表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/9

第5話『また、爆発オチ』

「しねぇえええっ、ノエル!」


 絶叫と共に一人の人間が小銃を構えたまま、部屋から飛び出してきた! 即座にノエルへと照準を合わせてトリガーを引く敵に対し、ノエルは落ち着いた様子でレイピアに手をかけていただけだった。


「その言葉、そのままお返し致します」


 銃撃音と同士に金属同士のぶつかり合う音が響き渡る。咄嗟に僕は頭を抱えて身構えてしまう。この時はさすがに死ぬかと思った。

 小銃から連射される弾丸全てを正確に弾き飛ばし、僕に流れ弾が当たらないよう壁などへといなしていくノエル。


「銃弾の無駄使いはやめなよ」


 銃弾を弾きながらノエルは前進、レイピアの一閃を銃口に突きつけ、小銃を破砕した! 唖然とする敵の眉間へとレイピアを突き立てて警告をする。


「どうも、帝国巡回軍二番剣騎、ノエル=クラルス=ノヴァです」

「ご存知だよ、嫌になるほどなぁ」

「アーテルは?」

「さぁな、知るかよ」


 男の答えに対し、眉間に構えてたレイピアを首元スレスレにセットした。


「……刑死は間逃れないでしょう」

「はっ! んなもん分かってるぜ」


 呆れたと言わんばかりの溜め息を吐き、ノエルはレイピアを腰に納刀した。てっきり首を切断するものかと身構えていたのだが、意外にもノエルが諦めたらしい。


「いいや、逃げなさい」

「へ?」「は?」


 敵と僕の声が重なる。この場で誰も予想だにしなかった状況に。王城の警備隊であるノエルがみすみす犯人を逃すことなど許されることではない。


「冗談か、おい?」

「冗談じゃ満足しない? 今この場であなたの命の根を引きちぎることもできますが? どうします?」


 その後、結局犯人はそのまま逃げ去っていき、見逃したことになってしまった。依然無表情のノエルと、謎のみしか残らない僕の二人だけが廊下で立ち尽くしたまま。


「ノエル、あの男は逃がしていいの?」

「別に」




 ノエル宅、玄関の扉を開けたその先に謎の光景が広がっていた。空中に半透明の画面が浮き上がって部屋を埋めつくしてる。その光景はまるでプロジェクションマッピングのようで、どこかサイバー感が漂う。留守番で暇をしていたペトラの仕業だろうか。スクリーンたちはペトラを取り囲むように浮いていた。


「あっ、その……」


 戸惑いを見せるペトラに対し、ノエルは平然とスクリーンを無視して通る。スクリーン自体は光の集まりでできた映像らしく、身体が透過する仕組み。


「ペトラ、これは?」

「……データの整理です」

「セーブデータ的な? ひょっとしてペトラ、君はゲームのセーブポイントかい?」

「何の話ですか?」


 小説ジェネレーターによるVRMMOで構成されたこの異世界、ゲームデータのセーブなどはキャラクターや睡眠ではなく、オートなのだろうか? そして大事な事を忘れていたが、これはゲームと言うより小説執筆をサポートする道具であり、僕は今、ゲームをしている訳では無いこと。


 ペトラのデータ整理が終わり、スクリーンが全て消えてなくなる。その頃、ノエルはソファーに座ってのんびりと紅茶をすすっていた。


「ペトラ、一つ聞いても良いですか?」

「あ、はい、何ですか?」

「一体何を企んでる?」

「はい?」


 無表情のはずのノエルの眼光がやや鋭くなった気がした。突然の質問に、ペトラは首を傾げる。


「何ってーー」


「ノエルゥウウウウウッ!」


 ペトラの声を押し退け、雄叫びが外から聞こえ、次の瞬間、玄関口が爆破された。


「うぉあ?! また爆発オチ?!」

「懲りませんね……」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