自己紹介と
俺らは言われたように座り、校長と対面する。
「さて、我がこの私立ユーガ魔法学校校長アイ=S=カーネイルだ。呼び方は何でも構わない。件のことは置いといて、ひとまず自己紹介をして貰おう。まずは君だ」
「……じ、自己紹介っ?」
1人驚いてる中、蒼く輝く瞳が俺を射抜く。
「俺は波河幸護。ここでの常識は知らないが、外国形式だと名前が幸護だ。以上」
「変わった名前ですね」
「よく言われる」
「確かに変わった名前だなあ。だがそこに惹かれるものがある。次はランカくん」
「私はランカ=フォン=ベーリル。さっきもカーネイル校長が呼んだから、何度も言うのは少し気恥ずかしい気もしますね。気軽にランカで結構です」
「ランカくんは魔法に長け知識も豊富に得ていてクラスの人望もある素晴らしく優秀な子だ」
「いえ、私はまだまだです」
「謙遜な。次は君だ」
「わ、わたしっ。……えと、ケーシャ=アトリシアです。特に秀でている部分はないです……。呼び方は……お好きな方で」
「ケーシャくんは魔法の元素となる四大元素をすべて扱える数少ない子だ。確かに特出して秀でている部分はないが、四大元素を扱えることは大きい。今後に期待だ」
「そ、そんなっ!……四大元素を扱えると言っても、初歩の初歩、しかも最弱の魔法ばかりですし……」
「それでも扱えることには変わりはあるまい。誇っていいと我は思うがな」
「バカにされても……ですか?」
「著名な者ほど最初はバカにされるものさ」
優秀と言われるランカと、特出した部分がないと自負するケーシャ。どちらも魔法が使えるだけですごいと思うのだが。
「先ほどから『魔法』と言っているが、ここでは『魔法』を扱っているのか?」
話題に『魔法』が当然の様に出てくるのは、俺にとっては不自然であり疑問点でもある。ここぞとばかりに疑問を振る。
「コウゴ、と言ったな。コウゴくんは魔法が使えないのか?」
「使えない、というよりは、魔法そのものがない所から来た、というのが正解だ」
「それはどういうことですか?」
「俺にも良くわからないが」
俺はただシャワーを浴びていただけで、何かに介入する能力を使ったわけでもない。ここで何か余計な事を伝えて話が混雑するよりは、大事な所を先延ばしにせず伝えた方がいいだろう。
何か含みな顔をしたアイは、口を開く。
「それは……──異世界から来た、とでも言うのだな?」