長い話は追々に
「どういうことですかっ!?」
今まで落ち着いた様子だったランカは勢いよく立ち上がり、取り乱した。
「そのままの意味さ。コウゴはケーシャくんの召喚に応じてしまったが故にこうして存在している。それだけでも充分驚くことさ。召喚は基本的には魔法を扱うサポーターとして従わせる魔物、魔獣を呼び出す。が、何かの拍子にコウゴが居た場所に通じてしまいコウゴが召喚された。そして、裸なのは置いといて実際に生徒である男は例外あって不正はないこの学校に生徒でも関係者でもないこの男が現れた。しかも魔法は使えないときた。召喚されるのは魔力は多少なりとも持っているはずの〝人外〟なはずなのだからね。ならばただ1つ残されるのは『異世界転生』、それのみなのだよ。他にも考えられるが、これまで起こったことがないため特例となってしまうが、この男コウゴ=ナミカワはケーシャくん、ケーシャ=アトリシアの魔物として召喚された。そこに例外はない。公正はあるがね」
「だ、だからって異世界から来たなどと断定するのは早計ではないでしょうか!」
「確かに世界のどこかには魔力を持たない男がいるだろうが、この魔的社会の現代においてそれは非常に確率が低く今では証明の仕様がない。ならば異世界から来た、というのも証明の仕様がないが、1つだけ確定要素があるんだよ」
「そ、それは……なんですか」
「──魔法が使えない。魔力を一切感じないんだ。魔法は魔力の源。現代を生きる者として必須だ。なのに魔力の欠片を素晴らしく感じないんだ。彼が言ったことはそれだけで信じるに値する」
「──」
「今この状況を断じさせることに関してはね」
決着がついたみたいだ。
話をややこしくないように俺は黙っていたのだが、どうも俺は呼ばれざる客、それもレアケースなようだ。
何か不穏、不安を駆らせることを言われた気がせるが、駄々をコネていても何も解決しない。
ここはできるだけ従った方がいいのかもしれない。
俺は招かざる客なのだから。
だがそれは追々にしていくとして。
「──あの!話は何となく箸で摘まむ程度わかった。まずは……肉体を隠す服を貸してくれないか」
俺は切実に頼み込むのだった。