ジュラシック吸血聖女、いざ東へ
「よう、今日にはもう出発だってぇのに、一晩中ど~こほっつき歩いてやがったんだよお前。」
「んあ。どうも、おはようございます。ちょっと思うところありましてね、顔見知りの化け物達とどうにか接触を図れないものかと思ったのですが、余程に嫌われてしまったようでこのザマですよ。」
小勢とはいえ他国の戦地への派兵とあって、みなが慌ただしく準備に奔走するその只中へ、くぁ~と一つ欠伸をしながら朝帰りを決め込みましたるはこの私。それを王城は正門前で出迎えてくれたのはゼリグの奴で、朝も早うから刃物を磨く彼女は放たれた『化け物』のその言の葉に、露骨に顔をしかめてみせた。
夜の森へと美味そうな子供が一人、迂闊に姿を見せればマガグモ達を誘い出せるかと思っての事ではあったのだが、結果はものの見事に空振りである。実は今日に限らず寒さが緩み始めてからというものこっち、ちょこちょこと足を運んではいたのだが、残念ながらこれで記念すべき十敗目。ままなりませんなー。
「今から王都を留守にしようってのに、穏やかじゃねえこと言いやがるな、おい。別に、今更お前が妙な手引きをするだなんて思ってねぇけどよ、何の考えあっての事かくらいは聞かせて貰えるんだろうな?」
「いえね、何時までもこの国の領内に化け物達を蔓延らせたままとあったのでは、今後の発展を見越すにあたり何かと不都合が生じます。なのでここいらで一つ対話を以って、彼女らとの在り方というものに着地点を見い出しておきたかったのですよ。ま、結果はその窓口にすら、辿り着けなかったというわけなんですがね。」
「まどろっこしいな。お前なら力尽くで連中を叩き出す事だって出来るだろうに。」
「己が絶対の正義であると妄信して、その名の下に他者を排するような真似は気が引けます。というかそもそもにして、このように私を避けて行動されてしまっているのではいずれの選択も取れませんよ。」
「さいで。相変わらず自分の立ち位置に優柔不断な奴だな、お前は。」
咎める彼女へ性分ですのでとさらりと返し、返答代わりにぽーんと放られた干し肉の切れっ端へと右手を伸ばす。しかしてそれは空を切り、私の朝ごはんはコツンと硬い音を立てて地べたに落ちて、笑って誤魔化しながら己を拾い上げる旨を強いるのであった。素直に両手で受け止めておけばよかった、格好悪い。
「コホン。ま、まぁそれはさておきですね、わたくしそこで鎮座ましましておりますでっかいアレが、先程からどうにも気になって堪らないのですが。」
「んだよ、もう忘れちまったのか? お前の相棒だよ、相棒。どうせお前に引っ張らせる以外じゃあ碌に動かす事も出来ないってんで、お姫さんが頼み込んでドーマウス伯から譲り受けてきてくれたのさ。後でちゃんとお礼言っとけよ。」
「いや、あんな鉄面皮の鋼鉄の箱を相棒にしたような覚えはないんですけども!? っていうか前よりもなにやらゴテゴテと装飾がくっ付いて、更に重量感が増してませんかアレ!?」
先の照れ隠しを兼ねてちょいと指差すその先に、運び出されて積み上げられる糧食の山に混じり、異様な存在感を示しますは見上げんばかりの鉄の箱。左様、あれぞいつぞやの北方遠征でも活躍を見せてくれた、我が相棒たる巨大荷馬車君のその雄姿である。相棒じゃねえ。
見れば元々金属部品が多かったというに、今の荷馬車君ときたら装甲板の如く鉄の板が方々に貼り付けられて、その天辺には二基のバリスタ、いわゆる大きな矢を射出する為の弩砲が設置されているという酷い有様。こんな君に誰がした。いや、もう答えは聞いているようなものだけれども。
