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19話~「Battle with fate ① fin」~

前回のあらすじ:追い詰められたイサマ。ある場所で迎え撃とうとするが、盗賊のリーダーが炎の魔法を放ってきた。それに魔法石で対抗する


遅くなりました! 本日の話です。

ブクマ登録、ポイント評価ありがとうございます! 


 俺の投げた魔法石と奴の放った炎がぶつかった瞬間。

またもや世界に振動をもたらした。

その衝撃に耐えらず身体が吹っ飛ぶが、今度は横に避けていたおかげか受け身が取れた。


 降りやまない雨の中に、出るはずがない大きな炎が現れていたがすぐに消えてしまう。

しかし余波で現れた煙に関してはいまだに視界をふさぐ。幸いにして仕掛けの方向には煙が飛んでいなかった。


 炎が出たことから最初は奴の方が威力が高かったのか、と思ったが煙の中からうかがうと相手の方に石礫が飛んでいた。

少なくとも相殺できるほどの火力は誇っていた。反射神経で魔法石を使って対処してしまったがどうにかなったようだ。


 こちらの弾は後一発。俺の仕掛けはやはり石を使うためもう使えないが、ここでふとひらめいた。

重要なのは、先ほどの事実。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

俺の仮説が正しいければ、魔法石がなくとも起爆させられる。


 未だに晴れない煙の中、土壇場かつ仮説にすぎないものを前提として作戦を考える。

奴らも俺もこの中を見ることができないが、今の俺にとってアドバンテージである。

少し悩んだが、敵は残り二人。作戦もほとんど決まった。


 先手必勝。

魔法を使えない奴と使える奴が別の場所にいることを確認した後、そいつへ接近する。魔法が使えない奴は予想通りリーダーほど気配に鋭くないらしく、俺が近づいても気が付いていないようである。その最中に、最後の一つの魔法石を起動。

射程範囲まで十分近づいた時奴の足元へそれを投げる!


 その後、急いで仕掛けの石の方向へ動く。

少し動いた後、後ろから大きなる音と風が俺に押し寄せる。しかし、今度は追い風となってリーダーに見つかる前に仕掛けの前に戻れた。


 すでに体の節々が痛む。

無理もない。何度も爆風に巻き込まれ、地面や石との衝突を繰り返している。

我ながらよくここまで動けたものだと感心するが、なぜか身体はいつも以上に軽い。


 好都合と思いながら、最後の仕上げの準備のため相手を見るとまたもや前面は煙。

至るところに煙があってリーダーからも俺からもお互いに姿が見えない。

そんな状況に腹を据えかねたのか、煙の至る場所から多少の時間差と共に大量の炎が吹き飛んでいる。


 先ほどの爆発地へ魔法を飛ばしているため特に問題はなく、むしろあれだけ弾があるなんて贅沢な奴め、と悪態をつけるほどの余裕はある。

よしよし、この調子で炎の魔法を連発してしまうほど、()()()()()()


 ようやく上部の煙が晴れてきて奴の姿も見えそうになってきた。

そろそろラストだ。

完全に顔が見えるほどに晴れた後、リーダー、石、俺といった直線状になる位置に立ってあえて俺の姿をさらした。

目が合った瞬間今まで通りリーダーと反対側の方向へ逃げる。


「まて、逃げるな!」


 といって、炎の魔法を俺の方へ打ち出すシーンまで目で確認した時、つい笑いがこぼれてしまった。

その瞬間、俺の鼓膜が破れそうなほどの轟音と、地面の土をえぐるがごとくの大爆発。

視界は点滅して、どこか浮遊感を覚えた。


 そう、俺はあの仕掛けで自らもぶっ飛んだ。

身体が放物線を描いている姿を始めて体感したが、いつの間にか着地する。幸い土であったため、事なきを得たが木だったら大けがをしていただろう。

我ながら確実性のない作戦だと思いながらも、声に出なかったが笑いを止めることができなかった。


 途切れそうになる意識で、作戦を振り返る。場面はまだ魔法石を使っていない場面へ戻る。

最後の一発は吹き飛ばしてない二人のうち魔法が使えない方を狙うか、もしくはこの隙に逃げて先ほどと同様に地雷作戦で行くかという検討をしていたが、ふとヒフキソウの束の量を考える。


