16話~「魔法回路による魔法へのアプローチ」~
前回のあらすじ:超常存在で常識が伝わらない少女に付き合ったマキュベスは起きた後にもかかわらず、疲れを覚えていた。が、彼女曰くそのおかげで魔法を使えるようになったらしい。
ブクマ登録ありがとうございます。
今回の話は魔法で顕微鏡を作るという話の理論編になります。未読でも次の話につながるため、気になる方のみお読みください。
朝。
一言で言えば、とんでもない夢でした。
あの未確認物体としゃべって、そのまま消えるという稀有な体験をしました。
一生ものですが、二度は御免ですね。
さて、あの人は魔法を使えるようになったとか言っていましたが……どうなのでしょうか。
とりあえず、ご飯等を食べますか。
ちなみに食事に関しては研究室で引きこもる人向けに、学院の食堂を使ってよいとされています。
なので、そちらに向かいましょう。
学院に併設されている食堂ですが、これが意外と馬鹿にならない設備と食事だったりします。
さすがに私が学院生時代の寮ほど豪華ではないですが、私の家よりもずっと豪華です。
食事の内容は舌が肥えた貴族の方でもそれなりに満足してもらえるように、ということで非常に凝っているものです。
その値段も比較的安いといってよいでしょう。おおよそ、王都で働いている人の食費の平均の倍程度です。まあ、貧乏な私でもたまに食べることができる程度です。
ちなみに経費で落ちることもありますが、それをやると研究費が減るのでいつも自腹です。それはともかく。
適当な肉料理とパンの料理を食べることにしました。
そして、いつもの癖で顕微鏡の魔法を使用します。
何でこんなことをやっているのかというと、幼いころ魔法の練習のためということで練習させられたわけです。
肉の表面にどういうものがついているか、パンの表面はどうかなどを調べた後あくびをしながら手を付けようとしたのですが……気になることがあり手を止めてしまいました。
この顕微鏡の魔法のおかげで分かったことの一つに、物体はただ物体なのではなくあるモノの集まりであると考えられます。
例えば、肉は肉と言う物体がある訳ではなくいろいろな他の物質が組み合わさって肉になります。
その理論を当てはめるのであれば、レンズもレンズと言う物質でできているのではなく何か他の物質を組み合わせることでレンズとなるのではないか?
とりあえず、急いで食べてもう一度実験に向かうことにしました。
さて、まずはレンズを作らなければなりません。氷レンズを作り、その構造を見てみましょう。
……ええ。予想通りです。
そこまで複雑なものではなく、私がよく見ている水そのもの。
次は魔法回路を使って、溶けなくてかつきれいなレンズを作りましょう。
前は数式やらどういう風に光線が動くか、など複雑なことを考えていましたがそれは後回し。
今は、これと似たような構造を作ることが優先です。
魔法は意志を反映させるもの。
水から氷を作るとなるとその都合上溶けてしまいます。
ならば、溶けないようにすればよい。
なので、魔法を発現させるための意志は光線が~ではなく
透明な物質かつ、室温で固体の物。これだけで十分です。
魔法回路が活性化します。
イメージは氷そのもの。ただし、その中に溶けないという条件を加えるだけ。
先ほどよりもずっと楽ですが、しかし頭の中が再び熱くなります。
それでも、昨日ほど耐え切れない量でもない。
光やら音やらが大量に出た後、ようやく私の掌に出てきました。
それはいびつな形でとてもレンズには使えないものですが、確かに私が望んだどおり透明でそして溶けそうな反応を起こしていない。
「よしっ!」
とつい声を挙げてしまいましたが、ようやくと言っても良いほど想い望んだ結果が得られました。
しかし、先のは魔法回路に無駄が多すぎて透明度で言えば氷ガラスの方が上ですし、このままでは光が散乱してしまいうまく扱えないでしょう。
とりあえず、やるべきことをまとめましょう。
まず一つ目は、魔法回路に無駄が多すぎて余計なところに魔力を使ってしまっているため、それを直してできる限り透明に近づけるようにしましょう。
二つ目は、レンズの形。
このように丸くなく所々凹凸があるようなものではレンズとして機能しません。
なので、それを整える必要があります。
なお、その形についてですが実は計算で求めることができます。
が、今までの経験上頭の中で余計な計算を考えていると爆発したかのように起動できなくなるため、最初から求めておきましょう。
方針は決まりました。
まず一つ目の魔法回路ですが、これは慣れだともいわれています。
あまり使い慣れていない時は色々と抵抗が入ってしまうため何回か練習する必要があるとか。
後は意思が足りていないからとも言われています。
言い方を変えるならば、具体的ではない、あるいは想像するものが適当ではない。
他にも精神に該当するものがないというのも理由として挙げられますがそれはともかく。
もう一つ追加で言えば……今まで詠唱無しで魔法を使っていたためか同じようにやってしまいました。
この魔法学では詠唱は必須。最も簡単に意思を現実世界に変換できるわけですから、これをやらずしてどうするのかという話です。
なので対策としては先ほどは何も見ずに魔法を使ってましたが、今回は先ほどの物を見ながら想像することにしましょう。もちろん、詠唱も付けます。
それを何回か繰り返していると階段を上るかのように出来が向上していきました。
そして、二十回目ほど。
「I w t t r l i t r w!」
と、以前上手くいった言語を組み合わせて詠唱をすると……ようやく火花も熱もなく魔法を発動させることに成功しました!
そして、その出来を調べると……一回目と比べると明らかにわかるほどの透明さ。
現に顕微鏡の魔法で確かめても、一回目の物は光線の経路を不透明な部分で邪魔していましたが今回はほとんどの光線が貫通しています。
ここまで純度を高めることに成功したら、次の段階に行って良いでしょう。
魔力を使いすぎたので、あの道具をつけていったん息を吸います。
今の場合、これを使うとまあまあ早く復活します。まあ、大きすぎるのと重いのと上位の爵位の方ですと普通にしていた方が回復速度が速いのですが。
それなりに回復した後、研究の結果調達した魔力回復アイテムを摂取します。
あまり飲みすぎても効果はないものの、普通にやるよりかは良いという程度の魔力が回復します。
まだ実用化に耐えるほどではないですが、個人用には十分です。
さて、次の段階についてですが。
レンズの形の議論は以前行った通りできる限り小さく丸い方が適しています。
当然、それと似たようなものをどこからか調達する必要があります。
研究室を探してもなかったため、代用として氷レンズを使いましょう。
ちなみにですが、先ほどの完成品を削ったりして丸くするというのは一度試してみました。
結果を言えば、それ用の魔法を持っていないことから非常に難しいため断念しました。
さて、氷レンズを見ながら先ほどのレンズを同時に見る……という作業ですが同時に物を見るというのは非常に困難な作業です。
それを想像しようとしても、他のことが混ざってしまい想像することができないわけです。
なので先ほどと同じような方法でどんどん近づけていきましょう。
ある程度までは先ほどのレンズを中心に考えることで丸い形に近づけさせることができます。
なので、回数を重ねましょう。
その後は先ほどの通り。
ある程度凹凸をなくすことに成功した後は、さらに球体かつ透明になるように工夫すれば良い。
そして、完成したレンズを魔法を発動して光線がどのように通るかを観察すると……よし、予想通りになりました。
後は計算の後、これをもう一枚作るだけです。
お読みいただきありがとうございました。
相も変わらず抽象的ですが、一応ヒントの回ではあります。
個人的には面白い設定になっているため、ぜひとも推測してみてください。
次回二章最終回です。