既に車輪が地にめり込んでいるその惨状を前に、思わず放ってしまったツッコミの声は大きく響き、出立を目前に控えて集まっていた騎士や従兵の皆さんがこちらを向く。そしてそれを合図にしたかの如く、ガコンと開いた荷馬車の後部から現れましたるは、この大改造の主犯と思しき王女殿下のその姿。
周囲の者達がすかさず平伏していくその中心で、キティーとメルカーバ嬢の二人を従えて静々と降りてくる彼女のそれは、本当ならばなんとも厳かなものなのだろう。だが今のこの絵面はなんというか、言うなれば兵員輸送車の後部ハッチから出現した怪しい集団のそれである。で、何か申し開きはありますか、ドロシア様。
「いやー、ははは! 良い出来だ! これぞ私の乗騎に相応しいというものだな! キルエリッヒ! メル! 貴様らもそう思うだろう!?」
「はい。王女殿下の旅路が安らかなものとなりますよう、内装も一通り整えさせて頂きました。それに我々が向かう先を考えれば最悪の場合、戦場において壊滅必至の無茶な配置を押し付けられる事も有り得るでしょう。ですがこの堅牢な移動砦ならば、その渦中においても必ずや御身を守ってくれるはずです。」
「いや、しかしですねキリー。何度も言うように、これを戦地まで引っ張っていく事が出来るのはノマさんくらいなものですよ。そしてその彼女は以前と違い、今や我が国の聖女として立場ある身となってしまっているのです。だというのに再び牛馬の如き扱いをするなどと、それを目にした者達にどのような思いを抱かせる事か……。」
「ふむ、メルの言う事ももっともだな。で、どうするのだキルエリッヒ? 貴様の事だ、まさかなんの考えも無く、この鋼の箱を拵えるを進言したというわけでもあるまいに。」
「ふふふ。お任せ下さい、殿下。ちゃんとこの私に腹案がございます。そういう訳で、ちょうど良い所に帰ってきたそこのノマちゃーん! 話しておきたい事があるのだけれど、ちょっとこっちへいらっしゃいな!」
女三人寄れば姦しい。この有様はいったいどういう事ですかと、一言文句をつけてやりたくはあったものの、会話の切れ目が見つからずにいまいち割って入る瞬間がつかめない。そうこうするうちに先手を取ったのはあちらの側で、ジト目になって細まった視界の中、ゆるゆると手招きをしてみせるのはすっかり知恵袋が板についたキティーの姿。うぉい、あんたの入れ知恵ですかコレ。
何やら香る悪巧みの気配にちょっとばかりの躊躇をしつつ、呼ばれてるんだからさっさと行きなと言わんばかり、お尻を叩くゼリグの奴に促されてノッシノッシと歩み出る。それをささりと取り囲んだのは件の女性三人組で、一応は周囲に声が漏れないよう気を遣ってか、ひそひそと小声で切り出されたのは例の荷馬車の運用に関する一意見。
「……と、いう訳でね。さっき私達が話してたのも聞こえてたでしょうけども、もうノマちゃんをあまり大っぴらに、雑に扱おうってわけにはいかなくなっちゃったのよねぇ。」
「大っぴらじゃなかったら雑に扱うんですね、わかります。」
「ま、そこのところは否定しないわ。それでその対策なんだけれど、貴方って身体を切り離したり分裂させたりして、自分の眷属を造り出す事が出来るじゃない。その力で立派な馬を何頭か用意して貰って、この移動砦を引いてもらう事は出来ないかしら?」
「出来れば否定をして欲しかったですねー。しかもその提案、間接的にとはいえ結局私がこの変わり果てた荷馬車君を引くんじゃあないですか。まぁ可能と言えば可能ですけども、私の聖女としての体裁を気に掛けてくれるのであれば、あまりこの異能を人目に触れさせてしまうのは宜しくないのではありませんか?」
そう言って返すや否や、ざわりと蠢く銀糸の髪に思念を送り、口から牙を覗かせた馬の頭を数頭分ほども形作って晒してみせる。さながら樹木に寄生する芋虫の如く、にょっきりにょきりと出たり引っ込んだりする生首の群れは思いのほか気色悪かったようで、ひくりと頬を動かしたドロシア様はたたらを踏んで、私と距離を置こうと一歩を下がった。自分でやっといてなんだが地味に傷つく。
