クララ・フーベルト
クララ・フーベルトは小さいころからよく、部屋の前にあるこの扉は異世界につないであるのではないだろうか? と考えていた。そこではクリスマスが1年中続いているかもしれないし、死者の国があるかもしれない。もしかしたら幸せな思い出があふれ、またもしかしたら未来につながっているかもしれないしとも、よくクララは考えたのだった。そして扉を開けて、扉の続きには普通の階段につながっているのだ、とわかると少しクララはがっかりした。クララは「もう少し夢のある世界であればいいのに」と感が手は眠って夢という王国へ行った。ある日のこと、クララの両親はクララに弟ができると告げた。クララには新しい家族が増えるのだ! ということを知ったのだ。それでクララが気になったのは弟の名前は何になるだろうか? ということだった。ある日、クララは母親に弟の名前は何にするのかを訊いた。そしたら、生まれてからのお楽しみだ、とクララの母は言った。だからクララは弟の名前が気になっては仕方なかった。ある日、クララは学校の帰りに近くの教会によった。神さまというのに感謝したのはこれが初めてだったからだった。クララは神さまに祈っている最中、神父から「クララお嬢さん。弟の名前が気になっているようですね」と質問した。クララはなぜそういうことを知っているのか疑問に思ったものの「はい、そうです」と答えた。「私はあなたに弟の名前を教えてあげます。ただしそれはあなたがこれから行く王国を見てからのことです。いいですか? ここに幸せの王国への扉があります。最後まで行きましょう」と、言われるまま、クララは「幸せの王国」の扉を開いた。
幸せの王国の扉を開いたとき、神父はそばにいなかった。そこには人々が生きて死ぬだけのように、クララは見えた。ただし、例外なくすべての人々が幸せそうに見えた。服を着飾り、心の見えないところが、クララには幸せに見えてならなかった。何がそうさせているのか、クララにはよくわからない。町の通りを歩いた時、クララは未来の王国の扉が見えて、開けた。幸せの王国の国王はクララ自身だった。
未来についたとき、クララはクララの弟と、そして自分自身の墓を見ることになった。墓の前にクララ・フーベルトとあり、その下に2052年6月15日~2071年10月3日とあった、その2052年6月15日は間違いなくクララの生まれた日だった。不思議なことに、そばに弟の墓があることは、なぜかよくわからないけれどクララにはわった。クララは未来を見て、だれもいなように見えたから町を歩いた。町には人はいなかったから、クララは未来の王国の国王はクララ自身だとすぐに気が付いた。まずは、ギターを楽器店まで行って触ってみたがさびていて弾けたものではなかった。クララは、この王国からどうやったら出られるだろうか? と考えると、クララの弟の生没年月日を見ていないことに気がづいたが、そんなことはどうでもよかった。クララには確かに弟がいたのだ。それを知っただけで大きな物を得たとクララは考えた。かつてのクララが住んでいた家にいくともう取り壊されていたがわかり残念に思った。少しして弟の名前を確認するために墓に戻ると弟の名前の箇所が見えなく。生没年月日も見えなかった。そしてその日はクリスマスの王国へとつながっていた。クララはクリスマスの王国という扉を開いた。
その日はクリスマスの日だった。クララは扉を開けた。町は寒く、多少の雪が降っていた。これまでのどの王国よりも冷たく、ちょっと窓をのぞいてみると子供たちがクリスマスツリーの前ではしゃいでいた。教会へ行き、教会に行くにつれてオルガンの音がよく聞こえるようになってきた。この国でもやはり国王はクララ自身なのだろうか? イエス・キリストではなく。何しろ、クリスマスはキリストが生まれたことを祝う日なのだから・クララは教会のドアを開けた。ミサの最中だったようで、聖なる歌を出席者は歌っていた。クララは一番奥の席に座ると、近くの人が歌っている歌――きよしこの夜――を一緒に歌った。後も少しで午前零時になりそうだった。というのも、クララがクリスマスの訪れたときに午後10時ごろだったからだ。きよしこの夜の歌を歌い終わると神父とみられる男性が「アーメン」と言って、それに引きずられる形で「アーメン」と皆が言った。そのうち神父がひとりまたひとりと退場していった。最後にはクララだけとなり、ろうそくが一斉に消えた。クララは真っ暗闇の中でクララの弟の声を聴いた。そして死者の扉が目の前に現れた。クララは扉を開けた。
死者の国の扉を開けたとき、死者はそこにいなかった。そして1人の若い男が現れた。「僕の名前はルードルフ。もう死んでいる」これでクララはわかったのだ。ルードルフは、生まれることなく死んだということを。




