4話~「植物の偉大さと、人間の適応力の高さ」~
さて、今日の話です。
自分で読んでいて思ったのですが、今の話は全体的に研究日誌となっておりその内容を解釈と言いますか、きちんと伏線として管理するのはかなり厳しいのでは……と思った次第です。
ついでに言うとなろうテンプレが転生ぐらいしかなく、モテモテという描写も特にないので我ながらマイナーすぎるなぁと思ったり。
何はともあれ。そのことから魔法に関しても現代科学での法則にある程度従うことが判明した。
もしかしたら、アプローチ…つまり、ミクロに物事を見る、解析的な手法が有効であるかもしれない。下手をしたらこれらが一切使えない可能性があったため、これだけでもそれなりに大きいのではないか。
しかし、この手法を取るには大きな問題がある。それは、分析機器はおろか顕微鏡と言ったものが少なくともこの村と商人の販売道具にはない。
もしかしたら、交渉次第でこれらの道具が手に入るのかもしれないが……望みは薄いと考えている。
そもそも、現代でもそれらの道具は専門の組織しか所有していないだろうしましてはここは中世チックな世界。
さらに前世ではそういった系の機器を専攻していたわけではないためしくみは多少理解しているが、どのように作るかもわからない。
精々作れそうな顕微鏡においては「二つのレンズを使って屈折を使う」程度の知識であり、レンズの調達に関しては現状手掛かりがない。
余談だが学校などでよく見る顕微鏡では、俺が望むだけの小さな物質を観察することはできない可能性がある。もちろん、現実ではそれ用の顕微鏡があるのだがその分野はいよいよ企業や専門といった内容に踏み込んでしまうため、結局不可能であることには違いはない。
何が言いたいかというと、手詰まりである。
仕方ないため、今はこちらからのアプローチを避けるしかない。代わりのアプローチとして今持っている植物について調べることにした。
炎が発生するための条件は燃えるための素材、酸素、そして熱である。このうち素材はこの植物にあり、酸素は外に豊富にある。
最後の熱だが、これは先ほど俺が植物の根に触れたとき、身体の中から何か抜き取られてから植物の茎が熱くなったためそれが熱だろう。
この植物の理論について触れると、前世の熱力学の法則から俺の中のエネルギーが抜き取られ、植物の熱に変換した、と考えるのが自然だろう。どういう仕組みか、というのはわからないしそもそもエネルギーは物体ではないのだがそれはさておこう。
とりあえず、この仮説を立てて実験を行う。
根に触った時に吸収されたこと、そして茎が熱を持ったことから必要なものは根と茎だろうか。花に関しては、必要なのかどうかわからない。
もちろん、実験する場は林や草が多い場所ではなく少し開けた場所で行うよう心掛けた。山火事になってはかなわない。
そして、百回実験した後。花の発見から一年もかかってしまったが判明した事実もあった。
まず、あの炎の現象に花の有無は関係ない。
茎が折れてしまったときその折れた部分から、炎が放出されたということと、
花をつけた状態で根に触れたときも炎が発生することが実験事実として確認できた。
ちなみに、苦労談になってしまうがなぜこんなに時間がかかったのかというと同じ日に何回もこの実験が行えないからである。具体的には、この花を着火させるだけでそれなりにエネルギーを消耗してしまう。そのため、一日一草が限度であった。
それ以外には理論の考察を行っていたり、草を探していたり、実験できずに今世の親に呼び出されたりなどと遠回りであったため一年かかってしまったのだ。
なお、百回という数字は純粋に俺が決めた数である。特に花の方は結果がずれることが多く、五十回では今と反対の結論が出されていたのだ。本当はもっと多い回数をやるべきかもしれないが、時間がかかって仕方ないのでいったん打ち切った。また少しずつやっていこうと思う。
では、花は魔法という観点からというのも実験結果が得られている。あまりよろしくない実験であるが花の部分だけを取り除いてみたがすぐに起こることはなかった。なお、葉っぱの部分を取り除いても同様であった。
翌日、観察しに行くとその植物が見当たらなかった。探してみると、先ほどの植物の欠片が周りに散りばっていた。これも本当は複数実験してみたかったがあまりにもかわいそうというか、生命を冒涜しているように思えたためいったん打ち切ることにした。
そのため推測になってしまうが、恐らく根から養分を吸い取ってそれを茎とかでエネルギーに変換して、成長させたりするという仕組みではないのだろうか。そして花から、生殖をおこなったり子孫を残すようにしたりしていると勝手に考えた。なお、この植物の名前はなかったため俺が適当にヒフキソウと名付けた。ネーミングセンスがない?うるさいそんなことわかっている。
ちなみに、俺はこれを魔法もどきと呼んでしまったが本来はこういった植物の機構の一部こそ魔法であるように思える。植物の歴史はよくわからないのだが、少なくともこのような形の進化というのは千年、二千年、それこそ万単位であることなどざらである。勇者がいつぐらいに来たのか不明だが、おおよそ今の教会ができたときと重なることから、三百年程度だろうか。
つまり、勇者の持っていた魔法及び遺伝した魔法こそ歴史が浅いはずである。が、そんなこと言ったら不敬罪で処刑されてもおかしくないこと、そして教会の言うことが本当であれば女神様とやらが人間には使えなかった魔法を授けたことから、あながち魔法と言うのは間違いないともいえるが。
それに、これが魔法もどきという理由はもう一つある。人間視点の話になるが、この花を用いないと俺は魔法という現象を起こせないことだ。ご貴族様の魔法は見たところ使い捨ての道具はなかった。そう、何も持たずにこの植物と同じくらいの魔法を使っていた。
もっというと、実はあの炎の後一回杖を用意した時があった。その時の魔法は、まるで生物が動いているかのような炎を生み出していたのだ。回転したり、光で円や星を描いていたりして、一種のパフォーマンスとして最高のものであった。
まあ、あの炎を出した衝撃の中には消えてしまっていたのだが。もちろん、そんな芸当は今の俺にはできない。
もしここまで高等な芸当を魔法と言うのであれば、まず俺の魔法などご貴族様は歯牙にもかけないだろう。生産性、火力という観点ではもちろん、とてもではないが戦ったとしても敵わない。勝てる要素は汎用性ぐらいか。
生物と魔法の共生という面では生物はより複雑かつ根広く使われているが、魔法という技術を扱う点においては人間の勝利というわけである。これに関してはどうしようもない。
もっと火力を大きくすることや、道具化を検討しているのだがあまり進んでいない。火力に関しては、根に触れる時間を長くすることでよりたくさん吸い取ってくれるのではと思ったのだが、確かに大きくはなったように見えるがどんぐりの背比べレベルである。今のままだとご貴族様のものには敵わないし、少し手に触れただけで燃えるものを持つという意味でも安全ではない。
そのため、改良を試みてはいるもののなかなか案が思いつかない。継続して何か違う案が得られないかかということでフィールドワークをしてはいるものの、うまく改良できそうにない。
そのような研究の進行で、八歳になった。
さて、SFっぽさはだいぶ出てきました。よく見かける現代知識もの異世界転生とは味付けがかなり異なるようにしています。以降もこんな調子で話が続きます。
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