「勿論その点も考えてあるわ。だからその気持ち悪いのを、さっさと引っ込めておしまいなさいな。」
「これは失敬。それで私が堂々と人前で力を晒すにあたり、いったいどのような方便を用意されてきたので?」
「黒の神のその御名をね、少しだけお借りさせて頂く事にしたわ。彼の神は死と再生、そして未だ形定まらぬ混沌を司りし一つ柱でいらっしゃる。故事によればかつて建国の英雄を支えた魔女、ファ家のイレクシア嬢はその強い加護を受けて様々なあやかしの技を用いたというし、やたらと伸びたり縮んだり増えたりする貴方にはぴったりだと思ってね。」
「いやいやいや。今までだって散々に、緑の神の名をこの怪力の言い訳に使わせて貰ってきたんですよ? 青の神と、それから邪し……もとい白の神ならば多少の面識もありますけれど、あまり顔も知らぬ御方の名を勝手に用いるのも如何なものかと。」
「さらっととんでもないこと言ってくれたわねノマちゃん。まぁそれはそれとしても、そこについてはもうお許しを頂いてあるから大丈夫よ。祭壇に縛り付けておいた子ヤギの首がね、根元からブチっと引き抜かれて無くなっていたの。黒の神はちゃんと、私達の供物を受け入れてくださったわ。」
「怖っ!? 大丈夫なんでしょうねそれ!? 私の頭もいきなりもげたりしないでしょうね!?」
実際にそうなったところで貴方ピンピンしてるじゃないと、至極もっともで冷酷な指摘を頂きつつも、そういう問題じゃねーんですよと両手を振り回して一応の不満を示してみせる。それに対する反応はと言ってみれば、唯一メルカーバ嬢がポンと肩に手を置いて同情の意を示してくれたくらいなもので、残り二人はこれで私を存分にこき使う事が出来ると言わんばかりのしたり顔。おのれ薄情者め。
とはいえ確かに夜を統べ、人心を惑わし眷属を自在に操ってみせてこその吸血鬼である。ここ最近はただのやたら頑丈な怪力幼女という体に収まっていたのも確かな事で、これでおおっぴらに力を振るう言い訳が出来るとなれば悪くも無い。いや、それでも今一つ納得は出来かねるというか、やはり大分無理がある気はするけども。いざとなれば信仰に目覚めた化け物ですとでも名乗って見るか。うーむ。
「よーし、これで事は決まったな。ではノマ、早速この鋼の箱を引かせる為の馬を……いや、竜だな! どうせならば竜を出せ! 貴様一人を篭絡すれば我が国など恐るるに足らずと軽んじてくれた、あのクラキリンなる不躾な女を驚かせて目にものを見せてくれるのだっ!」
「いや、そんな急に無茶振りをされても困るのですが。というかドロシア様、聞いておれば先程から、同行をされるおつもり満々じゃあないですか。間違いなく危険な旅路となるでしょうから、ここは王城で大人しく果報を待って頂くのが宜しいかと。」
「貴様の心遣いはありがたいがそうもいかん。数こそ小勢なれど我が国は同じ人族国家の窮地に際し、支援に本腰を入れているのだという姿勢を内外に示す必要があるのだ。次期国王である兄上が自ら兵を率いるというわけにもいかん以上、妹君である私が王族として先頭に立ってみせねば、恰好というものがつかんだろうが。」
「まあ、仰ることはごもっともではあらせられますが……。うーん、しかし竜ですか。生憎と私は実物にお目にかかった事は無いのですが、この地にはあの巨大な火吹きトカゲが実在していらっしゃるので? いやそもそも、私の知る竜というものとドロシア様の仰るそれが同一の姿形であるのかが、まずもって怪しいところではあるのですけども。」
