その2 一等米はおいしい?
さて、その1の項の最後のほうで、米百俵イコール100万そこそこの収入しかないと述べましたが、別にウソをついているわけでも誇張でも、なんでもありません。
現在、我が住まいのある県で推奨されているお米を、JAさんが買い取ってくれる時の値段、そこからおおよその金額を計算してはじき出しています。
お米のランクは一等米から三等米まで設定がしてあり、それにより買い取りのさいのお値段が違ってきます。
一等米で12,000円前後、二等米は一等米からマイナス1000円ほどの10,000~11,000、三等米で8,000円~10,000円といったところでしょうか。
一番良いお米のランクは当然ながら一等米になるわけですが、さあ、みなさん。
この一等米、どういった基準値をクリアしたものであるのか、ご存知でしょうか?
食感や食味といったもので決められているんじゃないの? と漠然ととらえている方が多いと思います。
実は、違うのです。
一等米から三等米のランク付けは、実は味とか全く関係ないのです。
混同されがちなのですが、味や食感を総合判断しての評価というのは別に『食味ランキング』というものがあり、こちらは実際に炊飯したお米を試験官の方が試食されて、判断されています。
ランク付けは『特A、A、A’、B、B’』となっています。
基準となるのは、日本全国で産出されたコシヒカリのみのブレンド米になります。
JAさんが判断する一等米から三等米のランク付けはあくまでも、『白米』の状態にしたときに、『お米の粒がそろっているかどうか、お米の水分量はどうか、お米の粒の中に色がついてしまっているものが混じっているかどうか』で判断されています。
(日曜午後7時から放送されているアイドルグループの某番組で、お米の査定を受けているのを視聴されたことがないでしょうか? あれですよ、あ・れ)
お米の粒や水分量は、厳密にいえば食味や食感に関係してくるかもしれません。
しかし、いくら粒が揃っていても水分量が充分でも、端にすこし着色があるお米が混じっているだけで、一等米という判断がなされないのです。
では、一等米と二等米の差はどれくらいあるのでしょうか?
なんと、1000粒の中に3粒以上の着色米が混入しているだけで、そのお米は二等米としてランクつけられてしまうのですね。
(このあたりはGoogleなどで各地のJAさんのHPなどを検索してみた方がより詳しく載っているとおもいます。興味をもたれた方は、ぜひ調べてみてください)
着色米となってしまう主な原因は、出穂し、生育途中のお米につく虫のせいなのですが、この虫を駆除するために農薬が散布されているわけなのですね。
低農薬となれば、たしかに農家にとっても農薬散布という手間は省けます。
農薬代もおさえられます。
農薬は真夏の最も暑い時期に散布するので、農家の身体にも負担がかかります。
しかし、最終的な収入面で1俵あたり1000円から2000円と違ってきてしまうのは相当な痛手なのです。
近年、低農薬米や低肥料米がうたわれていますが、実はかなり農家泣かせだったのです。
農薬の是非について述べたい項ではないので、本題にもどります。
ではこの、一等米と二等米の食感と食味の違いですが、相当な差があるのでしょうか?
実は、あまりありません。
というよりも、お米マイスタークラスの方でないと見破れないレベルなのではないかと思っています。
お米の形が整っていなかったり、保有水分量が少なかったり多かったりすると、炊いたときに崩れてしまいそれが食感や味の差になる、というのはたしかにあると思います。
(そして保存のしかたによっても、味の差は顕著に出てきます)
でも、兼業農家である我が家で、お米を食べて『おいしい!』と一番実感する瞬間は、一等米の判定を受けたお米だからではなく、実のところ『新米だから!』という理由だったりするのです。
たとえ二等米の判定をうけたお米であったとしても、JAさんから今年の保有米ですよ、として受け取ってきたばかりのお米を炊いたときは、ご飯だけで何もいらないくらい、ご飯をおかずにご飯が食べられるという冗談がでてしまう。
それくらい美味しいのです。
一等米と二等米の間で差はほとんどありません。
ただ、スーパーなどで、皆さんが買い物をするとき、なんとなく色や見た目が均一のほうがいいな、とついつい曲がったキュウリをよけてしまう心理、ってありますよね?
それがお米の一等米と二等米の差をうんでいる、といってもいいでしょう。