服作り
服が欲しいと願ってから早数十分、俺はやっと服を借りることができた。いや、借りることができる。
まだ服は貸して貰えず、俺はタオル一枚巻いた裸のまま。既に水気はなく肌寒くなってきた頃だ。
「済まないことをしたね。いくら至急だとしても服を着てなければ別の意味で至急な件になってしまうからね」
「そ、それは……変質sy」
「アトリシアさん」
「ふぁいっ」
「貴方に関する大事な案件なんです。少しは緊張感をもってください」
「……ずっと緊張してます」
「さて、服だね。ランカくん」
「はい」
「魔法で服を一時的に作ってあげて。魔法がどういうものか見せてあげるついでにね」
「それは良いのですが、男物の服をあまり知りませんのですが……」
「大丈夫。この学校の男子制服を基準にしたらいい」
「そういうことでしたら」
ランカは立ち上がり杖を胸の前で支える。
「あ、あの、男子制服……余ってないの、です……か」
「それはだね、男子生徒が少ないため受注するのに時間が掛かるのだよ。今日のところは魔法で作った服で過ごしてもらうことだ」
「……はい」
「俺は何でも構わない。服が着れるのならば」
「続けますね」
やっと俺は服が着れそうだ。
これで変態扱いはなくなりそうかな。