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16話~「Battle with fate ① to return a blow」~

すみません!遅れました。

ブクマ登録、そして評価ありがとうございます!

本日の話です。理論的な話が多くなりますが、結果に関しては「つまり」でまとめられています。

 用意したものは石だ。それも、ただの石ではなくて俺の身長と同程度の大きさの石。

それにある草を巻き付けたものを崖の下に用意した。崖の下は敵の姿がかなり小さいが識別には困らない程度。約二十メートル程度だろうか。


 そしてそれらの下を奴らが通った後、大きな石に巻きついてある根に触れて魔法を発動させる。

発動させた状態で、根の部分に触れながら石を押して地面から浮かす。そして、完全に宙に浮かべてから巻き付かせた植物を手で取り除く。


 このような過程で落とされた石は奴らの隊列へ向かう。きちんと命中したかを確認せずに、流れ作業で近くに置いたすべての石に行う。すると石が地面に衝突する音が聞こえる。


「何だこの石は!」


「~~がやられたぞ!」


「~~へ逃げろ!」


と耳障りな悲鳴が聞こえたが黙々と、しかしどんどん興奮しながら作業する。


 全てが終わった後、隊列を見ると作戦通り。巨大な石の落石によって奴らの戦闘陣形は崩壊していて、敵の指揮は大いに下がったように思える。

残存戦力はざっと半分程度。思ったよりも被害は少ないが、ただやみくもに魔法石を投げるよりかは高い戦力になった。


 観察もほどほどに敵に見つからないよう撤退しようと思ったが、案の定というか見つかってしまった。なのであえて奴らが通りそうな大きな道を通って撤退する。

見つからないのが理想であったが、今後の作戦はどちらかというと見つかった場合のために組んであるため、問題はない。


 撤退しながら、興奮と共に先ほどの作戦を振り返る。

今行ったのは、実はヒフキソウを使ったものではない。

あれはゴムクサを用いた投石である。


 以前サッカーボールのようなものをゴムクサで作った時、その石を蹴ると草を巻く前の石よりもずっと軽い衝撃が返ってきたこと、そして目で確認できるほどに大きく動いたことに疑問に感じたのだ。


 もしかしたら重力、正確には質量が小さくなっているのではないか。

つまり石そのものが軽くなっているのではないか、とこの時考えたのである。

何故そう考えたかというと、前世で学んだ運動の法則を適用した。

その内容に関しては、加えられる力が同じである場合より大きく動くのは質量が軽い方である、というものである。


 サッカーボールと石。同じくらいの力で蹴るとより大きく動くのはサッカーボールである。

その現象は当たり前であるが理由に関しては物理が絡む。

足で石なりボールなりを蹴るときそこに衝撃が発生する。

それを力積と言うがその力積によってボールが動くことや、足に衝撃が起きて痛むのだ。

ちなみに石を蹴った方が痛い理由はボールの弾力によって衝撃が吸収されるからだがそれはともかく。


 力積によるサッカーボールの速度は、質量に反比例する。つまり、質量が軽いほど速度が大きくなる。そう考えると、ゴムクサの効果は質量を小さくする効果があったのではないか、と最初は考えた。


 ただ、この仮説には大きな矛盾が存在する。それは、地球の物理において質量保存の法則に反することだ。その法則をざっくり説明すると、今回の場合では草を巻こうが何をしようが石の質量が変わることがなく、その石と巻いた草の質量の和になるはずである。

これに反する現象もないとは言わないが、今回は関係のないものである。


 しかし、現実的にはまるで質量が無くなったかのように動くのである。もちろん異世界において地球のすべての法則が当てはまるはずがないが、そうなると運動の法則による仮定さえもおかしくなる。

なんせ、質量保存の法則とはそれほどまでに根本的なものである。


 他の仮説もあるといえばある。例えば、ボール……正確には草に衝撃が加わることで、草がその衝撃を強めるという可能性もある。

その原理についてよくわからないが、生物の体内は少しの衝撃が大きく影響するように働くということもあるためあながちありえなくもない。

確かにこれは運動の法則も質量保存の法則も満たすため満足のいく仮定である。



 が、この矛盾については一旦考察を諦めた。どういう仮定を立てるにしろ、顕微鏡といった目に見えないものによって、どのような現象が起きているのか調べる必要がある。

何度も痛感していることであるが残念ながらそんな機材は存在しない。


 最近は魔法で兼用できないか…と思っているのだが、それだと卵が先か鶏が先かという話になってしまう。

何が言いたいかというと、俺のような庶民が魔法を使えるようになるために、魔法を使ってくれる人を探すという、とんだ矛盾している行いが必要となる。


 理論的な話は一旦さておこう。

今回はこのように実用方法として、落石するのに使用した。

具体的には持ち上げるときだけゴムクサを巻いて、落とすときにゴムクサを切って石だけにするというものだ。


 原理の説明の前にまずはゴムクサについて触れる。

サッカーボールにするには、ゴムクサを巻いてしばらく地上に置く必要がある。

それは根から魔力を長時間かけて吸収するからという推測であるが、これに関して覆らないか検証してみた。


 結果だけ言えば、俺の手が根に触れても、短い間であればゴムクサの効果は起こる。

その事実を活用して例の物を作った。

ポイントは地面にあまり触れさせないこと。

なぜなら、勝手に魔力を吸収してしまい風が吹いたとき転がってしまうこともあるからだ。


 持ちこんだ後に例のものを所定の位置に置いたら、地面に触れないよう何かの上に置く。その時に少し地面から浮くことで、石のままになるため固定される。まあ、そんな短時間でボールになるわけではないが念のためである。

そして敵が来たら、俺が直に触ることでボール状にして奴らに落とすという算段である。


 ここにもポイントがある。石に巻いた根をちぎることを忘れてはいけない。

なぜなら地面に落ちる際に、石がボールの状態でままであるとこの作戦は効果が激減するから。


かといって、ゴムクサの能力なく石を動かすのは困難である。

自分よりも体積が大きい石かつ時間に余裕もないため、ボール状態のままで崖の上に用意しそこでいったん石に戻した後、もう一度魔法でボールにして奴らに落とすという次第である。


 では、落とす際にどのように石の状態に戻すか。

ここが最大のポイントで、まず大きな石でもゴムクサをやみくもにぐるぐる巻きにするのでなく、一回だけ草を一周する。

それから俺が触る一つの面だけにゴムクサを巻く。


 ここまで出来たら、後はその石を持っていき俺が触れている側と反対側の茎の部分を切る。縛られていた石は重力によって下に落ちる。

そうすることで、結果として非力な俺でも落石という現象を起こせるのだ。


 つまり今までの流れをおさらいすると、ゴムクサによってその石が軽くなる事象を利用して敵の頭上に用意した後、ゴムクサをちぎることによって落石を起こした。


 頭の中で理論を立てただけでぶっつけ本番ではあったものの、結果はご覧のとおりである。

おかげさまで奴らに一矢どころか大きな損害を与えることができた。

これで多少は報われるだろうか。

お読みいただきありがとうございました。


恒例となりますが、この小説を読んで心に何か残ったり興味を持ってくださったらぜひともブクマ登録、評価をしていただければ幸いです。

また、もし気が向いて下さった方は下の「小説家になろう 勝手にランキング」のリンクを押していただけると幸いです。押して頂くだけで構いません。


それではまた明日。

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[気になる点] 誤字: 敵の式は大いに下がったように思える。
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