とりあえず服を
一瞬の静寂に包まれながら思ったことがある。
圧倒的な女子率──それと、全員がトンガリ帽子をしている!
そして駆け巡る黄色い悲鳴。
『全裸』や『魔獣』、『変態』などの単語があちこちから飛び交う。
それよりも今は人前で見せられる姿になりたいと思い、服を欲した。
近くに居た女の子に言葉を掛けようと近付く。
「──ひっ」
引かれた。
それは仕方ない。この恰好だ。それも、様子を鑑みるに、何かを行っていた所に俺が突然現れたのだから驚くのも無理はない。
それにしても、周りの女子の比率を察するに、男子の免疫はほとんどなく、裸体は珍しい部類に入ると予測される。この状況は極めて俺に不利だ。
だとすると、俺が何故ここにいるかを問うことと、何か着る物を確保したいところだ。
「君、混乱しているのはわかる。だが──」
「いっ……」
まずい、近付くと恐怖心を煽る、だが何もしなくても俺の立場が危うい。
それならば──攻めるべし!
「君」
「い、いやぁぁぁぁあっ」
近くにいた彼女は手に持っていた棒……恐らく、容姿から察するに杖だと思えるそれを上に翳す。
何かをする気だ。
先手を取られる前に、俺は瞬時に彼女の手から杖を没収し手を封じる。
「──みなさん!戸惑っているところ申し訳ありませんが……」
怒鳴って静かになった瞬間に俺は頼み込む。
「何でもいいので、着る物を貸してはくださいませんか!?」
俺は頭を下げた。