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新タイムスリップ自衛隊  作者: 暁 楓
開戦まで
11/14

第九話 戦争へ傾く

プロローグ二話を1000字位消去して2000字位加筆しました。

 東条首相が自らロシアを訪問し、スターリンとの間に締結した北樺太北西満州交換条約によって北樺太を手に入れた事によって、日本の経済は何とか成り立っていた。もはや、石油が無ければ何も出来ない時代が来ていたのだ。

 この条約では、日本、ソビエト両軍共に1年以内に満州に配備している部隊の三分の一を撤退させるという事も約束された。これは日本がドイツと同盟を結んでいるもののソビエトと戦争を行うつもりは無いと示す為に結ばれたのだ。最もこの満州からの軍団撤兵については裏取引されたものであって第二次世界大戦後になって初めて発覚するものだった。


 これが、1942年4月終わりの事だった。

 日本は、北樺太の油田から採掘される石油と現在貯蓄している石油を消費しながらなんとかしのいでいた。

 国内での無用な石油の使用は禁止される法律が制定されていたのだ。



 同じ頃日本軍は、中国重慶、北京などの基本となる都市から完全に撤退し、一部の部隊を残してほぼ撤退が終わっていた。軍の上層部の一部の人間はこの事に不満を持ったが、天皇陛下自身が行った謝罪を無下にすることは出来るはずもなく、問題が起こらなかった。

 日本軍は、満州と関東州こと遼東半島に戻った。

 約束通りに日本は、賠償金を支払い、そして朝鮮半島の西部の権利を国民政府に譲った。

 この約束が本当に行われると信じていなかった蒋介石は、三ヶ月でここまでの撤退を行った日本が、12月に交渉が決裂して以降アメリカと交渉を行えていない現状中国を諦めるしか無いのだと考えた。

 だが、日本のこの素早い対応に蒋介石を含む国民政府の面々は舌を巻くのだった。

 その後の日本の対応も素早く約束の土地の引き渡しも直ぐに始めたのだ。逆に国民政府の側の準備が整わず慌ててしまうほどであった。


 アメリカ側からしても日本の対応は、不自然極まり無かった。

 今まで行われていたマジックと呼ばれている日本の暗号通信の解読情報からの情報が受け取れなくなっていたのだ。

 もともとアメリカ側は1940年9月にはパープル暗号(外務省が使用していた暗号)で組まれた外交電の解読に成功しており、日米交渉においては日本側の外交電のほとんどを解読していた。そのパープル暗号による通信が全く無いのだ。

 正確には、アメリカ側も一つだけ情報を得ていたがそれでは全く役に立たないのだ。

 アメリカの首都ワシントンにいる大使からの通信に対して日本からは「現状維持」という返事していたのだ。その返信は暗号を使用しない平文で返信をしているのだ。

 日本が中国と和平を結び、そしてソビエト連邦と新しい条約を結んでいる間、アメリカの日本大使館にいる大使に対しての無線がその一つしか無かったのだ。

 アメリカ側もこの日本の対応に対して出方をどうするかで政府内で意見が分かれ、決まらなかった。




 そのまま日米間での交渉は進まないまま月日は立っていった。




 日本は、1942年12月ついに満州で油田を発見した。

 これにより、ABCD包囲網が意味をなさなくなった。この油田を発掘するより前に中国国民政府との関係を改善していたので、ABD包囲網になっていたが。

 規制を受け、困窮してい国が自らの国に石油が埋蔵されていたというのには各国の首脳は驚きを隠せなかった。

 特にアメリカ大統領のルーズベルトは、この日本石油発見に対して怒りを爆発させていた人である。

 もともとルーズベルトは日本との戦争を望んでいただけありこの事は非常にショックだったのだ。



 これ境にアメリカ軍は、日本に対して軍事的挑発を繰り返すようになった。

 何の前触れも無く日本近海へ戦艦を含む部隊を派兵し軍事演習をおこなったり、輸送船団の駆逐艦の上空をアメリカ軍機で飛ばしてみたり、潜水艦を輸送船後方に突如浮上させてみたりシンガポール、フィリピンへの艦隊派遣など上げれば切りがなかった。


