制服は着る人による
というわけで服を着れた僕はとりあえずは安心して腰を落ち着かせた。
「どうですか」
「ああ、なんというか」
「男の娘だね!」
「……かわいい」
上着は男子制服、下はズボン──ではなく、スカート。と、思ったが。混じっていた男子を思い出すと、男子制服の色は青……今着ている服は赤だ。
スカート、女子の制服は元から赤──ということは、俺は女子制服を着ていることになる。
だが体にぴったりだ。これが魔法の力、なのだろう。
「失敗ですね」
「我は良いと思う」
「……わ、わたしも」
「俺も問題ない」
「私が問題あるんですっ、クラスの代表として!」
「そうなのか」
大変なんだな。
俺は同情する。
「そうなんです。失敗はあれど、成功しないというのは悔しいものです。ですから、リベンジさせてください」
「俺はこれでいいと思うが。似合わないか?」
「似合ってます。が、それとこれとは話が別です」
「そういうものか」
「そういうものです」
「ランカくんも大変だねえ」
「人事みたいに言いますけど、カーネイル校長の方が大変ですから」
「それはどうかな」
ふふん、と何かあるような含んだ笑いを漏らす。
「やり直します」
こうして俺の女装は5分と経たず終わったのだった。
普段しないことをするのは興味ある俺としては等少し残念だった。