3話~「鶏が先か卵が先かという問題を解決する特殊解」~
前回のあらすじ:マキュベスから何かしてほしいものがないか、と聞かれたため物を大きく見ることができる装置が欲しいといった。
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本日の話になります。
途中、「・」がたくさん続いているところはマキュベス視点になります。
師匠は難しそうな顔のまま、少し考えていた。
「とりあえず可能か不可能かについてはさておいて、イサマ。貴方がようやく遠慮が無くなったのはうれしいです。
ただ、作るとなると……ちょっとわからないですね」
であった。師匠の魔法を道具化するのをためらっているのだろう、と思ったのだがそれを口にするべきではない。実際、魔石を使えばできるはずなのだが。
そんな俺を見て察したのか、少しコメントしてくれた。
「とりあえず共有しておきたいのですが……私が魔法を使えることを知っていますね?」
……唐突にこの質問が来た。どうこたえるべきか。
目がうろうろしてしまい、答えあぐねているとため息とともに
「ごまかそうとしなくてもいいですよ。その反応で察しました。
まあ、それはいいです。……あまり、言いたくなかったですが、私も魔法を使えますよ」
やはり、そうだったか。気を遣ってくれたのだろう。どことなく申し訳なく思ったが、話が続く
「あともう一つ聞きたいのですが、私の魔法の種類ももしかして見当がついていますか?」
と聞かれる。そうか、あの質問でばれてしまった。だが、逃れようにも先ほどと同じようにすぐにばれてしまうだろう。だから、正直に頷く。
「そうですか……まあ、いいでしょう。貴方の予想通り、私の魔法は視覚に関するものです。
あと、イサマ。私も教えていなかったのでしょうがないと思いますが、あまり人、特に貴族の方にどの魔法を使えるかとかは聞いてはいけませんよ」
曰く、魔法の系統、例えばマキュベスみたいに視覚に関する魔法である、ということぐらいは言っても構わないらしいが、具体的にどのようなことができるかは絶対に言ってはいけないものらしい。
理由はいくつかあるが、何をできる魔法かがばれると対策されてしまうかららしい。
「ついでに言うと、当の本人も自身の魔法についてよくわかっていないケースが多いです。研究によって自身の魔法が全く別の物へ応用できることもありますので。
なので、言うとしたらそれこそ婚約者や家族とかそれぐらいになります」
ということだった。系統を教えてもらえるだけでも十分信頼されているのだろうと思って、納得しておこう。
「……まあ、今回はあなたの研究内容を事故とは言え教えてもらいましたし何かしたいことがないか、を聞きたかったので仕方ないです。
今度から自分の研究内容を公表する際はどういう影響がありそうか考えるのですよ」
「つまり情報または物々交換というということ、あるいは自分の研究が業界にどう評価されるか、ということを考えるですか?」
「その通りですが……本当にあなたはよく知っていますね。貴方の勘の鋭さが子供には思えません」
と、ため息をついていた。一応転生しているから、これぐらいのことは読めるし前世でもさんざん教育されたことだ。
「話を戻しましょう。今の私にはその解析装置を作ることは不可能ですね。
理由に関しては、私もそれの作り方を知らないからです。
一応、それについても研究を行っているのですが……さっぱりです」
であった。まあ、マキュベスも魔石についてはすべてが判明していない以上仕方ないのだが……
「もしかしたら、それと似たような道具があればそれをモデルにして作れるかもしれませんが……これでは循環論理ですよね」
循環論理と言うのは、ざっくりいえば鶏が先か、卵が先かというのと同じ意味だ。
つまり、解析する道具が欲しいのに、実物がないと作れないというのは、当然のことながら実現不可能だと言いたいのだろう。
しかし、ここで一つひらめいた。
待てよ。マキュベスの言う「モデルがあれば作れる」というのは別に循環論理ではなくないか?
この異世界にも通用するかはまだわからないが、一個思いついたことがある。
「わかりました。俺が作ってほしいものと近い機能を持った道具があれば作れますね?」
「ええ、そうですが…何か心当たりが?」
「いえ、今から探してみようと思っています」
といって、自由時間のうちに探すことにした。
何が思いついたかというと、顕微鏡である。顕微鏡はレンズを使うことで物を大きく拡大してみることができた。前世の知識であるが、顕微鏡を作るのにレンズが必要である。そのレンズにはガラスかプラスチック、あるいは透明なものが必要になる。
プラスチックは石油製品なので不可能に近いが、ガラスであればもしかしたらあるのではと考えている。まあ、ガラスもある特定の物質を溶融する必要があるから、最悪はその戦法を取るしかないのだが……
それから何日もかけて山を探してみたが見つからなかった。まあ、そう簡単に見つかるはずがないか。
例え異世界転生であっても、都合よくはいかない。
全域を探したわけではないが、マキュベスに聞いてみても該当する物質は思いつかないらしかった。
万事休すか、と思ったがここで小学生の時に行った実験のことを思い出した。
そうか、観察には向かないがもしかしたらモデルだけだったら簡単に作れるかもしれない。
マキュベスの元に急いで向かった。
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イサマを拾って何年か経ちましたが、彼の才能について深く理解していた気分になっていました。
しかし、想定が甘かったですね。
まさか、私の魔法を教えても見せてもいないのに見当をつけてくるとは。
正直に言えば、彼に魔法のことを教えてくれ、と請われた時は一瞬悩みました
ただ、あの魔法練習場を見たときに彼の才能をありありと見せつけられた以上、彼のような人材を放っておくわけにはいかない。
なので王国のための人材育成兼、できる限り彼のトラウマを消すように授業していきました。
あの場で助けた以上、もう私に殺すという選択肢はなかったですし、そもそも我々の不手際でこのような事態になっているためその選択肢を取るにはあまりにも自分勝手な話です。
……それに、今では彼が予想以上に真面目で正直、そして努力を怠らないタイプで教えがいもあってかわいいと思ったからでもありますが。
私こと、マキュベスが貴族であるというのはあまり暴露したい話ではなかったです。できる限り貴族と距離を取った方が良いのは確かですから。一応、魔法を使える人の中には貴族でない方も今の世の中にはいます。それを最初に話はしましたが……あまり意味はなさそうですね。
さて、そんな可愛い彼でしたが驚くほどに欲求がない。というより、こちらへの要望がすべて授業関係。
一言で言えば、教師と生徒という関係であってそれ以上でもそれ以下でもない。
最初は私が貴族だからか、と思いましたが家事に関してはやってくださることから、そういう問題ではなさそうです。
ただ、気になったのはたまに見せてくる怯えの表情。
私が貴族だから、という可能性も考えましたが、彼の性格上私に反抗心をぶつけてくるように思えるので除外しました。
最終的には、私に気を遣ってくれているのかもしれない、と結論付けました。なので、今回のようなことを言ってみたのですが……やはり、彼は魔法に夢中そうでした。
そして、彼の要求したものを自分で探すといっていましたが大丈夫なのでしょうか?
イサマは言ったことはやり遂げるタイプだから、信頼はしていますが……
と、物思いにふけっていると彼がやってきました。今度はどんな面白いことをしてくれるのでしょうか。
お読みいただきありがとうございます。
マキュベス視点は説明不足だと思いますが、後の方でもう一回丁寧に説明するので今はこれでよろしくお願いします。
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