 日本軍はその様な挑発行為に絶対反撃してはならないと徹底的に教えられた。

 その間も日本軍は軍備増強を急いだ。







 この頃になると、ヨーロッパ戦線では、ドイツは手痛い反撃をうけ、進撃が止まっていた。

 史実と違ったのは、日本が戦争に参加しなかった為に、アメリカで生産された軍事物資が多量にソビエトやイギリスに送られていたという事である。

 その為ソビエトはより多くの装備を利用する事が出来たのだ。更に、ソビエトは日本との間に北樺太北西満州交換条約を結び極東陸軍の三分の一をドイツ戦線に回した為ドイツは更に戦争がきつくなっていた。

 イタリアはシチリア島に続きイタリア半島にまで上陸をされていた。上陸をした連合軍はイタリア海軍の残存艦艇の奇襲に苦戦した。


 イギリス、ソビエト、その他連合軍対ドイツ、イタリアの戦いは泥沼化していった。



 1943年6月を最後に東部戦線では大規模な戦闘は、半年間発生しなかった。これは、のちに『半年の平和』と呼ばれるようになる。

 ドイツ軍は一度部隊をまとめる為に、ソビエト軍は冬が来るまで待つ為に、両軍共に哨戒と陣地に籠もり防御に徹した砲撃を行うだけだった。

 イギリス本国とドイツでの戦闘も起こら無かった。イギリスはアフリカからの北上によってイタリアをまず落とす事を優先した貯めだ。

 ドイツ軍は、イタリア戦線に派兵している兵力を除き、どの部隊も戦闘に参加する事は無かった。

 この半年の間にドイツ軍はソビエト軍との戦闘を有利にするため爆撃機を大量に製造した。

 更に占領した際にほぼ無傷で手に入れたスターリングラード・トラクター工場(スターリングラード攻防戦でソビエト軍が自ら破壊するより前にドイツ軍が占領したた)では、ドイツ軍向けにT-34戦車生産が行われた為に、独ソ両軍にT-34中戦車が配備されるという状況に陥った。ドイツ軍に深い痛手を負っていたドイツ軍にこの占領した工場で生産されたT-34戦車は重要な戦力であり、配備を続けた。


 この大規模戦闘が起こらない間にドイツ軍の機甲師団にこのT-34の傾斜装甲に影響を受け配備したパンター戦車の初期型のパンターD型が東部戦線に到着していた。

 この初期型であるパンターD型は、訓練が行われると重量増のため、転輪や起動輪、変速機など駆動系に問題が多発した。。また、機関部の加熱問題に対処するために新たに開発されて装備された自動消火装置の不具合により、燃料漏れによる火災事故も発生し、練習中に2両が全焼全損するなど、稼働率は低かった。

 それに比べて奪った工場で生産されるT-34中戦車も同様に戦時生産の為故障が多かったがパンターD型ほどでは無かったとか。

 このパンターD型は、前線からの不満の声に急いで問題点を改良し、

 生産効率を上げるべく一部簡素化された。最新のパンターA型が開発され実践配備された。

 このパンターA型は、再び独ソ戦が始まると素晴らしい能力を発揮した。新しくソビエトが配備したT-34-85中戦車にも優位に立った。

 もう半年後にパンターG型が出るまでの間中戦車として素晴らしい成績を納めた。









 1942年の6月に日本は、まずアメリカの大使とやり取りするために新しい暗号機械を持ち込んだ。

 新しい暗号機械とは自衛隊から技術提供を受けこの時代で作られたコンピューターである。これにより大使と日本の間での暗号通信がアメリカに知られる事は無くなった。その事にアメリカ側は、気づいたがどうすることも出来なくなった。アメリカは、再び暗号を解こうとしたが第二次世界大戦が終わるまで日本の暗号を解けなかった。

 逆に日本は、自衛隊が全てのアメリカの暗号を解読していた為にアメリカの行動は全て見通していた。


 7ヶ月ぶりに日米間での交渉が行われたがアメリカは、その交渉に積極的に参加せず日本側からの提案を全てはぐらかすだけであった。

 日本側はアメリカ政府に訴えても通じなかった為、国民に日本は平和を望んでいると訴えたが国民からの反応はあまり無かった。

 アメリカ国民にとって重要な事はドイツとイギリスの戦争であって、それ以外は関心が無かったのだ。


 欧州での戦争が一時中断している間も日本はアメリカとの戦争回避の道を探るべく行動したが、それは叶わなかったのだった。



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