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2話~「科学は常識を覆す学問」~

本日の(1/2話)目です。

もう一つは夜7時ぐらいに上げます。

「俺も魔法が使えるようになりたい」と、暫定父母に聞いてみた。


その姿を見た父と母は嬉々としていた…のだが、どこか凹んだような笑いを浮かべていた。その後、俺は残酷な真実を知らされたのだ。そう、魔法という夢には大きな障害があった。


「世間では、魔法は貴族しか使えないんだ。女神様から魔法を授かった勇者と、その子孫である貴族の人しか魔法が使えないんだ」


「えっ……じゃあ、まさか」


痛ましそうな顔で父がうなずく。


「そう、魔法を使うことはできない」


 父母にそう説得させられた。


 思わず自らの出生を恨んでしまう。親は悪くない、というのは頭でわかっているのだが、転生したからか俺の心はガキになってしまった。そのままいたたまれない雰囲気のままで帰ることになった。二人がいろいろと他のことを挙げて俺の興味を引こう、と努力していたがその考えが分かってしまうが故、その行為が追い打ちとなってしまいより一層延焼が起きてしまう。


 そうして、家に到着した後、横になりながら布団の中で、どうしても無理なのか、について現代知識でどうにかならないか検討してみた。


「もし、本当に子孫しか使えないのであればそれは遺伝子が絡む」


 遺伝子、少なくともこの世界の技術ではどうにもしようがない。そもそも、仮に変えられたとしても俺が生まれてしまった以上、不可能である。遺伝子を変えても、魔法を使えるように体がすぐに適応するはずもない。

そもそも、遺伝であれば魔法が使えるように体が成長するはずだから、そこに横入りするというのは人体的な視点から言って不可能に近い。


 あれこれと考えても今の技術で不可能とすべて判明してしまうと、いつの間にかまくらが濡れてしまっていた。こみ上げてくる慟哭を抑えようと必死に歯を強く食いしばって、自らの肌をつねるまでしたのだが結局幼い体力に負けてあふれる涙と共に夢に紛れ込んでしまった。


 夢。そこには、本当の父と母だ。見ると…俺の墓の前で拝んでいた。その頬には涙があった。

俺は転生した、という事実を改めて指摘されたようであった。しかし俺は親のことを覚えていられていたようだ。現状マイナスに働いているのだが、それに関する不満はなくむしろありがたくさえ思っていた。


 もし、記憶を保持させてくださったのなら俺を転移した存在よ。せめて、もう一度だけ。両親に会わせてください。

それが無理なら伝えてほしいことがあります。今は異世界であなたたちの息子は生きています、と。

我ながら言葉という形に収まっていなかったが、そもそも満杯で漏れていたからこそであろう。


 場面が切り替わる。そこには前世での俺がいた。前世は大学で研究を行っていたのだが、実験がうまくいかないことが多かった。いつもいつもどうしてもうまくいかなくて悔しくて、机に新たな水たまりが作られる。そんな時は、大抵ふて寝して自分を慰めることにしている。人間、不思議なもので一日中考えてわからなかったものが少し寝てからもう一度考えると、すぐに解決方法が思いつく。

現に、夢の中の俺もそのようであった。それを見ていると、あほらしい、と思いつつも自然に口角は緩んでいた。

自然にあふれる思いは心に収まっていた。



 その姿がフェードアウトしきるとすでに外は輝いていた。どうやら、結局ふて寝していたらしい。すぐに思い出すは魔法。昨日見た姿が忘れられなかった。俺も使いたいという気持ちがどんどん湧き上がっていく。それは不可能という俺の心を頭が押さえつけ、今や頭が理性よりも感情を優先させようとしていた。


そう、それは魔法を使うことによる異世界通信ができないだろうか?

人間、便利な言葉があって「人が想像したものは必ず創造できる」というのがある。

それが成り立つなら、必ず俺も作れるはずなのだ……


 ちなみに、こんな装置や能力が異世界にあるとは思っていないし聞くこともできなかった。

本当の父母と会話とかできるかだなんて、暫定父母…これから父母というが、には聞けなかった。冗談で終わればよいものの、下手したら狂人扱いされかねない。


 この世界の技術から、そのような装置がないと思ったからでもある。

電気も満足に普及してない文化で現代を超える装置がないという思い込みであったし、よしんばあったとしても俺のようなただの庶民に貸し出してくれるはずがない。


 だからこそ、俺が作るのだ。そのためにはまずは魔法を使えるようにならないといけない。この世界の魔法のしくみはわからないが、不可能と思わなければできるはずなのだ。少なくとも昨日の祭りの現象は現実世界ではだれでも起こせるものだ。


 自分で言うのもなんだが、こんなのただの夢だ。根拠もなんもない。魔法という遺伝のたまものを庶民でも使えるようにするだなんて所詮子供の夢なのだから、今は無理だとしてもいつか諦めるのが普通の子供であろう。


 しかし、俺は普通の子供ではない。転生した人間だ。転生物のテンプレとして、俺みたいな存在がたとえ何もチートがなくとも何かを作り出すことができるはずである。


現実と創作がごっちゃになっている?そんなこと知ったこっちゃない。そもそも異世界転生した時点でその区切りは捨てた。

チートがない?関係ない。なぜなら、前世の知識と今世の知識…つまり、当たり前を疑うという科学的な姿勢が常にできることは俺にとって最高のチートだ。


 だから、俺はまずは魔法が遺伝であるという常識をぶっ壊す。前世になかったものを取り扱うのだからこの程度できなくては話にならない。科学は常識を壊す学問なのだから。

こうしてようやく前を向きはじめた。

ただの現実逃避なのかもしれない。本当に不可能かもしれない。だが、少なくとも魔法が進むべき道を提示してくれたのは間違いなかった。

お読みいただきありがとうございました。

ストックを切り崩しているのですが、読み直すといろいろと加筆修正したいところが多いです。

一話投稿するだけで一時間ほど使っている気がします。

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