それでは、今日の授業は終了です。これはやったらやっただけ伸びる分野でもありますので、とにかく練習です」
なお、確かに速ければ速いほど肉体の強化や魔法の発動も早くできるようになるのだが実際は限界と言うのがある。イサマの世界の言葉で語るなら、抵抗なるものが存在する。これによって途中動きがせき止められてしまうからだ。
抵抗はどのように決まるかというと体質で決まるもので、つまり才能による。ただ、教師が提示した速度は貴族であればだれでも出せる速度と言える。
さて、肝心のマキュベスに関してはすでにそのレベルの速度を出せるようになっていた。
しかし、彼が気付いたときにはそれがある一点に集まっていくように感じていた。その場所は非常に狭いにもかかわらず、体内の魔力らしきものがその場所へどんどんやってくる。
そのため、次第に窮屈になってしまい、魔力同士をくっつかせないと容量内に収まりそうにないと感じていた。
だから、つい彼は魔力と呼ばれるものをくっつけてしまった。
しまった、習ってないことをしてしまった……と思ったが、その状態の方がしっくりくる。
しかし、それをさらに動かそうとすると出ていかなくなってしまった。
なにか失敗してしまったのか、と焦りながら教師や両親に相談してみたがよくわからない、と言われた。
彼らから見ても、特にマキュベスに体調不良が現れているわけでもなく顔色も問題なかったら困惑していた。
魔法に関しては、研究が進んでいなかったからというのも原因にはあるが……
なので、彼にとってよくわからない状態のままだったが次第に気にしなくなった。
ある時、魔石についてまた眺められる機会がやってきた。
基本的に保護者同伴でなければ見ていけないものであるから、マキュベスもそれには従っていた。
いつも通り、どこか温かく表面も柔らかい。
奇妙で、どんなふうになっているのか覗いてみたいと思ったその時。
くっついた魔力の一部がいったんバラバラになって、もう一回違う形で再構成されそれが目に行きわたった。
その瞬間、世界が縮小された。
彼が見えた世界は、液体。大量の液体とそこに漂っている管が発見された。
今まで見たことがない世界に気味が悪く、つい落としてしまった。
「おい、マキュベス!? 大丈夫か!?」
と、両親からの声と支える手が来るまで彼が答えることができなかった。
そして、いつの間にかある場所で保存されていたくっついたままの魔力の一部はどこかに行ってしまっていた。助けてくれた彼らへ頷いてから、もう一度先ほどと同じように見ると……やはり、同じものが見えた。そして、同様に魔力もどこかに行ってしまった。
これにはさすがに彼も怖く思ったのか、大人に相談していたが彼らはひどく驚いていた。
「マキュベス。驚くんじゃないぞ。お前は、もう魔法が使えるようになったんだ!」




