それとこれは別として
男子制服に魔法の力で着替えた俺は、またソファに腰を落ち着かせ、本題に入ることにした。
「俺が異世界から来たということは保留でいい。それよりも今は俺がこのお嬢さん」「……ケーシャ=アトリシア、です」「そう、ケーシャの」「下の名前……ぁぅ」「使い魔?なのかどうかってことだ」
こればかりはきちんとしないといけないと思っていた。
「そうだね。我としては異世界から来たという方が気になるとこだけど、うん、コウゴくんが召喚されたことは確実な事実なわけだ。それを先にはっきりさせた方がいいね」
「俺はどういう扱いなんだ?」
「うーん、難しいね。魔獣でもなければ魔物でもないからね。人間を召喚するなんて学校始まって以来初めてのことだから。通常は主従関係を保ち、生活支援や魔法契約のパートナーとして適性に合ったモノを呼ぶんだ。それが『魔獣』と『魔物』だ。人間の場合は人身契約となり人を見下すことの助長になり兼ねないからね。普通は呼び出そうと思わないし思っても学校の生徒であればそんなことはさせない。といっても、学校の敷地全体に術式が施されており、人間の召喚はできないのだけど……うん、現にできているのだからこれは由々しき問題であり且つ対策しなければならない」
「ですが、召喚された以上はパートナー契約を結ぶのが鉄則であり掟であり必要なのでは」
「そうなんだよ、そこなんだよ。学校で決めたルールは守って貰わないと困るが、ルールを遵守したら人権的にどうなのかと生徒達から反発があっても困るからね。──我は考えたよ」
アイ校長は俺とケーシャを交互に見てビシッと指を上に突き刺す。
「二人は主従関係を持ちつつ、人間のパートナーとして契約をして〝男女の関係〟になりたまへ!」
とんでもない発言をしたアイ校長の言葉にその場が凍った。
「……え、えぇ……ふぇぇ、えええええええっ?!??!」
その瞬間、大声が室内に木霊した。