 ハッキリ言って、先ほどよりも火力は出ないだろう。その理由は単純で枚数が足りない。

あの巨大地雷をどうやって防いだのか疑問だが恐らく距離があったものと推測した。

であれば、少なくともあれ以下の火力で同じようなことをしても意味がないだろう。しかも、二回目以降のため対策が取られやすい点も頂けない。


 もし地雷作戦を行う場合、あいつらを爆発地、つまりヒフキソウの上にある石へ十分近づけたうえで行うしかない。

しかし、相手が二人以上いるとなるとその作戦も難しい。

なぜなら二人同時に俺へ近づくと思うが、二人とも石の近くにいるという状況を作ることが難しいから。

恐らくまた分散して襲う可能性が高く、一人でも残すとそのまま終わり。

だから、賭けにはなるが奴を一人で殺す方向でいった。


 一番面倒なリーダーに関しては、打つ手もあったのでとりあえず魔法を使えない方を今持っている魔法石で片づける作戦を立てた。

では、打つ手とは何か。


 答えを言うと、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


しかしここで一つの疑問が生じるだろう。何度も考えた通りヒフキソウを用いた炎と貴族が使う魔法は同じ種類なのか。

それを確かめない限り、この作戦は成り立たない。

だから、最初は魔法石で起動させようと思っていたのだが土壇場で面白い事実を発見したことで急遽変えた。


 その事実は、曲がりなりにも魔法とヒフキソウが起こす現象を比べることができたこと。

実験結果は、ヒフキソウの炎と奴が起こした魔法の炎は等価であったということ。

つまり、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 では、どこでその事実が確認できたか。

それは、魔法石と魔法の炎で勝負したシーンである。

なぜか相殺することに成功したから、このような作戦を組んだ。


 もしヒフキソウと魔法が違う原理に基づくものであるならば、相殺できるわけがない。例えるならば、概念と物質を同列に語ることができないのと同じことだ。

だから、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 もう一つのポイントは、どうやって奴にちょうどよく炎の魔法を打たせて仕掛けに当てさせるか。

これは奴がアホであるということを計算した。

運も大いに絡んだが、味方が半分殺されてまで進軍するということからこのように計算したし、今までの経験上俺の姿を見るとすぐに魔法の炎を放つようであったことも、作戦に組み立てた。


 とはいえあまりにも運要素が多すぎることから検討しなければならない、と思ったとき開いていた瞼が急に閉じようとしていた。

そうか……ここまでか。むしろ、よくやった方だ。なにせ、自分よりも体格も大きく数も多い集団を戦闘不能にしたのだから。

だから、笑うべきだ。笑おう…とするもその口は開かず、目から涙があふれてきた。


 なんでだ。俺のできることはすべてした。最善とまではいわないが、ベター以上はあるはずだ。

身体がどんどん寒くなってきた。

いやだ。死にたくない。

まだ、生きていたい。


 約束したんだ。

母と、そして父も。

生きるって。みんなの命を背負っていくって。

なのにこれって……あんまりじゃないか。

どうしてここまで優しくないんだ。


 も……う………だ、めだ。

閉じる瞬間に、フード姿の男が確認できた。ああ、死神のお迎えだろうか。

プツリと意識が切れてしまった。

お読みいただきありがとうございました。

投稿時間に関しては、これから十二時越えを検討しています。もしかしたら十三時ぐらいになってしまうかもしれませんが……


さて、finとありますがまだ話は終わりません。

続きます。

次は閑話をはさみます。


恒例となりますが、

面白かった! という方がいらっしゃいましたらぜひともブクマ登録とポイント評価をしてくださると助かります。筆者のモチベにもつながります。


また、もしよろしければこの小説の下にある「小説家になろう 勝手にランキング」のリンクを押していただけると幸いです。押していただければ自動的に投票したことになりますので、気の向いたかたはお願いします。これも見てくださる方が増えた要因の一つですので、ぜひともお願いします。


それでは、また明日。

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