第4話 東条英機
読者の方からコメントで
自衛隊の階級が可笑しいと指摘を受けました。
例えば、一等海将など階級です。
これは、自衛隊が大きく代わっていく中で幹部が増えた為、新たな階級が必要になったため作られた階級という設定です。
私の説明が足りずすいませんでした。
次回更新までにプロローグの二話に補足説明を入れて置きます。
横須賀に入港した巡洋艦阿武隈、第六駆逐隊に燃料を補給している間に永野と山本は、海軍大臣の嶋田繁太郎の首相の東条英機と会っていた。
「東条首相よく来てくれました横須賀に。嶋田大臣もわざわざすいません。」
「それで、例の艦隊はなんだったんだ。それにあなたは、97式艦上攻撃機で紀伊沖へ向かったと私は聞いていたのですが。」
「東条首相これから話す事は、真実です。嘘なんかじゃあありません。どうにか信じて聞いてください東条首相、嶋田海軍大臣も。
これはかなりの秘密なので彼等を出してもらえますか。」
「君達一回出ていきなさい。こちらから呼ぶまで扉の外にいればいい。
それで、どんな秘密があるというのです。」
首相に言われた警護の二人の兵士は、しぶしぶ扉の外に出て行った。
「では、私から話します。
まず、今回我々連合艦隊が出撃するに至ったのは、謎の大艦隊をレーダーが捉えたからです。我々の計画では、その海域に存在するはずの無い大艦隊だったからです。
その艦隊の正体は、未来の、約100年後の日本の海軍に相当する組織でした。何故、私がこのような表現をするのかと言うと、彼らは我々大日本帝国海軍の二つ後の組織だからです。
彼らによると我々は、今始めようとしている戦争に負け、その後に出来た海上警備隊、そのさらに後に出来た海上自衛隊という組織だからです。」
「ちょっと待ちたまえ山本。いくら連合艦隊司令長官といっても言って良い事と悪い事があるだろ。この戦争に日本が負ける訳が無いだろ。しかも首相の前でなんて事を言う。」
「本当にその様にお考えですか、嶋田海軍大臣。
貴方は、アメリカとの戦力差を考えれば勝てる訳ないと理解できるはずですが。」
「一回落ち着きなさい。嶋田海軍大臣も今はその事は置いておいて。とりあえず、今大事な事は彼等との関係です。
確かに信じられないのは無理もありません。私も本当に見るまでは信じられませんでした。一度彼等を見てから判断してください。
東条首相もいいですね。」
永野は、有無を言わせなかった。
補給をしている巡洋艦阿武隈と第六駆逐隊の横をさらに進むと、東条と嶋田は見馴れない船が停泊している事に気付いた。
「山本さん、あそこにいる変わった船が未来から来たというやつですか。」
「そうです。そこに停泊している2隻が彼等の船です。手前があたご、奥がみたけという船だそうです。
主砲が一門しかなくとても弱そうに見えますよね。それは違うのだそうです。あの主砲は主力兵装では無く、通常はミサイルで戦うそうです。」
「ミサイルというと…………。」
「今の日本にはありませんが、ドイツで開発されているという奴で、私達が言う墳進弾です。」
「さらに、敵の位置さえわかれば、250㎞先の目標に当てることが出来るそうです。」
「250㎞だと。その様な長距離を命中させるだとありえん。」
「彼等の艦隊には、彼等の陸軍も乗っているそうです。首相も私と船の話をするよりそちらと話してみてはどうですか。」
「陸軍もいるんですか、彼らは何の為にそんな部隊を。」
「首相、あなたも彼等の船に行って見るべきです。」
再び永野軍令部長に促された東条首相は、海上自衛隊の護衛艦みたけに乗艦した。
護衛艦みたけと護衛艦あたごは、横須賀から出港し、艦隊を目指し進んだ。
艦隊に合流すると、護衛艦みたけから東条ら乗せたをSH-34ヘリコプター、通称大鷲が原子力戦艦やまとに向け飛び立った。
永野軍令部長に言われこのヘリコプターに乗った東条首相は、落ち着かなかった。なんせこの時代に日本にあるものでは無く、初めて乗ったのだから仕方なかった。
大鷲は、東条首相らをこの艦隊の旗艦の原子力戦艦やまとに運んだ。
やまとでは、川上一等海将が彼らを迎えた。
川上「ようこそ、原子力戦艦やまとへ。私は、この艦隊司令官である川上翔一等海将です。
とりあえず、中へ行きましょう。」
山本「そうですね。海の上は寒いですし。」
そう言って彼は、中に入っていった。
そうして話し合いを始めた。
海上自衛隊の隊員から艦内の説明を受けた東条首相と嶋田海軍大臣は、最新の設備に驚きを隠せなかった。
その後にした会談で聞かされた話では、日本が始めようとしていた大東亜戦争で負け、しかも無条件降伏するなんてだ。さらに、天皇陛下の玉音放送を聞かされ、このようにならないようにしなくてはと、改めて思い直した。