「少なくともひんがしの地には居るらしいな。先日に新しく手に入れた活劇本にはな、ショーグンに仕える若きヤクザが、ミヤコから悪しき竜によって攫われてしまったミカドを助け出すまでの一部始終が綴られておったぞ。」
「少なくともその筆者は、極東に行った事は無さそうだなあってのは何となく伝わりました。はい。」
いや、でもここに現物があるし。ほれ、面白いから貴様も読んでみいと、ぐいぐい押してくるドロシア様を横目に見つつ、一応は要望に応えてみせようと私なりの竜の姿を頭に描く。しかし上手いこと行ってくれるだろうか。どうも私の眷属変化、実在しない空想上の生物は形作れない傾向にあるような気がするのだ。ただし魚介類は空を飛ぶものとする。
でっかいトカゲ、大きな顎、太い脚。両手の人差し指でこめかみをクルクルとなぞりながらむーむー唸り、次いで左手の指を一本もぎ取ってぽーんと放る。それは一連のやり取りを怪訝な顔で見守っていたゼリグの眼前でぐにゃりと歪み、私の指を中核とした銀色の肉は見る間に巨大な竜の姿を成して、地を踏みしめながらアンギャオオオオンッ!!! と一声大きく吠えてみせたのだ。
それは体高にしておおよそ十三メートル。深く裂けた巨大な口にはまるで短剣のように巨大な歯がぞろりと並び、発達した後ろ脚はしっかりとその二足で以って、大きな図体を支えている。その威容はまさしく恐ろしき竜と呼ぶのに相応しき代物で、皆がポカンと見上げる中でただ一人歓声を上げるドロシア様の甲高い声が、竜の咆哮に続く形で辺りに響いた。
いや、ティラノサウルスじゃねーかコレ。
何もかもが巨大なその図体の中にあって、妙に目を引くのは身体に比して異様に小さなか弱い前脚。指も二本で筋肉の付着部分も少ないと見えるそれは、一見して如何にも貧弱で頼りない代物と思えてしまう。
しかしその実、それは彼が大口の咬筋力と太い後ろ脚による瞬発力をこそ、何よりの武器としている事の証左に他ならないのだ。侮るなかれ、二億年の長きに渡り連綿と積み重ねられた、彼らの進化の終着点の一つは伊達では無い。
いや、やっぱりティラノサウルスじゃねーかコレ。
「ふはははは! 思っていたのとはちょっと違うが素晴らしいぞノマ! よぅし! 早速こやつに私の乗騎を任せようでは無いか! 竜よ! 貴様に建国の英雄が一人の名を与えよう! 以後、貴様は守護竜ゴリアテを名乗るが良いっ!!!」
「ガオオオオオオオオォォォォォンッ!!!」
「いや、その名前だと投石一発で倒されそうなんですが……ってそうじゃねえっ! ちょっとメルさん! そこの興奮しきっている王女様を落ち着かせてあげてくださいな! さっきからツッコミが追い付きませんってば!!!」
「……ノマさん。もしもあの竜を駆ったならば、私も竜騎士として歴史に名を遺す事が出来るでしょうか。」
ブルータス、お前もか。っていうかおいゼリグ、メルカーバ嬢の後ろに並んで順番待ちしてるんじゃあねーですよ。やめろ、少年みたいに目を輝かせんな。キティーも手際よく首輪代わりの太い縄を、竜の首目掛けて投げつけてる場合じゃあ無いんですよってば。ああもう、何が何やら。
「ところでノマよ、竜といえば火を吹くものと相場は決まっておる。勿論こやつもその一員らしく、炎の吐息を放てるのであろうな?」
「え。いや、大きいとはいえただの恐竜にドラゴンブレスは少々荷が重いかと……。ちょ、ちょっと待っていてくださいね。」
おそらくは私も混乱していたのだろう。求められるままに左手の指をもう一本ブチリと千切り、ぽんと放ってティラノ改めゴリアテ君のお口の中へと投げ入れる。そして一瞬の間を置いたのち、それは銀色のダイオウイカと化して触手を伸ばし、竜の喉奥へと入りこんでズルリとその身を収めてみせた。頑張れゴリアテ。ぷるぷるするな、吐くんじゃないぞ。
