レイン家にて。 2
「謹慎が解けるのですか?」
いつもどおりジョセフィーヌを抱えていると、苦い顔をしたお父様が私に言いました。その苦味は学園のことですよね? まさかジョセフィーヌのことではありませんよね?
「そうだ、次に月曜から学園にまた通ってくれ。残念ながら婚約破棄に関してはどうにもできなかった。すまない」
「わかりました。婚約破棄に関しては、もういいのです」
そう伝えるとお父様はとても驚いています。仕方ありませんね、今までかなり王子には執着していましたから。しかし! 私は変わったのです! 平民の小娘などに現を抜かす王子など、どうでもよいのです! 大事なのはジョセフィーヌ! 大切なのはジョセフィーヌなのです!
「ワンッ」
おっと、どうやらまたジョセフィーヌワールドに誘われてしまったようです。そこから戻してくれるジョセフィーヌはさすがですね! さすがジョセフィーヌ!
「クゥン……」
「……リリスよ、やはりプチドックは」
「はい? ジョセフィーヌになにか?」
「……いや、なんでもない。学園では少し苦労するかもしれない。うまくやれない父を恨んでくれ」
お父様がとても悔しそうに、そして悲しそうにしています。お父様が仰っているのは婚約破棄に関してでしょう。確かに、周りからしたら婚約者をたかが平民に盗まれた哀れな道化みたいなものですもの。社交界ではいいネタになるでしょうし、暫くは空気が悪くなるでしょうね。使い魔がGランク? ジョセフィーヌの可愛さはSランクでも足りませんわ。
ああ、でも学園にいる間ジョセフィーヌが他の使い魔どもにいじめられないか心配ですわね。
なにか対策をとらなくてはなりませんね。