そして、今の日本は決して強くない、たかが東方の島国なんだと、思わされたのだった。
東条首相は、川上一等海将に聞いた。これからどうすればよいのかを。
「山本さんに言いましたが、まずハワイとマレーの攻撃の中止を願いたい。そして、2年待って欲しい。2年の間に日本の軍事力を大幅に上げる事が私たちにはできます。
もし、戦争するにしてもそこからです。
それとは別に、父島列島を私たちの艦隊に基地として貸し出してください。父島列島を基地にする事で、アメリカに対して備える攻略が出来るようになり、さらに我々を秘匿する事が出来るようになります。
その為にこの基地の建設の為の材料を我々の求めるだけ下さい。
それとは全く話が変わるのですが、私たちを天皇陛下に会わせて下さい。この時代で我々が他の軍人を納得させるにはそれだけの力が必要です。
そして、各大臣とも会談させてください。今この場にいる東条首相と嶋田海軍大臣以外を説得しなければいけませんから。」
「分かりました。この事を伝え、即刻作戦を中止します。
それ先はどうします?」
「まず、先程私が言った父島列島からの人を退去させてください。
そうしたら、一ヶ月で基地を作ります。
それから日本の工業を発展させます。我々が持つ技術をお伝えします。
そして、ソビエト連邦と樺太を交換したいと思います。
要らない満州の多くの土地と引き換えにします。その樺太から出る石油で、なんとか二年間耐えます。正確には、新たな油田を作り終わるまで耐えます。未来には、中国東北部黒竜江省に石油の産地があります。その油田の回りの土地以外を交換するのです。
油田を求めて進軍し、成功したあかつきには、石油プラントを建てます。そして、満州の中心までパイプラインを引き、更に、日本海までパイプラインを引きます。そうすれば我々は石油に困らなくなります。
そのためにまず、朝鮮半島の利権の一部を中華民国に譲ります。長い間日本人が戦い勝ち取った土地だという事は分かります。ですが、それぐらいしないと中華民国も納得しないでしょう。これでこの泥沼な中国戦線に一回区切りをつけます。そして、中国から満州に引き返しましょう。一度中国と決めた万里の長城まで戻りましょう。
さらに現在の日本軍の装備を中華民国の蒋介石側に売り付けます。その後対ソビエト連邦専用の同盟を蒋介石と結びます。と同時に、蒋介石率いる中華民国が正しい中国の支配者だと認めます。社会主義の毛沢東と組むのはやめましょう。日本人とは会わないですから。
このようにする事で、ソビエト連邦の脅威を押さえつつ味方を増やし、更に安全に石油の確保ができます。ここまで上手くいけばの話ですが。
こうして外交が動いている間に国内の工業力を上げます。基本的には、男女同等に扱うことから始めます。これからの戦争は、総力戦ですから。女性でも重いものは持てなくても、細かいものは作れますから。私たちの世界では、女性も男性と同じようにやつています。このようにする事で、生産性が上がります。
主にすることは、規格の統一です。例えは、陸軍、海軍の航空機を同じにします。そうすれば、面倒な補給や整備の事は減ります。陸軍と海軍の仲の悪さを無くさなければ行けません。我々は仲良くやってますよ。陸軍と海軍は、協力しなければやっていけないんです。それも徹底させなければいけませんね。
また陸軍には、新たな戦車を配備します。今あるのは、中国行きです。アメリカやほとんどの連合国の戦車には勝てませんから。ほとんどの陸軍の装備を更新していきます。今の陸軍の装備は、貧弱過ぎます。日露戦争と同じような戦い方では勝てません。
各参謀たちの考え方を一から教え直します。
それによって無闇な銃剣突撃などの馬鹿げた事をやめさせます。
海軍は新たなドックの建築から始め、新たな艦を増やしていきましょう。それによって海軍力を高めていきます。
さらに、電子力の強化をします。我々が知る限り、日本が負けた要因に日本側の暗号がアメリカに解読されていたという事があります。
電子力を強化する事によって、暗号をばれなくします。
また、高性能なレーダーも開発をします。これからの戦争は、レーダーなければ戦争も成り立たなくなるでしょう。
アメリカ相手なら負けはしないでしょう。これでも完全に勝てるかどうかは分かりませんが。」
「分かりました。私は、陸軍の作戦の中止をします。そして、川上さんたちが、天皇陛下に会えるように取り計らいます。海軍は、三人でお願いします。」
「では、これからよろしくお願いします。」
このあと、日本海軍は南雲中将宛に「ツクバレヤマハレ」受けて、各港戻ることとなる。
その間、自衛隊は、外洋で待機。
陸軍も同様にマレー攻略を中止するために山下中将宛に作戦中止の暗号が送られたのだった。