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傷跡

ごめんなさい!遅くなりました!

お詫びに今日は二話上げます!(1/2)


あと、ブクマ登録、ポイント評価ありがとうございます!新しい章と言いますか、閑話の章開幕です。

 どこか、まぶしい世界。陽の光が照らし始めて見えるものが鮮明になっていく。

そして、自らの身体も目覚め始めていく。

しかし、身体は正直でまだ横になっていたいと訴えており、怠惰な自分はそれを受け入れてしまう。


「ほら、起きなさい」


 という綺麗で聞きなれた声が向こうから響く。しかし必死に聞こえないふりをしてごまかそうとするが、声が徐々に大きくなっていく。そして、ついに壁などを隔たることなく俺を呼ぶ声が聞こえてしまった。


 仕方ない、起きるか。無視すると母親の雷も怖いことだし。

ようやく身体を持ち上げた。その際に手のひらがささくれに刺さったため少し痛かったが、今は雷の方が怖くて気にしている余裕がなかった。。


「おはよう、イサマ。朝ご飯できたわよ」


 その表情はやや意外そうであったが、いつも通りの挨拶であった。それに挨拶を返す。


「おはよう、母さん」


 というと、先ほどとは段違いに驚いていた。母親への態度に不思議な気持ちとやや不快な気持ちを持ちながら、食卓へ向かう。その場にはすでに父もいた。

 母もその後を追うように俺へ並んだ。


「そういえばさ、なんで俺が挨拶すると驚いたの?」


 というと、母は笑いながら返答してくれた。


「だって、あなたは寝ても覚めても魔法のことばかり。頭の中も魔法のことを考えているから、私たちが話しかけてもいつも生返事だもの」


 そんなことない、と思いながらも家族と碌に会話の思い出がない。

魔法を初めて見た時、叱られた時、そしてあの時の……

それを思い出してしまった瞬間、胸に大きな異物が入り込んできた。


 呼吸ができない。頭が動かなくなる。

異物が肺をずたずたにしたからだろうか。心臓をぼろぼろにしたからだろうか。

血液さえも滞ってしまう。得体のしれぬものが記憶を閉じ込めようとしていた。


 いつの間にかうずくまっていた。

しかし、母はずっと微笑み続けており父と仲良く会話していた。

どんどん視界がかすれていく。ああ、これが俺の罰なのだろうか。罪なのだろうか。


 あふれ出てくる感情。

生体防御なのか、異物をすべて排除しようと様々な形で俺から液体がこぼれていた。

全てを出し切ろうとする前に、意識が途切れた。


 

 もう一度覚醒する。

知らない天井だ。今度は夢ではないだろうか。

体を起こそうとするが先ほどとは違い体の中からくる痛みでなく、表面にある痛みであった。

あまりにも強烈で身体を支えることすら不可能ですぐに横になってしまった。身体を見ると、いたるところに村で見た薬草が塗られており誰かが治療してくれていたのだ。


 と、そんな痛みとの戦いを繰り広げているとドアが開いた。その顔は、俺が意識を失う前に見たローブの男であった。まずは礼儀を言わねばならない。


「ようやく目が覚めましたか。身体は大丈夫ですか」


「はい、大丈夫です。ありがとうございます」


 思ったより若い声であった。恐らく四十歳程度であろう。俺の様子を見て少し驚いた様子であったが、すぐに取り直して俺にどういう事情があったのか聞いてきた。

 少々ためらってしまったが、助けてくれた彼に話さないのもどこか不義理である。だから、答えることにした。


 そして、所々詰まりながらも特に支障なく説明できたのだが、親のところを話すところで途端に言葉が出なくなった。代わりに、涙と心からこみ上げる苦々しいものが俺を支配した。

 まただ。あの夢の時と同じ痛みに、身体の表面をえぐる傷。

中も外も、ずたずたに引き裂かれ焼き尽くされるようであった。


 あの夢の時と同じようにうずくまってしまい、吐き気さえ装ってきた。

しかし今は現実。この人の家に吐き出すわけにはいかない。

と冷静な方が告げるが、あの時の苦々しいものはどんどんよみがえる。

そして、脳裏に母親が後ろから切り付けられた姿、そして盗賊たちの爆破した時の匂いまでもがよみがえった。


 それがきっかけとなって口の中が苦いものであふれた。

この苦さと痛みに口を開けずにはいられなかった。

気付いたときには、すでに耐え切れずその床に打ち捨てるように吐き出していた。

一旦吐き出してしまうとすでにつっかえが無くなってしまったためか、止まることがなくむしろのどから苦いもの、痛みも、声もあふれてしまう。


 このまますべてを吐き出してしまいたい。

 この怒りを、憎しみを、悲しみを、そして思い出を、命を。

 全て出せたら楽になれるのではないのか。


 と、その時に背中が撫でられるように感じた。その手が大きく、俺を包み込んでくれるものである。今までの思い出の中にないものであったが、不思議と大きくつっかえていたものが吐き出せるようになった気がする。

 体液の排出と声が止まり、ようやく頭がすこし動くようになるとその手の主を探すことにした。


 その先を見ると、先ほどの男がなぜか俺の背中をなでてくれていた。目の前の理解できない現象に、無い頭で考えようとすると小さく、しかししっとりとした声で


「ひとまず寝なさい。話はあとでしましょう」


という男の声が聞こえた。その声に引きずられてしまい、ベッドに倒れてしまった。


はい、そういったわけで需要があるかわからないヒューマンドラマ回です。

しばらくこれが続きます。(研究要素もほとんどありません)


そのため、巻きでこの章を終わらせようと思います。

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