プロローグ 2
私の名前はリリス。レーヴァ王国の四公爵家の一つ、レイン家の長女。
最近、学園で平民の小娘が私の将来の夫で王となる第一王子、リアム様にちょっかいを出していたため、私主催のお茶会にご招待して少々お話をしたところ、なぜか平民の小娘は泣きながら王子にすがりつき、その言葉に騙されてしまった王子が私を断罪(罪なんて犯しておりませんのに)して、現在実家にて謹慎中。婚約破棄なんて……王子は騙されているんです。絶対に後悔なさるんだから。しかも、謹慎中に10才の誕生日を迎えてしまい、細々と誕生会をする始末。あの小娘どうしてやろうかしら……?
まあ、そのことは今は置いておくとして。これから私は実家の庭でメイド達に囲まれながら使い魔の召喚を行います。
貴族の者は10才になると使い魔を召喚することがこの国での伝統です。
使い魔は召喚した者の才能に準じたものが召喚されるため、一種のステータスにもなります。
公爵家始まって以来の神童と呼ばれた私ですもの。きっと素晴らしい使い魔になることは確定しておりますわ。最低でもBランク、やはりAランクは欲しいですわね。
水の精霊、ウンディーネ? それとも全ての水を操るアクアスライム? 動物もまあ? 好きですし、水の公爵家ではありますが空の王グリフォンなんかもいいかもしれません。
「お嬢様、準備はよろしいでしょうか」
「ええ、いいわ」
メイドたちを下がらせ、小型のナイフの切っ先で指を一刺し。……結構痛いですね。
指から一滴の血が魔方陣に落ち、私の魔力に反応した魔方陣が光を放ちます。
赤、青、緑、茶、黄、紫、白! 七色の光!?
さすがは私! 全属性の使い魔の可能性があるなんて! ちょっと水にこだわっていたものの、案外光属性なんかも良いかもしれませんね!
段々と光の色が少なくなってきています。赤が消えて、紫が消えて、茶が消えて……ん? 話に聞いていたより召喚に時間がかかりますね。これも才能の弊害かしら?
残ったのは青、黄、白。やはり水? でもまだ光もありえる! でもなぜ白まで。無属性なんてお断りですわ!
そう思ったのがいけなかったのでしょうか?
「きゃあっ!」
突然白色の光が急激に大きくなり、目を開けられない程になりました。