さてとりあえず準備は整った。右手の人差し指を一本立てて、さぁやってみせいと天を指さす私の所作に合わせ、天を仰いで一鳴きするは我らが守護竜。そいつは続けて大きく息を吸い込むとぶくりとその喉元を膨らませ、開いた口腔から暗黒のブレスをゴバァッ! っと激しく噴き出してみせる。おお。中々どうして、思い付きとはいえ様になっているじゃあないの。
「ほほう、黒の神のご加護の賜物を謳うだけはあって、なんとも洒落た真似をしてくれるではないか。ところでノマよ、今の黒い吐息、まさか毒の塊ではあるまいな?」
「いえご心配なく。もしもまかり間違って口に入ってしまったとしても、とても安心安全な代物ですよ。たぶん麺料理にもよく合うと思います。ははは、もうどうにでもなれば宜しい。」
「あの黒いドロドロを口に入れようとは思えんな。が、まあ良いだろう。殺傷力を持たないというのならば、それはそれで使い道もあろうというものよ。くくく、よくやった。まずは褒めてつかわすぞ。」
そう言ってカラカラと笑う王女殿下の賞賛に対し、ふあい、となんとも気の抜けた返事を返してみせる。いや、正直言ってなんだかもう気が気では無い。なにせ突如として姿を現した巨大な竜の威容を前に、周囲はすっかりと蜂の巣をつついたような騒ぎに陥ってしまっているのだ。早いところ説明責任を果たしてみせねば、後で何を言われるだかわかったものでは無い。主に王太子様とかその辺りから。
しかしその一方でまた、登り続けるお日様は今もなお私に対する攻勢を強め続け、この身を端っこの方からこんがりと焦がし始めていらっしゃるのである。あかん。早いところ部屋に戻り、日除け帽を引っ掴んでこないとぶっ倒れそう。とはいえここでこの場を離れようものなら、やらかすだけやらかした私が逃げた風に見られてしまうのは確定的。ど、どないしよう。
見れば先の咆哮の正体を確かめるべく駆け付けたのか、既に城門の近くでは王太子様や伯爵様がアレはなんだと指を差して困惑なさっているあたり、いずれにせよもう遅いやもしれぬ。全てが私の責という訳ではもちろん無いが、王城の目と鼻の先に鋼鉄の武装荷馬車と白亜紀からやってきた謎のドラゴンがどでんと居座っているこの状況を、まともに説明できるような自信なんぞは勿論無い。
やはり立つ鳥跡を濁さずなどと、今の私達には理想の果ても良いところであった。私はこんなにも心を砕いているというに、ゼリグもキティーもドロシア様も、あと比較的まともだと思っていたメルさんも好き勝手に動き回っては、首に縄をかけられるのを嫌がったゴリアテ君の暗黒ブレスにぶっ飛ばされているという有様なのだ。
いや、ホント何やってるんですか貴方達。もう収拾がつかんぞこれ。はたして王国の明日はどっちだ。
結局、一連の騒ぎが収まるまでには半日以上の時間を要し、当初の予定から大分と押して、私達が王都を出発したのは既に昼も回った良い時間となってしまった。おかげで最初の宿泊地まではずいぶんな強行軍である。兵士さん達の視線がツライ。
ちなみにこの早朝の事件の後程なくして、私達のお見送りをしようと訪れた黒猫ちゃん達の口さがない情報網により、黒の神より遣わされし巨竜現るの噂が王都中にばら撒かれた事を、ここに記させて頂きたい。
王国の聖女が黒の神から強い加護を頂いているという先の方便、この分では思ったよりも早く定着してくれそうである。ううむ。とりあえずクーちゃん様に、ちょいと同僚に話をつけておいて貰えないかと、今度お祈りでもさせて頂く事と致しましょうか。
どうにかぎりぎり間に合いました。ちょっとふざけ過ぎてしまった感もありますが、思いついてしまった以上はどうしても書いてみたかったのです。なるべく頑張ってシリアスさんへ対抗をしていきたい所存。




